スーツとまでは言わないが、ビジネスでしっかりきちんと感をまといたいとき、選ばれてきたのがジャケットだった。だが今、ジャケットはその「きちんと感」というキャラクターはそのままに、今の時代にあった「リラックス感」をまとうための、身近で手軽なツールのひとつへと進化しつつある。
ジャケットを描写する単語に「かっちり」だけではなく「ふんわり」「さらっと」などが加わったように、ジャケットでは快適さが当たり前に。そしてそれとともに、相性のいいインナーやボトムス、さらには靴の幅も広がってきた。スタイルも、着ていく場所やシーンもより自由度が増したジャケットにおいて今大人が狙うべき着こなしを考察する。
紺ブレをスポーティーに寛いで着るなら
「5ポケット」が今、 ちょうどいい
紺ブレザーにスラックスを合わせる着こなしは王道だが、適度な“寛(くつろ)ぎ感”を取り入れたい昨今の着こなしには、カジュアルさを加えられる5ポケットパンツこそ気分だ。
スポーツ由来のブレザーこそ肩肘張らずに着るのが気分
今季もトレンド継続中のネイビーブレザー。「ブレザーにはスラックスを合わせる」というのが、1960年代のアイビー・ブーム当初から引き継がれるもっとも定番的な着こなしだが、”寛ぐ”という意味において、この春に実践してほしいのが5ポケットパンツとの組み合わせ。元来、ブレザーはスポーツ由来の服という側面をもつだけに、カジュアルな5ポケットパンツがマッチするのは至極当然。かしこまりすぎないスポーティーな装いは、今の時世や気分に寄り添ってくれるはずだ。ジーンズで働ける職場も増えている昨今、オン・オフ問わず試してみてほしい。
男らしく着こなすなら AMERICAN Style(アメリカンスタイル)
Style Point 適度にテーパードしたジーンズであくまでスマートな印象に仕上げる
往年のアイビーにならえば、紺ブレの合わせは白オックスフォードのボタンダウンシャツにグレースラックス。もちろんそんな王道も悪くないが、こんな濃紺ジーンズとの合わせなら、より寛いだ雰囲気を演出することができる。シャツはジーンズの素材感を意識してシャンブレーのボタンダウンを。ネクタイのトーンを抑えれば、ビジカジにも対応可能だ。
全体のトーンを抑えた仕事にも行けるアメトラ

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上品に着こなすなら FRENCH Style(フレンチスタイル)
Style Point アイボリーのコットンピケパンツで品よくワークテイストを加味
アメリカの質実剛健なアイテムをベースに、ヨーロッパ流の自由な感覚をミックスした、昨今トレンドとして注目される“フレンチ・アイビー”。ブームとなった1980年代半ば、紺ブレザーを着こなす際によく用いられていたのが、こんなアイボリーのコットンピケパンツ。ボーダーを配したニットTシャツをインすれば、フランス流の知的なカジュアルに。

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Style Point 洗いざらしのホワイトジーンズでクリーンなヌケ感を演出
お堅い印象に思われがちなダブルブレストの紺ブレも、フレンチ的なこなしを表現するにはかえって打ってつけ。鮮やかなブルーのポロシャツで色遊びしつつ、その上からブレザーを無造作に羽織れば、はらりとはためく前合わせがノンシャランとした雰囲気を醸すこと請け合い。そんな装いには、ホワイトジーンズでクリーンなヌケ感を演出したい。


あのアンディ・ウォーホールが、紺ジャケやブレザーにブルージーンズを合わせていたのは有名な話。そのファッションもセンセーショナルだった。

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