完成した映画は、騙し合いバトルがスピーディーに展開され、先の読めないスリリングな作品に。また出版界のリアルな現状や、そこで働く人々の逆境の人間ドラマも見どころとなっている。

「スピード感がすごくて、ジェットコースターでワーッと最後までたどり着いちゃうような勢いがある。監督が仕掛けた様々な仕掛けに戸惑いながら、最後まで気持ち良く走り抜けて見てもらえる映画になったんじゃないかと思います。

もともと当て書きされた役だったけれども、原作とは全然違う話になっているので、今や当て書きの役を演じたという印象はないです(笑)。また大八さんの演出が大変緻密で。僕の癖みたいなものを見事に見抜いて、1つひとつ細やかに調整していくんですよ。『ここの間、いらないので取ってください』とか(笑)。だから大きくは違わないんだけど、なんかいつもと違った感じというか。僕の新しい一面が出せたというところでは非常に面白い経験だったし、素晴らしい演出だったと思いますね」

20年末は『紅白歌合戦』の司会を務め、福田雄一とのタッグ作『新解釈・三國志』が興行収入38億円を超える大ヒットに。21年はNetflix映画『浅草キッド』での主演が発表されているほか、TEAM NACSの舞台やWOWOW30周年番組『がんばれ!TEAM NACS』なども控える。

「『新解釈・三國志』は大ヒットになって、大変ありがたい映画になったなあと思います。ただ、『鬼滅の刃』があまりにすごすぎたもんですからね。あまりニュースとして聞こえてこなかったっていうのが、残念なんですけども(笑)。

紅白は、無観客で、ソーシャルディスタンスを取りながらと難しいところはあったけど、みんなで乗り越えて、いい紅白にできたなあと。評判も良かったし、僕自身も本当に楽しかったですね。

そして今年は、NACSが25周年だったかな。本公演もありますし、3月からのWOWOWの番組も、相当面白いと思いますよ。一体なんなのか分からない、新ジャンルのものになっているので。

『騙し絵の牙』は、去年の6月に公開予定だった作品。ずいぶん時が経ちましたが、僕は熟成されて良かったと前向きに捉えてるんです。まだまだ人々の間にコロナの息苦しさが残っているけど、この大変痛快で爽快な気分になれる映画を見て、少しでもスッキリしてもらえるといいなと思っています」

『騙し絵の牙』
 大手出版社の社長が急逝し、改革派の常務(佐藤浩市)が不振雑誌の整理を打ち出す。カルチャー誌の編集長・速水輝(大泉洋)は、文芸誌の編集者・高野恵(松岡茉優)を引き入れてあらゆる奇策で完売を狙うが、社内外には様々な陰謀がうごめいていた……。(公開中/松竹配給) (C)2021「騙し絵の牙」製作委員会

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2021年4月号の記事を再構成]

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