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ビデオ会議が疲れる4つの理由 女性のほうが悩み重く

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

ソーシャルディスタンス時代に欠かせないビデオ会議ツール。パンデミック(世界的大流行)が終わってもリモート勤務を続けると決めた企業もある。だが、既に1年以上オンラインでの生活と仕事が続き、ビデオ会議による疲労「ズーム疲れ」に悩まされる人が増えているという報告がある。

研究チームは、1万人以上を対象にズーム疲れについて調査、その原因について幅広く考察し、2021年4月14日付で査読前の論文を共有するサイト「SSRN」に発表した。論文によると、ズーム疲れは誰もが同じ程度に感じているわけではないようだ。疲労の程度は女性のほうが男性よりも平均して13.8%高いことがわかった。

こうした不公平を浮き彫りにするのが科学の役割の一つと述べるのは、論文の筆頭著者を務めたスウェーデンのヨーテボリ大学のジェラルディン・フォービル氏。社会や企業には、科学的な知見に基づいて対策をとってもらいたいと語る。

研究によると、画面に映る自分の姿、ずらりと並ぶ同僚たちの顔、常にカメラの枠内に収まっていなければならないというプレッシャー、ボディーランゲージの欠如などは、すべて脳に負担をかけるという。何が問題の引き金となっているかを理解することで、負担を軽減するための対策を打つことができる。

ビデオ会議が負担となる4つの要因

リモートワークの良さは明らかだ。通勤時間がなく、仕事の合間に家事をこなすことができるし、誰でも簡単に会議に参加できる。障害を持っている人にもアクセスしやすい。

だが、ズーム疲れという言葉が人々の話題に上るようになると、人間とテクノロジーとの関係を研究する科学者たちも、本格的にこの研究に取り組み始めた。

今回の論文の研究者たちは、まず初めに、疲労の程度を測る「ズーム疲労評価基準(ZEF)」を作成した。次に、公開アンケートを実施して1万人以上の回答を集め、回答者のZEFを評価した。同時に、年齢、性別、人種といった項目にも回答してもらい、それぞれオンライン会議にどのくらい時間を費やしているかを聞いた。

その結果、大方の予想通り、休憩をほとんどとらずにビデオ会議を続けるほど、ズーム疲れが蓄積することがわかった。また、ビデオ会議に参加する人々が負担を感じている4つの要因も明らかになった。

第1に、非言語的な手がかりがわかりにくいことがストレスになる。対面の会話で自然にやり取りしている身振り手振りやボディーランゲージが、オンラインでは通じないためだ。画面では肩から上しか見えないため、体をあえて大げさに動かして自分の意思を伝える必要性を感じたり、相手の気分を察することに困難を覚えたりする。

第2に、ビデオ会議中はウェブカメラの枠内に常に収まっていなければならないと感じ、自由に動けないことにストレスを覚える。

第3に、多くのビデオ会議アプリは、初期設定で自分の顔が表示される状態(セルフビュー)になっている。だが、そのまま自分の顔を見続けていると、「鏡不安(mirror anxiety)」に陥ることがある。自分を強く意識しすぎてストレスが溜まり、それによって注意散漫になったり、不安症やうつ病を引き起したりするという。

そして最後に、他の人々が自分のことをじっと見つめているのではないかという思いにとらわれてしまう「ハイパーゲイズ」という現象について、論文は解説している。会議の参加者は全員カメラに向かっているため、その視線がすべて自分に向けられていると思い込んでしまうというのだ。さらに悪いことに、1対1の会議になると相手の顔が画面いっぱいに表示されるため、その人がまるで自分のすぐ間近に立っているような錯覚を起こす。

性別・人種による違い

アンケートによると、女性のほうが男性よりもビデオ会議に割く時間が長く、合間の休憩時間は短いことがわかった。また、女性は男性よりも鏡不安に陥りやすく、ビデオ会議に縛り付けられていると感じることも多い。

「過去の研究でも、鏡不安になるのは男性よりも女性のほうが多いことが示されています。私たちがアンケートで性別を答えてもらったのもそのためです」と、フォービル氏は言う。しかし、なぜ女性のほうが会議に縛り付けられていると感じるのかはわかっていない。

また、白人よりも有色人種のほうがズーム疲れを感じていることも示されたが、人種による違いは性別による違いほど大きくはない。

オンライン会議がもたらしたもの

リモートワークの恩恵は多い。米ミシガン州立大学の准教授ラビンドラ・ラタン氏は、オンラインで研究や授業が行えるようになったことから、パンデミック中にカリフォルニア州へ引っ越した。また、ラタン氏もフォービル氏も、パンデミック中に、国外の研究者と気軽に協力できるようになったと感じている。

南カリフォルニアに住むシステムエンジニアのザーラ・カーン氏は、聴力と体力に障害を抱えているが、リモートでできる仕事を見つけたことで症状の管理が楽になったと話す。カーン氏は、自動で字幕を作成してくれる会議アプリを使って1日3~4時間のビデオ会議をこなす。

「体力や健康を管理したり、水分を補給するのさえ楽になり、はるかに働きやすくなりました。以前の仕事では、そうしたくてもできませんでしたから」

これまでは、障害を持つ社員にリモートワークの選択肢を与える企業は少なく、障害者は職場から締め出されてしまうことが多かった。ところが、パンデミックによって会社全体がリモートワークに移行したことで、これまでもその気さえあればリモートでの仕事は十分可能だったことが証明された。

ただし、カーン氏は、パンデミックが終わったとき自分たちはどうなるのだろうかという不安を抱えている。「元の生活に戻った途端に、この働き方がまた消滅してしまうかもしれません。そう考えると、とても怖いです」

将来性と対策

コロナが落ち着いたとき、対面とリモートの両方を取り入れて仕事を進めることは可能だろうか。対面での会議を再開した後も、一部の人はビデオや電話での参加が認められるように、社内の雰囲気が変わっていくとよいだろう。

論文著者のフォービル氏は、ビデオ会議の際に体の自然な動きが束縛されないように、立って仕事ができるデスクを購入した。また、コンピューターの画面には目に優しいオレンジ色のフィルターを使っている。目にかかる負担は、ZEF基準でズーム疲れの要因の一つとされている。ただし、「ズーム疲れ対策の責任は、個人に任されるべきではありません。それでは、格差の広がりにつながるだけです」と、フォービル氏は強調する。

論文著者らは、企業が今回の論文を活用して、社員全員をズーム疲れから守るための方針を提案することを期待している。週に1日はビデオ会議のない日を設けたり、会議と会議の間に10分間の休憩をとるという規則を作ったり、何らかのツールを使ったりすることなどが挙げられる。ビデオ会議アプリには、自動字幕起こしや画面の共有機能があるほか、人と関わっていることを実感できるなど、優れた点も多いが、電話やメールで済ませられる場合も多い。

ビデオ会議アプリを開発する企業も、ズーム疲れを軽減させる様々な改善を加えることが可能だ。

「最も簡単な改善は、自分の顔を画面に大きく表示させないようにすることです」と、今回の論文の共著者でスタンフォード大学バーチャル・ヒューマン・インターアクション研究所の創立者ジェレミー・ベイレンソン氏は提案する。会議室に入ってから数分で自分の顔が消えるように初期設定できれば、鏡不安を予防できるという。

また、ユーザーと画面の向こうにいる人との感覚的な距離を計算して、会議参加者の画面の最大表示サイズを制限すれば、ハイパーゲイズ対策にもなる。

会社がどんな対応をとるかにもよるが、この先もリモートワーカーのズーム疲れはしばらく続くだろう。特に、女性や有色人種にかかる負担が大きい。しかしラタン氏は、人々がかつてないほどリモートワークに寛大になっていることも感じているという。

(文 THERESA MACHEMER、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年4月18日付]

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