日経xwoman

僧侶の西村宏堂さんに聞いてみた

そこで今回は、僧侶で、メイクアップアーティストであり、LGBTQの当事者である西村宏堂さんに話を聞いた。

たとえ友達だったとしても、「一緒にいて自分がハッピーになれない人」とは離れてもいい、と西村さん。

「自分をハッピーにしない人」なら切っても良し

「ずっと友達でい続けないといけない」「友達は多いほうがいい」――。そんなのは、全部でたらめです。誰が決めたことでもない。それを真に受けたり、それに従ったりする必要もありません。

仲の良かった友達と、離れることを選ぶ。それは、自分を高めていくために必要なプロセスだったと思います。友達関係は変わってゆくもの。自分が変わる場合もあるし、相手が変わってしまうこともある。それまで仲が良かったとしても、離れていいと思います。その基準は、「会っていて自分がハッピーになれない人」「自分を高めてくれない人」「尊敬できない人」だと私は考えます。

その人と会ったあと、会う前よりも寂しい気持ちになったり、見下されていると感じたりする人とは、私は会わないようにしています。一緒にいて自分がハッピーな気持ちになれない人や、こちらの気持ちや品位が下がるような人とは距離をおくようにしています。悪口や、ネガティブな内容で盛り上がったり、噂話をしたりするのは好きじゃない。友達に関しては、すごくポジティブな人が好きですね。

自分がハッピーじゃないと、自分の周りの人たちもハッピーじゃなくなってしまう。落ち込んだり怒ったりしていると、それが周囲に伝わっていく。自分にも良くないし、周りの人たちにも良くないですよね。

「何かを断るとき」と、「謝るとき」こそ、自分の格が上がるのだと思っています(西村さん)

私も、同じようなことがありました。以前あるチームで仕事をしていたとき、だんだんと関係のない用事を頼まれることが増えていったんです。最初のうちはチームのためを思って我慢していたけれど、次第にそれが当たり前になってしまって。自分の存在や能力が無視されているような気がして悲しかったし、残念な気持ちになっていました。

そうやってハッピーではない気持ちを持ち続けるうちに、体調も悪くなってしまうし、気づいたら「その人と仕事をするのが嫌だ」などと文句を言うようになっている自分がいました。

そこで、私はきちんと自分の気持ちを伝え、丁重にお断りしました。感情を言葉にして、丁寧に伝えることはとても大事。「何かを断るとき」と、「謝るとき」こそ、自分の格が上がるのだと思っています。自分をもっと尊重し、もっと尊敬してもらえるチャンスなんですよ。

友達と離れる選択をしたとしても、その人との楽しかった思い出もあるでしょう。それを「無かったこと」にしてしまうのではなく、「あのときは楽しかったな」と思い出して味わえばいい。仲が悪くなってしまったときのことは覚えておかなくてもいいんです。「あのとき、自分には分かり合えた人がいたんだ」という思いは、忘れずに思い出として自分の中に残しておく。このように、それぞれの時代を卒業していっても良いんだと思います。

西村宏堂
1989 年、東京生まれ。浄土宗僧侶。ニューヨークのパーソンズ美術大学卒業後、米国を拠点にメイクアップアーティストとして活動。ミス・ユニバース世界大会や、ミスUSAなどで各国の代表者のメイクを行い、高い評価を得る。その傍ら、LGBTQの一員である自らの体験を踏まえ、LGBTQ 啓発のためのメイクアップセミナーも行っている。著書は『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』(サンマーク出版)。

(取材・文 尾崎悠子=日経xwoman doors、写真 稲垣純也)

[日経xwoman 2021年4月9日付の掲載記事を基に再構成]

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