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3月末に登場した「-196℃ ザ・まるごとレモン」など新シリーズの3商品

3月末に登場した「-196℃ ザ・まるごとレモン」など新シリーズの3商品

果実をまるごと使った味わいが特長の、サントリーホールディングス(HD)傘下のサントリースピリッツの缶チューハイ「-196℃」は、食事と一緒に楽しむ飲み方を入り口に、「家飲み」での居場所を広げてきた。新商品が相次いで登場し、缶チューハイ市場での競争が激しくなる中、打ち出したのは「原点回帰」。16年前の開発当時に掲げた「果実まるごと」というコンセプトを強く前面に出した背景には、コロナ禍を受けた飲み手側の意識変化が大きかった。

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3月末から店頭に並び始めたのは、「-196℃ ザ・まるごとレモン」。味わいをより自然に感じられるよう、甘味料を使っていない。11年にわたり-196℃ブランドを担当する、サントリースピリッツRTD部の井島隆信課長は「果実本来のさっぱりとした味わいが特徴です」と話す。

2005年の発売から16年を重ねるうちに、缶チューハイを取り巻く景色は様変わりした。たとえば、食事どきの缶チューハイとの付き合い方。井島氏はこう説明する。「食事と一緒に楽しむ『食中酒』という提案を続けるうち、缶チューハイの飲み方はさらに変わってきています。1杯目から缶チューハイを飲む人も増えてきました」。

食事と一緒に飲むスタイルは、もともとサントリースピリッツが仕掛けた。-196℃が家飲みマーケットに受け入れられた理由でもある。しかし、食中酒としてのポジションが固まるにつれて、飲み手からのニーズにも変化が生じていった。アルコール度数が高めのタイプを敬遠するような動きもその一つだ。

アルコール度数が7~9%と高めで、飲み応えがある缶チューハイは一般に「ストロング系」と呼ばれる。08年ごろに相次いで発売され、-196℃ストロングゼロも09年に売り出された。度数15%程度のワインや日本酒と、従来の缶チューハイとの中間的なゾーンで新たな飲み方を掘り起こした。

だが、今回の-196℃は度数を7%に抑えた。「(-196℃ストロングゼロは)食事中に2本、3本と飲むにはやや強すぎるというお客様の声も出てきていました」(井島氏)。実は、2年前にアルコール度数が通常の9%より低い6%のストロングゼロを販売したことがある。この「アルコールが強くない」ストロングゼロが投入された背景も同じ文脈といえる。こうした近年の飲み手側のニーズ変化を織り込んだのが今回の新シリーズだ。

新商品を方向付けたもう一つの要因は、コロナ禍に伴うライフスタイルの変化だ。井島氏は「自宅でリモートワークをする人が増えました。そうした人たちのお酒の飲み方は、のんびりリラックスするという方向にシフトしています」と説明する。

コロナ禍で自宅はこれまでの「生活の場」に加えて、「働く場」という性格も帯びるようになりつつある。「お客様は家飲みという行為に、オンとオフを切り替える『スイッチ』のような役割を期待するようになっています」(井島氏)。当然、家飲みの主役級パートナーに成長した缶チューハイにも、仕事中のミネラルウオーターやコーヒー類とは別物の「気分転換ドリンク」としての風味や飲み口が期待される。新シリーズの開発にあたっては、この二つの変化に正面から向き合った。

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