歌番組の司会に初挑戦 演歌の魅力は声(井上芳雄)第91回

日経エンタテインメント!

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井上芳雄です。4月から歌番組の司会を始めました。4月4日からNHK総合で始まった『はやウタ』という日曜の朝4時30分からの番組です。歌謡曲や演歌の最新曲からミュージカルの名曲まで、いろんなジャンルの歌手の方をお迎えして、歌とトークをお届けしています。地上波の歌番組のレギュラー司会は初めてなので緊張しつつも、司会の面白さや演歌の魅力を発見して、また新しい扉が開いたように感じています。

『はやウタ』(NHK総合/日曜午前4時30分・不定期)の司会を務める井上芳雄(右)と保里小百合(NHKアナウンサー・左)。次回の放送は4月18日、ゲストは椎名佐千子・純烈・瀬口侑希・水森かおり・三丘翔太・山内惠介(写真提供:NHK)

『はやウタ』は毎回だいたい6組が出演して、それぞれトークと1曲ずつ歌う30分番組です。1回目のゲストは田代万里生くん、中村美律子さん、西田あいさん、氷川きよしさん、真木ことみさん、吉幾三さんでした。生放送ではなく収録ですが、ほとんどリアルタイムの進行なので時間配分には神経をつかいます。あとどのくらいお話を聞けるのかとか、コーナーが延びたときにどこで巻くかとかを必死で考えながら、ドキドキしながらやっています。大変ですけど、生放送のような臨場感があってワクワクもします。

演歌や歌謡曲のジャンルは初めてお会いする方も多くて、どういうキャラクターで、どんなふうに話されるかまったく想像がつかないなか、トークをするのはしびれるような緊張感があります。でも皆さん、慣れていらっしゃるし、にこやかに楽しくお話ししてくださるので、助けられています。演歌の方々は、番組やイベントなどいろんなところでご一緒する機会があるので、とてもチームワークがいいんです。誰かに質問すると、みんなでツッコんでくれたり、話題を振ってくれたりして、トークが広がっていきます。

僕のことを司会者として接してくれるのも、やりやすいですね。初めて歌番組の司会をやってみて、一歌手として歌番組に出るときの感覚とはだいぶ違うと感じました。ご挨拶するにしても、歌手のときは「ミュージカルをやっている者です」みたいな感じで控えめに自己紹介していたのですが、司会者としてだと「すてきな柄のお着物ですね」とか、あまり臆せずに世間話ができます。普段は、興味があっても照れくさくて自分からはあまり積極的にはいけないけど、自分が司会者だと思うと聞けるし、向こうもしゃべってくれる。役割が違うと、相手との接し方も変わってくるものなんだなと。

何回分か収録したのですが、合間にいろんなお話を聞けました。みなさん、着物はだいたい自前だというので驚いたし、吉さんはオペラ歌手のドミンゴに会ったことがあるそうです。僕が出たコンサートを見てくださっていた方もいらしたし、一緒に写真を撮った方もいます。収録じゃないときの話ややりとりも、楽しい時間です。

きっと、事前にちょっとした会話をするのも、司会者の仕事のひとつだと思うんです。収録で初めて話すよりは、その前に一言か二言交わしていた方がお互いリラックスできるだろうし、僕もこんなしゃべり方をする人なんだというのが分かります。カメラは回ってないけど、気持ちの上では収録が始まっているという感じでしょうか。それは今まで経験したことのない感覚でした。自分がまだそれほど存じ上げないジャンルの方々と、何かを一緒にするというのは新鮮ですね。

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僕は歌を聴くのも好きなんだ
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