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サントリースピリッツRTD部の井島隆信課長

サントリースピリッツRTD部の井島隆信課長

手軽に楽しめる缶チューハイはいまや「家飲み」の主役になりつつある。今では当たり前になった家庭での「食事×缶チューハイ」というコンビネーションを広めた立役者がサントリーホールディングス(HD)傘下のサントリースピリッツの「-196℃」だ。果実をまるごと使った味わいを特徴とする-196℃誕生のきっかけは、開発担当者が居酒屋で気づいた「おいしさの秘密」にあった。

-196℃の発売は2005年。20年の販売実績は3733万ケース(1ケースは250ミリリットル×24本換算)で、発売から16年で約5倍にまで伸びた。サントリースピリッツの推計によると、缶チューハイ全体の市場は、20年に2.5億ケースで、同じ期間で2.5倍に拡大した。市場全体の2倍のペースで成長してきた-196℃は「缶チューハイで家飲み」を広めた存在といえるだろう。

11年間にわたり-196℃ブランドを担当する、サントリースピリッツRTD部の井島隆信課長は「21年の販売は前年比4%増を見込んでいます。コロナ禍で家飲みが増えたことによる『巣ごもり需要』もありますが、それ以前から気軽に楽しめるお酒だという認知が広がり、お客様に受け入れられてきました」と勢いの持続に自信をみせる。

缶チューハイの歴史はまだ浅い。1958年に朝日麦酒(現アサヒビール)が最初に発売したとされる缶ビールに比べ、缶チューハイが誕生するのはそれから25年以上も後のことだ。第1号は1984年に宝酒造が発売した「タカラCANチューハイ」といわれる。

-196℃発売前の2000年ごろは、缶チューハイの人気はまだ「脇役」的なものだったといえるだろう。自宅で飲まれるお酒はビールやワインが主流。今とは対照的に、コンビニエンスストアやスーパーの売り場では、缶チューハイは主役のビールの脇に置かれる日陰の存在だった。

2001年にキリンビールが「氷結」を発売したが、「まだ消費者にとって缶チューハイは、甘くてジュースのような飲み物というイメージでした」(井島氏)。幅広い層に受け入れられる今のような状況には程遠かった。一方で、競争もまだ激しくなく、サントリースピリッツは缶チューハイの成長の可能性を感じ取っていた。同社が大型新商品の投入チャンスをうかがうなかで、「おいしい缶チューハイをつくるためのヒントは現場にありました」(井島氏)。

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