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次世代リーダーの転職学

ミドル転職は「適所適材」 求められる3つの意識改革経営者JP社長 井上和幸

2021/4/23

次世代リーダーの転職学

今のキャリアは同じ階段を上がるような単線型ではなくなっている(写真はイメージ) =PIXTA
今のキャリアは同じ階段を上がるような単線型ではなくなっている(写真はイメージ) =PIXTA

転職した後に納得のキャリアを積んでいる人と、そうでない人との差がますます激しくなっています。これは新型コロナウイルス禍以前からの傾向でしたが、コロナ禍の中でその乖離(かいり)がさらに進んでいることを、キャリア相談・転職相談を受けている中でこの1年、日々感じます。そこにはどうも、これまで当たり前として語られてきていることについての認識違いや幻想が多分に含まれているのではないか。私には、そう思えてなりません。これからを生き抜く、勝ち抜くための、ミドル転職における意識改革が必要なのです。皆さんの誤解や幻想を解いてほしい、ミドル転職での三つの「グレートリセット」を紹介しましょう。

「ジョブ型」とは、適所適材、ポジション(ポスト)型

まず「グレートリセット」の一つ目に、「『適材適所』から『適所適材』へ」を挙げましょう。以前にも触れたことがありますが(「ジョブ型議論に惑わされるな 転職の売りは3点セット」)、ジョブ型議論にはまやかしや誤解が多分に含まれています。

日本企業の雇用体系は「メンバーシップ型」から「ジョブ型」へと大きく変化しつつある。「ジョブ型」においては、その人がどんな仕事をするかが明確に定められており、それ以外の仕事をすることはない」

これは、ある著名なコンサルタントの近著にあった一節です。「ジョブ型」に関する議論は、おおむねこの論調に近いでしょう。

しかし、私は長らくエグゼクティブサーチ事業に携わり、外資系企業のクライアントから外部採用に際しての「ジョブディスクリプション(JD、職務記述書)」を多く預かってきましたが、「その人がどんな仕事をするかが明確に定められており、それ以外の仕事をすることはない」という内容のJDを見たことがありません。

失礼な表現を顧みずに言えば、概ねのJDは、例えばマーケティングマネジャーのものだったとして、A社とB社、C社のJDを入れ替えたとしても、ほぼ同じ内容のものがほとんどです。要は、それぐらい「ざっくりとした」職務定義なのです。そうでなければ各社の事情に合わせて職務遂行させようがありません。JDに記述していることだけやっていたら、生き馬の目を抜く外資系企業でプロモーション(昇進)などできようがありません。

もしジョブ型議論に本質があるとすれば、それは「適材適所」という考え方から「適所適材」へのリセットです。生かされるポストがまずあり、そのポストであなたが成果を出せるのか否かが明確に問われるようになったということです。

JDが決めているのは、詳細職務ではなく、「ポジション(ポスト)」です。日本で今、「ジョブ型」と呼ばれているもののグローバルスタンダードは「ポジション(ポスト)型」なのです。

私自身はジョブ型議論以前から、「適材適所」ではなく「適所適材」であると述べています。中堅世代やリーダークラス以上の採用、人事、育成は、「その人を、どこに」ではなく、「このポストに対して、適する人は誰か」で行われます。

対して、新卒入社の新人から、いわゆる若手層までについては、「適材適所」が優先されます。まずその「適所」がある程度以上、特定されるまで、ポテンシャルとしての人材を、それなりにハマりそうな部署・職務に配置する「適材適所」を目指すわけです。

ミドルやシニアの皆さんが新人・若手時代の「適材適所」のままでキャリアや転職を考え、行動していることに、その世代が企業から求められることとのギャップが生じています。意識・認識をしっかり切り替え、「自分は、どのポストに適応できるのか」「そのポストで最大成果を出せるのかを問われ続け続けているのだ」という前提で転職活動し、着任後も任務遂行することが大事です。

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