――20代では何を心がけましたか。

「20代は先輩をロールモデル(手本)とし、自分との違いを痛感することで、いつか先輩のようになれるんじゃないかと思って働いていました。業務内容ではなく、働く先輩や上司が大切です。背伸びして足りない部分を埋めようとしていたので、それが当時あった可能性を引き出してくれる大事なマインドセット(思考様式)でした」

仕事を与えた人の気持ちになる

「20代だけでなく、組織で仕事をしていく中では常に有益な視点でもありました。自分がマネジャークラスの時にも、部長は何で悩んでいて、なぜあんなことを言ってきたのかを考えたりするのは大事です。与えられた仕事をこなすのではなく、仕事を与えた人の気持ちになれば、その人が満足する動き方かどうかなど自分で考え直せるので、その習慣を反復すると強いと思います」

――若い時は気づけない人も多いですが、森さんはなぜ気づけたのですか。

「私の場合、自分の成果やキャリアもですが、短い時間軸で考えているからかもしれません。一昔前だと20代は修行、30代からいい仕事ができるみたいな長い時間軸があったと聞きますが、今は短くなりました。10年後にいい仕事をするためではなく、直近の1~2年間で満足したかったのです。そのためには早く成長しないといけないので、物差しが大事でした。先輩との差を早く埋めたいという気持ちになれたのは、短い時間軸で考えられたのが大きかったでしょうね。特に時間軸の考え方は加速しているのではないでしょうか。若い人には良いアドバイスになるかと思います」

――コロナ禍で正解が見いだせない時代に変わりました。キャリア形成にも影響しますか。

「従来のようにゲームのルールが変わらない中では、経験が勝るのが事実でした。環境変化が加速する中では、変化に適応する人や、自分でゲームのルールを作れる人のパフォーマンスがどんどん高まっていると思います。20~30代のエネルギーで大きく存在感を示すことが、今の世の中をより良い世界に変えていく原動力になるのではないでしょうか。変化を求める生活者や消費者の要望に応えるのは大変ですが、楽しむメンタリティーを持つことの重要性が増しています」

――森さんの働き方に変化はありましたか。

「働き方は大きく変化しました。かつては物量をこなさないと自信にならなかったのですが、今はキャリアのかけ算を意識しています。20代のころはファイナンス周りの仕事が多かったので、コーポレートファイナンスは強みの出発点になりました。職人になるキャリアもあったと思いますが、違うところに自分の特徴を作りたいと思い、転職したのです。コーポレートファイナンスを軸にしながら、事業推進や営業などソフトスキルに広げていきたいと思っていました」

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