障害は価値に変えられる バイト先で起業精神を学ぶミライロ 垣内俊哉社長(上)

ミライロ社長 垣内俊哉氏
ミライロ社長 垣内俊哉氏

障害者や高齢者など誰もが使いやすいユニバーサルデザインの企画・設計を手掛けるミライロ(大阪市)社長の垣内俊哉さん。生まれつき骨が弱く折れやすい病気のため、幼少期から車いすで過ごした。これまで20回以上骨折し、10回以上の入院生活を経験した。大学時代に起業し、障害者手帳のアプリ化など革新的なサービスを次々に提供。若手起業家として注目を集めている。

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――デジタル障害者手帳と呼ばれる「ミライロID」が急速に普及しています。どのようにビジネスモデルを考えたのですか。

「このアプリは私の原体験がもとになっています。4歳で障害者手帳を交付された時、母が泣いて手帳を持ち帰ってきたことを今も覚えています。日本には約900万人以上の障害者がおり、その多くが障害者手帳を所持しています。この手帳を電車やバスなど交通機関や映画館などの施設で見せると、割り引きをしてくれるなど各種サービスがあります。しかし、手帳のフォーマットは200種類以上あります。事業者側は本物かどうか判別できず、確認する際の負担になっています。そこでフォーマットの一元化を提唱し、2018年夏にアプリを作ろうと思ったのです」

デジタル障害者手帳、1000社以上が対応

「アプリ化してスマートフォン上で管理すると非常に便利です。将来は航空機の座席を予約する際、車いすの幅や重量などデータを相手側に事前に連絡するなど関連情報との連携も進めていける可能性があります。構想から約半年後の19年2月には、さまざまな方の協力を得て、手帳の現物を提示せずにスマホで対応することが可能になりました。この手帳は障害者にとってパスポートのように大切なものです。消失して一大事になることもあり、国が電子化を認めてくれたのです。結果的に、運転免許証などに先駆けて障害者手帳がこの手の電子化の第1号となりました」

――鉄道など多くの交通機関で利用できると聞きますが、現在、何社がこのアプリに対応していますか。

「最初は6社でしたが、わずか1年半で鉄道やバス、タクシーなど交通機関を中心に1000社以上に増えました。映画館やカラオケ店のほか、外食などの企業も導入しています。SDGs(国連が定める持続可能な開発目標)や障害者雇用に熱心な企業も参画しています。このアプリを知ってもらうため、対象となる企業の経営者らには直筆で手紙を送りましたが、皆さん、このアプリは便利だと賛同してくれました」

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