出産しても働けることで女性が自信を持ってくれたらうれしい

私は生活と仕事を分けると自分が苦しくなります。できるだけラクに働きたいといろいろ考えて行きついたのが今のスタイルです。その考えに共感し、一緒に働く若い女性が「もう1人欲しくなりました」と言ってくれるとうれしい気持ちになります。

ワークライフバランスとよく言われますが、私にとってはワークもライフも一緒。ワークライフミックスです。ただし、子どもが大好きで常に一緒にいたいというのとはちょっと違って、適度な距離感が親子関係を良好にしてくれました。

「毒親」の要素 2人目誕生で吹っ切れる

コロナ禍で在宅勤務が広がりました。子連れ在宅勤務は子連れ出勤よりずっと大変です。場所が変わらないから、子どもは切り替えられないのです。対策としては例えば家の中で「これから仕事を始めます」と、子どもにも始業が分かるようにマットを敷いて遊びの場を作るとか、何かしらの工夫が必要です。もっとも子連れ出勤を経験している人の方が子どもがいるなかでの在宅勤務も容易でしょう。小さい頃から仕事する母親の姿を見ているので、子どもも理解しやすいのです。私は、親の働く姿を積極的に見せることをお勧めします。

先ほど申し上げたように、私の場合、子どもとの適度な距離感は仕事があるからこそ保てるのです。自分には子どもに過干渉になってしまう「毒親」の要素があると感じています。例えば幼少期。長女はNICUで一時期を過ごしたので、当時の私は「大きく育てなきゃ」と必死でした。一生懸命離乳食を作っては食べてくれないとイライラ。一心に取り組むあまり、日光浴は時間を計って毎日エクセルで管理していたほどです。

吹っ切れたのは2人目が生まれたからです。1人目の時の経験から、離乳食も無理に与えるより、いつか時がくれば自分で食べるだろうと放っておきました。すると、あるとき、のり巻きをムギュっとわしづかみにしてむしゃむしゃ食べ始めたのです。母親がイライラしていたら子どもにも伝わるもの。自分自身が気持ちよく過ごすことが子どものためにも大切だと感じました。

その後も子どもを過度に管理しそうな場面はありました。この悪い癖は長女の大学受験でも再発し、エクセルで時間管理を始めてしまったことも。だから、仕事中心で子どもを見ないくらいが私たち親子にはちょうどいい距離感。仕事のおかげでいいバランスを見いだすことができました。

「娘ならどうにかなる」 中学で短期留学に出す

2009年に子どもたちとボルネオへ。それまでなかなか仕事から離れられなかったが、海外に出て気持ちが軽くなった(本人提供)

3人の子育て中、食事だって毎回きちんと作っていたわけではありません。ある時、ふろふき大根を大量に作りました。なかなか食べきれないので翌日もその翌日もふろふき大根が続きます。いいかげん子どもが文句を言い始めたので「じゃあ自分たちで作ったら?」と。子どもたちは小学生の頃から自分たちで食事を作るようになりました。

テレビドラマに出てくる理想の女性、理想の母親像に女性自身が縛られる部分もあるかもしれません。でも大切なことは「自分がどうしたいか、どうありたいか」です。仕事でなくとも、例えばボランティアか何かを子どもと一緒にすることでもいい。自分の世界を持つことで子どもとのいい距離感を築けるかもしれません。周りの意見を気にする必要はありません。子育てのゴールとは、子どもの自立だと思います。

娘は中学生の時にオランダに短期留学に行きたいというので1人で行かせました。周りは驚いていましたが、私は「娘なら海外に放り出されても1人でどうにかするだろう」という自信がありました。小さな時から親以外の多くの人と関わってきたからかもしれません。

今は3人とも成人し、長女と次女は社会人になりました。息子は大学生で、下の2人はつくば市の我が家で一緒に暮らしています。私自身は子連れ出勤を生涯の研究テーマとして、勉強中です。この春、修士課程を修了、春から博士課程に挑戦です。子連れ出勤が私にとってラクだったのは、そこになにか真実があるのではないかと考え、研究を進めます。子どもには「大学院の授業料が払えなくなったらよろしくね」と伝えています。

(聞き手は編集委員 中村奈都子)