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「子ども庁」創設に動く政府 コロナで少子化が加速

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NIKKEI STYLE

菅義偉首相が「子ども庁」創設の意向を示しました。子育て施策は厚生労働省や文部科学省、内閣府など複数の省庁にまたがります。縦割り行政の弊害を取り除き、国を挙げて子育てしやすい社会を築く狙いです。

菅首相の指示を受け、自民党は13日に「『こども・若者』輝く未来創造本部」を立ち上げました。待機児童対策など子ども庁がどんな施策を担うかも検討します。22年の発足を目指すあわただしいスケジュールです。次期衆議院選の目玉施策がほしいという党内事情もありますが、コロナ禍で少子化が加速し、強力に対策を推進する組織が必要とされる背景もあります。

厚労省「人口動態統計速報」によると、2021年1月の出生数は6万4千人、前年同月比14.6%も減りました。新型コロナの感染拡大で生み控えが広がった影響といわれています。正式発表はまだありませんが、20年の年間出生数(日本人)は84万人程度だったとみられています。1月の減少率が今後も続けば21年の出生数は72万人台に落ち込みます。コロナ前の国の推計は21年が88万6千人なので、状況は深刻です。

対策に動く自治体もあります。岩手県北上市は今年度から多子世帯応援給付金として第3子以降の子どもを育てる保護者に年間10万円を支給します。所得制限はなく、7歳以下の子どもが対象です。福岡県筑後市は20年度から臨時出産祝い金を子ども1人に付き5万円支給しています。当初は20年度限定の計画でしたが、今年度も支給します。「出生数が例年より減っている。経済不安解消のために継続を決めた」(子育て支援課)

19年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの人数)は1.36。前年比0.06ポイント減少しました。人口維持には2.07が必要といわれ、遠く及びません。

そんな状況でコロナ禍に見舞われました。少子化を研究する中京大学の松田茂樹教授は「経済力や社会保障制度、地方などを将来も維持できるのか。日本は今、瀬戸際です」と指摘したうえで、「子ども庁ができれば一元的に強力な支援を進められる。ただ、それだけでも足りない」と注文します。

経済協力開発機構(OECD)などの調査によると、日本の家族関係社会支出(手当や給付金など)は国内総生産(GDP)比1.9%で、少子化対策で効果を上げている英国(3.4%)やフランス(2.9%)に見劣りします。松田教授は「コロナ禍の生み控えは将来への不安が大きい。消費増税も辞さずに財源を確保し、手厚い現金給付など思い切った支援が必要です」と強調します。

松田茂樹・中京大学教授「少子化対策支出の拡充が不可欠」

中京大学の松田茂樹教授は、国の少子化克服戦略会議で座長を務めるなど、長年にわたり少子化を研究しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響も含めて、少子化克服の方策をうかがいます。

――新型コロナウイルスの感染拡大は個人の出生動向にどんな影響を及ぼしましたか。

「国は3月、今年1月の出生数速報値を発表しました。1月の出生数は6万4千人、前年同月比14.6%も減っています。1回目の緊急事態宣言発令は2020年4月。『十月十日』の妊娠期間を加味すると、新型コロナの影響が本格的に出てくるのはこれからですが、出生数の先行指標でもある婚姻件数は昨年からすでに減っており、2月以降も厳しい結果が予想されます」

「2020年11月に他大学の研究者と共同で出生動向に関する意識調査を実施しました。対象は子どもを持つ25~45歳の男女約600人。子どもをもっとほしいか否か、新型コロナの感染拡大が行動にどう影響しているななどを尋ねました。現在すでに1~2人の子どもがおり、さらにほしいと考えている回答者のうち、約3割が出産時期を先送りしていました。この結果からも、出生数の低下は避けられないと思われます」

――ウィズ/アフターコロナにどう臨めば良いでしょう。

「出産を先送りした人には2つの特徴がありました。1つは男性で年収が低い方。コロナ禍の景気後退で経済的に苦しくなったため、子育てのコストを負担できないと考え、子どもを持つ時期を見直したのでしょう。もう1つは専業主婦の女性です。コロナ前から、働く女性の方が専業主婦よりも出産意欲が高い傾向がありました。その理由は、専業主婦は欲しいと考える人数の子どもを、すでにもうけている割合が高いからです。こうした事情に加えて感染予防のために巣ごもりを強いられ、専業主婦は社会的な孤立が増し、子どもを持ちたい意欲がさらに減衰したと思われます」

「コロナの影響に関していえば、経済の立て直しが一番です。私たちの調査からも分かるとおり、経済的な不安を抱える夫は、子どもをもう1人、2人と持つのためらいます。先の見通しが立たないと未婚者は結婚を先送りし、出生数を押し下げる要因になります。コロナ禍で景気が悪化し、人件費を抑制する動きも企業に見られますが、雇用を安定させることがコロナの影響から脱する第一歩となります」

――国は今までも少子化対策に取り組んできました。コロナの影響を受けて今まで通りの対策で足りるのでしょうか。

「総括的な少子化対策を打たなくてはいけないと考えます。日本の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの人数)は00年代半ばに底を打ち、回復傾向にありました。しかし10年代後半に伸びが止まり、再び減り始めています。コロナ前の19年出生数は86万5千人で、国の推計を上回るペースで少子化が加速しています。そこにコロナ禍が加わり、日本の少子化はさらに深刻な状況に陥るリスクがあります。社会保険制度や経済、地方を維持できるか否か、今が瀬戸際です」

「少子化の要因は数多く、複雑に絡み合っています。未婚化・晩婚化も原因ですし、夫婦がともに正社員のパワーカップルにとっては保育所整備など両立支援が大切です。夫だけの片働きだったり共働きでも夫婦がともに非正規雇用だったりしたら雇用の安定や経済支援が欠かせません。育児不安を抱える専業主婦には孤立防止策が有効でしょう。とにかくどんな家族・雇用形態であろうと、子どもを持ちたいと願う人が理想とする人数の子どもを持てるよう、施策を総動員しなくてはなりません」

「結婚するかしないか、子どもを持つか持たないか、子どもを持つとして何人持つか。これらは個人に決定権があり、国は強要できません。結婚や出産の自由を守りながら、少子化を克服するには、希望する人が1人でも多く結婚できるようにし、子どもがほしいと願う人は希望する子どもの数を持てるようにするしか方法はありません」

「特に重要なのは多子世帯を応援することです。結婚・出産しない選択を尊重するなかで少子化に歯止めを掛けるには、3人以上子どもを持つ人が増えることが重要です。日本では今も3人以上子どもを持ちたいと願っている人が一定数います。その希望がかなわないのは経済的な理由が大きいのです。子育てコストがかさみ、家族の収入だけでは3人、4人と子どもを育てるのは難しい。彼ら彼女らに手厚い経済支援を急ぐべきです」

――その財源はどう確保すればよいのでしょうか?

「経済協力開発機構(OECD)調べでは、日本の家族関係社会支出は国内総生産(GDP)比で1.9%。少子化対策で効果を上げている英国3.4%、フランス2.9%、スウェーデン3.6%に及びません。特に現金給付が劣っており、もっと支出を増やさないと少子化に歯止めは掛けられません。個人的には消費増税が現実的な財源確保策だとみています。あわせて政府予算全般の支出構造を見直し、少子化対策支出を拡充することが求められます」

「先述したとおり、日本の少子化は瀬戸際にあります。いかに危機的状況にあるか、説明を尽くして負担増を理解してもらうしかありません。特に主体的に未婚や子どもを持たない選択をしている人たちの意識改革が欠かせません」

「出産や結婚の自由は個人の重要な権利で。それは尊重しなくてはいけません。一方、子どもを生み育てなくても安心して暮らせるのは国が経済的に豊かで、年金や医療、介護など個人の生活を支える社会保障制度が維持されているからです。今、少子化でその前提が揺らいでいます。増税で負担が増えようとも、子どもが多い世帯により手厚く配分することが、自分たちの自由を守るためでもあると気付いてほしいと思います」

(編集委員 石塚由紀夫)

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