高い建物がない御代田の地に立つ「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」。本館客室からは眼前に八ケ岳や北アルプスの山並みが広がる

軽井沢の西、縄文の昔から開けた御代田の地に、ガストロノミーを追求するひらまつが3月中旬、オープンしたのが「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」。北アルプスの眺望が広がる小高い丘(敷地面積約6万平方メートル)に28の客室と9棟のヴィラが建つ。客室全てにテラスと大塩温泉の湯を楽しめる半露天風呂を備え、各部屋はテラスを含め100平方メートルを超えるゆとりあるスペースだ。

レストランから派生したひらまつの施設らしく素晴らしい眺望、温泉、上質な客室空間など「すべては次の一皿をおいしくするために」をコンセプトにした「森のグランオーベルジュ」という位置づけだ。そのために予約時点から送迎(御代田駅からは無料)や滞在中のプランなどゲストとやり取りしながら懇切丁寧なフルコースの旅を演出してくれる。

トレッキングや乗馬などアクティブに過ごすのもいいし、テラスから山々を眺めながらお茶を楽しんだり、別棟のライブラリカフェで名盤のオーディオを聴いてくつろいだりするのもいい。ウエルネスを考えてユニークな水素吸入なども取り入れたサロンもある。夕刻にはサンセットヨガ、日没後は屋外のTAKIBIラウンジでアペリティフのサービスも。ディナーに向けて期待が高まる時間もまた格別だ。

佐久鯉を使った一皿。かわいい花びらが散り、鯉の下には根セロリが隠れている

例えば、佐久鯉(コイ)をスライスしてブイヨンで洗い、大根、人参、ビーツなどがあしらわれた一皿は、鯉が驚くほど洗練された味になっていた。

考え抜かれた料理が次々に出てくるが、すべておいしく完食できる。「次の一皿が引き立ち」全部をおいしく食べられるよう、軽さを意識してまとめていることに、またさすがだと感心させられる。

気持ちよく目覚めた翌朝の朝食は、オールデイダイニングでのサービスのほか、モーニングバスケットをテラスや芝生の上でとることも。高原野菜をふんだんに使ったサラダや八ケ岳の牛乳やヨーグルトなど、緑の中で高原らしい朝食をプライベートに楽しめるのも軽井沢ならではだろう。

小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。