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木造中高層ビル、仙台や銀座に 耐火性高めじわり増加

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NIKKEI STYLE

木造の中高層ビルが国内でじわりと増えてきました。3月末には7階建てが仙台市内に完成し、今秋には東京・銀座にも12階建てが登場する見通しです。材料の進化が背景にあり、脱炭素を進める流れの中でも注目を集めています。

中高層ビルといえば鉄骨やコンクリート製が主流でしたが、1990年代以降は欧州を中心に木造が広がってきました。カナダでは18階建ての木造ビルが2017年から学生寮として用いられ、20階を超えるものも次々計画されています。

仙台市内に完成したビルは木造建築のシェルター(山形市)が手掛けました。スギの無垢(むく)材を束ねた「束ね柱」を使うのが特徴です。木造ビルが増える背景にあるのは耐火性など技術の進歩です。シェルターは、高層ビルに必要とされる3時間の耐火性能を持つ建材を開発したことがビル建設につながりました。

木造ビルの多くは直交集成板(CLT)という新しい建材を使います。板の木目を直交するように貼り合わせて強度を高め、中高層ビルの柱や梁(はり)を木製とすることが可能になりました。内閣官房によると、CLTを用いた国内の建築物は20年度で約550件。過去5年で10倍に増えました。住友林業は一部を鋼材で補強すれば、70階建ての木造ビルを施工できるとする構想を発表しています。

環境負荷の小ささも注目される点です。木材は製造時の二酸化炭素(CO2)排出量が鉄筋コンクリートの2~3割程度との試算があります。三井不動産と竹中工務店が25年の完成を目指す東京・日本橋の17階建てビルは、建築時に排出するCO2が同規模の鉄骨造に比べて20%少なくなる見通しです。

木を植え替える森林リサイクルの視点でも木材利用は重要です。森林はCO2を吸収して温暖化防止に貢献しますが、木は老いると吸収力が落ちてしまいます。木造ビルの普及を提唱する東京海上日動火災保険の隅修三相談役は「戦後の大規模な植林が老齢期を迎えている。脱炭素のためにも森林リサイクルは必要」と指摘しています。

木造ビルのさらなる普及への課題は鉄骨造と比べて1~2割高いとされる建築コストです。まとまった需要があれば軽減は可能で、CLT建築物が普及する高知県では、単位面積当たりの建築費が鉄筋コンクリート並みに下がったこともあります。

日本は国土の約7割が森林と世界有数の資源を持つ一方、木材自給率は33%にとどまります。隅氏は「林業が活性化すれば地方に雇用も生まれる。最大の需要者であるオフィスビルを木造にする意義は大きい」と話していました。

隅修三・東京海上日動火災保険相談役「地方創生は都心の木造ビルから」

政府は2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロとする目標を掲げています。実質ゼロのためには単に排出量を減らすだけでなく、森林の活用によりCO2の吸収量を増やさなくてはなりません。いち早く木造ビルの可能性に注目してきた東京海上日動火災保険の隅修三相談役に、日本での森林資源活用などについて聞きました。

――「脱炭素」で木造ビルに関心が高まってきました。

「日本は戦後に進めた大規模な植林の樹齢が50年を超えている。森林による温暖化ガスの吸収力は一定年齢でピークを迎え、その後は低下する。本当はピークを過ぎた木は伐採し、吸収力のある若い木に植え替えていかなくてはいけない。伐採と植林による山林リサイクルのためにも、切り出した木を大量に用いる木造ビルの普及が重要だ」

――そもそもどうして木造ビルに注目したのですか。

「私は山口県の山の中で育った。(進学と就職で)東京に出てきて、だんだんと地方や里山が廃れていく状況にじくじたる思いが募った。そこで林業に注目したのだが、大規模な需要が生まれない限り林業の復活はない」

「ヨーロッパでは中高層ビルに木材が使われていることを知り、『これだ』と思った。日本では木造は燃えやすく、地震にも弱いという固定観念が定着しているが、CLT(直交集成板)を使えば強度が鉄筋コンクリート並みのビルも造れる。オフィスビルやマンションへの需要が出てくれば、林業に投資する予見性も高くなっていく」

――普及の状況をどう見ますか。

ヒューリックが銀座に12階建ての木造ビルを建てることになったのは本当にうれしい。さらに地方の企業経営者や、大手デベロッパーからもオフィスビルを木造にする案が出てきている。ただしまだ全体の一部で、本格的な普及は先の長い話になる」

「『木でビルを造るなんて……』という日本人の固定観念が普及への最大の壁だろう。しかし木材に耐久性がないという人には、木造建築として1300年続く奈良の法隆寺を見てもらいたい。大地震に対しても耐震性を発揮できる超高層木造ビルの設計も現れている」

――東京・丸の内の本店『東京海上日動ビル』の建て替えを控えています。

「私は建て替えのプロジェクトに直接携わっているわけではないが、木をできる限り多く使ってほしいと要望している。おそらく受け入れてくれるだろう。将来はオフィスビルが定礎したことを記す銘板のとなりに、木材の使用量やCO2の削減量なども記すようになっていればいいと思う」

――日本の森林の将来をどう描きますか。

「木のオフィスビルは働く人に精神的な落ち着きをもたらす。かたや森林リサイクルが回り出せば、地方で若い人の働き口も生まれる。山林が復活すれば、農地も生き返り、海の環境もよくなる。一石五鳥にも六鳥にもなるのが木造ビルの普及だ」

(高橋元気)

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