通話サービスに多くの制約、Apple Watch利用者も注意

もう1つ、特に音声通話を頻繁に利用する人が注意しなければならないのが、音声通話関連のサービスが大幅に省かれていることだ。5分間の通話定額や、国内通話の通話し放題などはオプションサービスとして提供されているため長時間通話する上で大きな問題はない。しかし、意外と困るのが留守番電話サービスが用意されていないことだ。

留守番電話が使えないと、電話をかけてきた相手が重要な用件のメッセージを残せない。スマートフォンによっては端末内にメッセージを録音する「伝言メモ」など、留守番電話を代替する機能を備えているが、必ずしもすべての機種が搭載しているわけではない。

スマートフォン本体に伝言を残せる「伝言メモ」などを使えば留守番電話の代替ができるが、搭載していない機種もある

留守番電話だけでなく、割込電話(通称、キャッチホン)も使えない。他の番号に電話を転送する着信転送サービスも、povo以外は利用できない。こうしたサービスは音声通話を多く利用する人にとって欠かせないだけに、通話頻度が多い人はオンライン専用プランを契約する前によく考えるべきだろう。

意外と注意が必要なのが、「Apple Watch」のセルラーモデル利用者だ。オンライン専用サービスでは、iPhoneとApple Watchの電話番号を共有する「ワンナンバーサービス」(NTTドコモ)「ナンバーシェア」(au)「Apple Watchモバイル通信サービス」(ソフトバンク)といったサービスが利用できない。

これらのサービスを利用できないと、Apple Watch単体で通話や通信ができず、ジョギング中などにiPhoneとApple Watchをセットで持たなければならなくなる。唯一、KDDIのauブランドでiPhoneとApple Watchを使っており、iPhoneとは別の番号を付与する「ウォッチナンバー」を契約している人は、povoに乗り換えてもウォッチナンバーを継続利用できるが、povoより維持費が高い(割引なしで税込み3465円から)のでメリットは乏しい。

オンライン専用プランでApple Watchのセルラーモデル単体で通話や通信をするには、auで「ウォッチナンバー」を契約してからpovoに乗り換えるのが唯一の手段となるが、povoより維持費が高い

そして新型コロナウイルス禍が明けた際に重要になる国際ローミングも、サービスによっては注意が必要だ。ahamoは82の国や地域で、標準の20GBを費やしてのデータ通信が可能と比較的充実しているが、LINEMOは標準の20GBとは別に通信料がかかるため料金が高額になる。povoに至ってはサービス開始後も国際ローミングの詳細が明らかにされていないことから、現状国際ローミングを重視するならahamo一択ということになるだろう。

ここまで示してきたように、携帯大手のメインブランドの料金プランを利用していた人がオンライン専用プランに乗り換えると、意外に多くの落とし穴がある。「キャリアメールがなくても問題ない」「通話はほとんどLINEで済ますから大丈夫」という人も、携帯電話だけでなくそれ以外のサービス利用状況を調べた上で乗り換えないと、後悔することになるので十分注意してほしい。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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