宙を舞う香りに酔いしれながら、レンゲでスープをすすると、3種類のしょう油を合わせて作ったカエシ(しょう油ダレ)の滋味と、複数の素材が一体化して生まれた分厚いうま味が、せめぎ合いながら味蕾(みらい)を伝い、味覚中枢に浸透する。

3種類のレギュラーメニュー(「醤油らぁ麺」「塩らぁ麺」「担々麺」)と限定らぁ麺を現在、提供中

スープをすすれば、すするほど節の和風味が明確に像を結び、輻輳(ふくそう)する味わい。鶏と節が、昆布からのグルタミン酸を媒介に、しっかりと手を握り、まさに盤石のひと言。作り手の研さんの跡が、目に見えるようで、完成度が高い。

注文を受ける度、丹念に手もみを施す自家製麺も「このスープにしてこの麺あり」の傑作だ。箸で持ち上げる度に国産小麦の華やかな香りがそよぎ、多幸感に包まれる。無我夢中で食べ進めるうち、いつの間にか丼は空っぽになっていた。

アクセスの良さも考えれば、このレベルの店を訪問せずに放置しておくわけにはいかない。ぜひ時間を見つけて、足を運んでいただきたい。

◆Rachette(ラシェット)(千葉・北柏)

~熟練のフレンチ職人が技の限りを尽くした1杯。「コンソメ」の魅力をとくと堪能あれ!~

続いてご紹介するのは昨年12月、千葉県柏市内にオープンした『Rachette(ラシェット)』。同店の最寄り駅であるJR常磐線北柏駅から徒歩10分強と、立地は必ずしも至便とはいえない。

千葉県柏市に昨年12月オープンしたRachette(ラシェット)

にもかかわらず、今回ご紹介することにしたのは、現在の日本のラーメン界においてエポックメイキング的意味合いを有する店と確信するからに他ならない。具体的に言えば、この店は「フレンチとラーメンの融合」という試みに挑戦し、見事に成功した稀有(けう)1軒だからである。

店主の山本悠希氏は同店のシェフで父親の山本祐司氏と二人三脚で、同店を開業した(悠希氏は店舗のデザイン等を担当)。シェフの祐司氏は、この店を開業する前、約30年にわたり名古屋市や富山市の有名ホテルでフレンチのシェフを歴任した経歴の持ち主。「本物のコンソメスープが持つ魅力を、ラーメンという食べ物を通じて、数多くの人たちに伝えたい」。そんな思いを抱き、独学でラーメン職人の世界へ飛び込んだ。