マンションのベランダ、水拭きと排水口点検で大雨対策

ぬらした新聞紙をまいてから掃き掃除をする=高井 潤撮影
ぬらした新聞紙をまいてから掃き掃除をする=高井 潤撮影

風雨にさらされるベランダは汚れやすい場所だが、片付けや掃除は後回しになりがちだ。汚れをためると不衛生なうえ、排水口が詰まって水があふれる危険もある。大雨や害虫の季節が来る前に点検しておこう。

1つ目の点検ポイントは物の置き方だ。ベランダで家庭菜園やキャンプ気分を楽しむ人も増えているが、植木鉢や棚、テーブルなどを乱雑に置いたりしていないだろうか。

マンションの場合、ベランダは「専用使用権」のある「共用部」になる。洗濯物を干したり室外機を置いたりと住人が私的に使える場だが、災害時には壁を破って隣に逃げるための避難経路に使われる。

「避難を妨げないよう、壁の前には物を置かないのが大前提。すぐ動かせない重い物は即座に移動を」。個人向け不動産のコンサルティング・住宅診断を手がけるさくら事務所(東京・渋谷)の田村啓さんはこう指摘する。上下階を結ぶ避難ばしごが設置されている場合は、敷物や物で塞いではいけない。

物の配置にも注意が必要だ。マンション・戸建てともに問題となっているのが物の落下事故。「ベランダの手すりは安全上、1.1メートル以上と建築基準法で定められている。これを超える棚や鉢植えは置いてはいけない」(田村さん)。幅のあるコンクリートの手すりにプランターなどを置くのも、もちろんNGだ。

小さい子どもがいる家庭では転落防止を心がけよう。「子どもは収納ボックスに登ったりイスを動かしたりして、手すりから外をのぞこうとする。子どもの手掛かり、足掛かりになる物は置かない」と田村さんは注意を促す。

2つ目の点検ポイントは水回りだ。排水口にゴミ、枯れ葉、土などがたまっていないだろうか。「排水口が詰まると大雨の時に水が逆流し、マンションの場合は隣に流れていく。戸建ての場合は、窓枠を越えて室内に入ってくる」(田村さん)

排水口は定期的に点検し、ゴミはこまめに取り除こう。人工芝やウッドデッキを敷き詰めている場合は、水の通り道にかかっていないか確認を。敷物の下には湿気とゴミがたまりやすく、久しぶりに持ち上げてみたら「コケやカビが生えていた、虫がわいていたということも」(田村さん)

害虫などが発生していないか。これが3番目の点検ポイントだ。段ボールや新聞紙、壊れた木製の家具、水がたまった受け皿、何年も開けていない物置の中などは、鳥や小動物の住処、ボーフラなど不快害虫の発生源になる。不用品は迷わず処分しよう。

「いつも出入りするベランダだけでなく、何年も使っていない“開かずのベランダ”の点検も忘れずに。気づかないうちに害虫だらけというケースもある」(田村さん)

片付けが済んだら掃除に取りかかろう。水を大量に流せない、泥汚れが多いなど、ベランダ掃除は難しそうに思えるが、「手近な道具で十分きれいにできる」と整理収納アドバイザーの綾部奈美さんは助言する。

掃除は風がなく、湿度が高い日を選ぶのがコツ。ホコリが湿気を吸って重くなり、風で舞いにくくなるからだ。

手順は、物を1カ所に寄せてスペースを作り、掃き掃除から始める。新聞紙をちぎって水を含ませ、ベランダの床にまいてホウキではく。こうすればホコリを立てずにチリや髪の毛などの細かいゴミをからめ取ることができる。

次は拭き掃除だ。雑巾を使ってもいいが、「破れにくく、使い捨てができるキッチンペーパーがおすすめ」。ペーパーを水にぬらして軽く絞り、手すりや室外機などを上から下へと拭いていく。鳥の糞などしつこい汚れは、市販の重曹水を吹きかけてペーパーかブラシでこすり、重ねて水拭きする。「洗剤を使うと水が必要になる。泡が残ると固まって取れなくなる。水拭きが一番簡単」と綾部さん。

最後は排水口の掃除。まず、落ち葉など大きなゴミをホウキで集める。こびりついた泥汚れは濡らしたキッチンペーパーでこすり取る。その後、少量の水をかけながらブラシでこする。「ペットボトルに付けるブラシを使うと便利。100円ショップで手に入る」(綾部さん)

定期的に掃除をして汚れをためないことが何より大切だ。排水口が完全に詰まったり、害虫が大量発生したりなど素人の手に負えない時は、専門業者に依頼することも考えよう。

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窓枠周辺からの浸水に注意

戸建てではベランダがプール状態になると、水が窓を超えて2階の室内に侵入することがある。窓枠周辺から雨水が染み込んで、1階が雨漏りすることもある。田村さんは「雨漏りや壁の染みを見つけたらベランダの排水口の詰まりを疑って」と話す。

戸建ての排水口は、排水パイプがベランダの手すりの壁を貫通している。手すりからのぞくと四角い排水枡が見えるので、詰まりがないか点検しよう。「細い棒で突いて詰まりを取ってもいいが、排水枡や雨樋を破損させることもあるため、プロに依頼して洗浄してもらう方が無難」だ。

(ライター 奈良 貴子)

[NIKKEIプラス1 2021年4月17日付]