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友達と縁を切るのは悪いこと? LGBTQの僧侶に聞いた

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日経 X woman

人の数だけ悩みもある。どんなに年を重ねても、悩みの種は尽きません。今回は30代女性の「友達との縁を切るのは悪いこと?」というお悩み。僧侶で、メイクアップアーティストであり、LGBTQ(性的少数者)の当事者である西村宏堂さんに回答していただきました。

「やっと『親友』ができた」と思ってた

フリーランスで広報をしている青山由美さん(仮名、37歳)は、時々「かつて親友だと思っていた」人のことを思い出す。

「とても気が合って、お互い仕事が忙しくても週に1度は合う仲でした。でも、あるときを境に連絡を絶ちました。今でもふと、その選択は正しかったのだろうかと思うんです」

幼い頃から高校生まで、クラスでは目立つタイプではなかったという青山さん。積極的に友達をつくったわけではなかったが、少ないながらも数人の仲間がいた。けれどそれは、集団生活をする上で「便宜上一緒にいただけ」という表現が近いかもしれない。一緒にいて、話を無理やり合わせていたわけではない。かといって、なんでも話し合える仲だったかというと、それも違う。本当の自分をさらけ出せないでいた。そのくせ、「本当の自分を分かってもらえない」なんて思っていた。

そんな青山さんが「かつて親友だと思っていた」朋子さん(仮名)と知り合ったのは、20歳の頃に始めたアルバイト先。丁寧に髪を巻き、ばっちりとメイクをし、接客業にもかかわらずぷんぷんと香水の匂いをさせていた朋子さんのことを、最初は「絶対に仲良くなれないタイプだと思いました」。しかし、同じ日にシフトが入ることが増え、同い年であることが分かると、次第に打ち解けるようになる。

二人ともホラー映画が大好きだったこと、家が近所だったこと、お互い異性に対して奥手で彼氏もいなかったこと……。共通点が多かっただけでなく、笑いのツボや価値観も似ていた。アルバイト先では客足が途切れたときに話し、退勤後にも店の裏で話し、休みの日には買い物をしたり、食事をしたりと、気づけば長い時間を過ごすことが増えていった。話しても話しても飽きたらない。

「アルバイト先で、こんなに仲の良い人に出会えるとは思っていませんでした。大人になっても、友達づくりは学校生活のときと変わらないんじゃないかと思っていましたから。『私にも、やっとなんでも話せる親友ができた』と、うれしかったですね」

その後アルバイトを辞め、お互い就職。以前のように頻繁には会う時間は減ったものの、毎週のように仕事が終わった後に食事をし、休日が合うと遅くまで話し込んだ。そんな二人の仲がこじれたのは、出会ってからもうすぐ10年になるときだった。

友情はずっと続くと思っていたのに

就職してからの話題は主に「仕事のこと」。それぞれ違う職場で働いているにもかかわらず、会えばいつもお互いの仕事の話をしているので、まるで会話に登場する人物を知っているかのような錯覚がした。知り合ってから約10年、二人は29歳になっていた。青山さんは、この関係はおばあちゃんになってもずっと続くと当然のように思っていたという。

その頃、青山さんは交際していた人と「30歳を迎えるまでに結婚がしたい」と考えていた。職場でそう話すと、既婚の人からよく言われたのは「子どもは絶対に産んだほうがいいよ」。子どもを持つことに抵抗があった青山さんは、最初のうちこそ丁寧に理由を述べていたが、どうも彼女らは「子どもがいる=幸せ」だと言って聞かない。次第に、結婚の話題を出せばまた嫌な思いをするのではと、話をするのもためらうようになる。

「他人からの『価値観の押し付け』がこんなに嫌なものだと、このとき初めて感じました。このモヤモヤした気持ちを、早く朋子さんに会って話したい。分かってくれるのは彼女だけだと思っていました」

その頃、朋子さんには職場にライバル的存在がいた。自分の立ち位置が危ないと嘆き、その不安やいら立ちから、会うたびに悪口が増えていった。いつもなんでも話していたけれど、このときは朋子さんに自分の結婚話をするのは気が引けた。けれど、「しばらくしたら、またいつものように話せるはず」、そう思っていた。そんな状態が2カ月ほど続いたときだっただろうか。

ある日、新大久保のとあるバーで、朋子さんは珍しく酔っていた。当時、新大久保はK-POPや韓流好きだけでなく、多くの人でにぎわっていた。二人もその頃、ある韓流アイドルが好きで、新大久保でよく食事をしていた。その日も韓国料理店で食事をしたあと、2軒目はバーに行くことに。

そこで青山さんは、食事のときに渡しそびれたカモミールのティーバッグを朋子さんに差し出した。「最近イライラして眠れない」と話す朋子さんのために、ハーブティーの専門店で購入したものだ。

「いつも話を聞くことしかできないけど、たくさん愚痴って! 眠れていないみたいだから、よかったらハーブティー飲んで」。すると朋子さんの口から、思ってもみなかった言葉が飛び出した。

「親友」だと思っていたのは私だけだったのか

てっきり、返ってくる言葉は「ありがとう」だと思っていた。けれど朋子さんはこう言った。「こんなのくれて、私のことかわいそうなやつだとでも思ってるの?」

びっくりした。そして彼女は普段飲まないような強いお酒をオーダーしている。完全に、悪酔いしていた。「私がどれだけつらいかなんて、由美ちゃんは分からないよね。こんなもので、なんとかなるとでも思った?」

青山さんはそのときを振り返り、こう話す。「正直、その後どう彼女と会話して、どうやって家まで帰ったか覚えていないんです」。伝票をつかんで会計をし、店を出て山手線に飛び乗ったところまでは覚えている。終電だった。朋子さんは横浜に住んでいた。車内で「どうやって帰るんだろう」と思った記憶がある。けれど、その後の記憶がぽっかりと抜け落ちているのだ。

翌日になっても、1週間たっても、朋子さんから連絡は来なかった。自分から連絡するのも癪(しゃく)だった。1カ月が過ぎた頃、青山さんは携帯電話から朋子さんの連絡先を消した。

「あんなに仲が良くて、なんでも話せていたのに。でも、『親友』だと思っていたのは、私だけだったのかも」

あれから8年。青山さんは今でもふと、朋子さんを思い出すという。「かつて『親友』だと思っていた人との縁を切るなんて、自分は性格が悪いなと思います。でも、あの時の私はそうするしかできなかった」。あの時の選択は正しかったのか、間違っていたのか。何を言えば、どうすれば良かったのだろうか。

僧侶の西村宏堂さんに聞いてみた

そこで今回は、僧侶で、メイクアップアーティストであり、LGBTQの当事者である西村宏堂さんに話を聞いた。

たとえ友達だったとしても、「一緒にいて自分がハッピーになれない人」とは離れてもいい、と西村さん。

「自分をハッピーにしない人」なら切っても良し

「ずっと友達でい続けないといけない」「友達は多いほうがいい」――。そんなのは、全部でたらめです。誰が決めたことでもない。それを真に受けたり、それに従ったりする必要もありません。

仲の良かった友達と、離れることを選ぶ。それは、自分を高めていくために必要なプロセスだったと思います。友達関係は変わってゆくもの。自分が変わる場合もあるし、相手が変わってしまうこともある。それまで仲が良かったとしても、離れていいと思います。その基準は、「会っていて自分がハッピーになれない人」「自分を高めてくれない人」「尊敬できない人」だと私は考えます。

その人と会ったあと、会う前よりも寂しい気持ちになったり、見下されていると感じたりする人とは、私は会わないようにしています。一緒にいて自分がハッピーな気持ちになれない人や、こちらの気持ちや品位が下がるような人とは距離をおくようにしています。悪口や、ネガティブな内容で盛り上がったり、噂話をしたりするのは好きじゃない。友達に関しては、すごくポジティブな人が好きですね。

自分がハッピーじゃないと、自分の周りの人たちもハッピーじゃなくなってしまう。落ち込んだり怒ったりしていると、それが周囲に伝わっていく。自分にも良くないし、周りの人たちにも良くないですよね。

私も、同じようなことがありました。以前あるチームで仕事をしていたとき、だんだんと関係のない用事を頼まれることが増えていったんです。最初のうちはチームのためを思って我慢していたけれど、次第にそれが当たり前になってしまって。自分の存在や能力が無視されているような気がして悲しかったし、残念な気持ちになっていました。

そうやってハッピーではない気持ちを持ち続けるうちに、体調も悪くなってしまうし、気づいたら「その人と仕事をするのが嫌だ」などと文句を言うようになっている自分がいました。

そこで、私はきちんと自分の気持ちを伝え、丁重にお断りしました。感情を言葉にして、丁寧に伝えることはとても大事。「何かを断るとき」と、「謝るとき」こそ、自分の格が上がるのだと思っています。自分をもっと尊重し、もっと尊敬してもらえるチャンスなんですよ。

友達と離れる選択をしたとしても、その人との楽しかった思い出もあるでしょう。それを「無かったこと」にしてしまうのではなく、「あのときは楽しかったな」と思い出して味わえばいい。仲が悪くなってしまったときのことは覚えておかなくてもいいんです。「あのとき、自分には分かり合えた人がいたんだ」という思いは、忘れずに思い出として自分の中に残しておく。このように、それぞれの時代を卒業していっても良いんだと思います。

西村宏堂
1989 年、東京生まれ。浄土宗僧侶。ニューヨークのパーソンズ美術大学卒業後、米国を拠点にメイクアップアーティストとして活動。ミス・ユニバース世界大会や、ミスUSAなどで各国の代表者のメイクを行い、高い評価を得る。その傍ら、LGBTQの一員である自らの体験を踏まえ、LGBTQ 啓発のためのメイクアップセミナーも行っている。著書は『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』(サンマーク出版)。

(取材・文 尾崎悠子=日経xwoman doors、写真 稲垣純也)

[日経xwoman 2021年4月9日付の掲載記事を基に再構成]

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