カギは「マイクロムーブ」

感情は自分や他者を理解する重要な手掛かりになるとともに、職場の状態を理解するヒントでもあります。相手の感情に注意を払うために、他者に関心を持つことは不可欠です。感情がないがしろにされれば人間関係が悪化し、職場はネガティブな感情が支配するようになります。ネガティブな影響の方がポジティブな影響よりもはるかに大きいという、「ネガティブ・バイアス」の問題も横たわります。

実際に、職場の同僚との関係性は「マイクロムーブ」に左右されるということがわかっている。「マイクロムーブ」とは、メールの返信が遅れたとか、ランチに誘わなかったとかといった、その瞬間には取るに足らないことのように思えるが、互いの関係に影響を及ぼす、些細(ささい)な行動や態度のことである。それらがポジティブに働き、関係を近づけることもあれば、ネガティブに働き、関係を引き離すこともある。
(第2章 ないがしろにされる職場の感情 77ページ)

ネガティブな感情が支配する有害な職場にしないよう、リーダーは率先して非倫理的行為を避けなければなりません。そして仕事以外の話ができる雰囲気作りが、仲間を一個の人間として尊重しているというメッセージになります。職場への所属意識を高める「声掛け」、「笑い」が生まれる環境づくりに加えて、「親友」と呼べる同僚がいることも大きな要素になります。

リーダーにNGな5つの行動

会社や職場への愛着心「エンゲージメント」を高めることも、従業員の満足度を上げて離職を防ぐ効果を出します。そのうえで、働く人の感情を左右する5つの要素を挙げています。「企業ブランド」は自尊心を満たし、「組織風土」は職場への居心地を左右します。「仕事内容」は世の中への役立ち感で働きがいを生み、「リーダー」「同僚」は大きな影響を及ぼします。

特に、リーダーは自らの言動がメンバーにどのような影響を与えているか十分な注意を払う必要があります。著者はその目安として、ロンドン大学教授のトマス・チャモロ=プレミュジック氏が提唱する「部下のストレスを高めるリーダーの5つの振る舞い」――(1)否定的な言葉遣いをする(2)いつもと違う行動やとっぴな行動を取る(3)感情が揺れ動く(4)過度に悲観的な態度を取る(5)人の感情を無視する――を挙げています。

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