ラシェットの定番メニュー「コンソメしょうゆ」

現在、同店が提供するのは「コンソメしょうゆ」と「ホンビノス貝らーめん」の2種類。「鍋が少し変われば、全く味が変わる」と言われるほど、調理に高い技量を要するコンソメスープを、これまでの知識を総動員しながら、ラーメン用にカスタマイズ。

「フレンチのコンソメスープは通常、牛骨を多用しますが、ゼラチン質が出過ぎてしまうので、代わりに肉の分量を増やしています。また、煮干し等の魚介を加え、味に重層感を付与しています」。毎日午前3時~4時に起床し、鍋に向き合っているという。想像を絶する手間暇のかけように、食べ手としては、ただただ脱帽するほかない。

1杯の味わいは「素晴らしい!」のひと言に尽きる。定番メニュー「コンソメしょうゆ」には、メインのラーメンに加え、マー油、ライム等のアイテムが添えられるが、それらの助力を一切借りずとも、一滴残らずスープを飲み干せてしまうほどのけん引力を誇る。

スープやローストポークの随所にフレンチの技法が光る

トッピングのローストポークもまた、作り手の超絶的な技量の高さを見せつける。「低温調理」の技法はラーメン界では数年前から普及し始めたが、フレンチの世界では数十年前から存在していた。そんなフレンチの技法を駆使して作られたローストポークは、肉のうま味を余すところなく封じ込めた絶品中の絶品。素材も、うま味豊かな三元豚を厳選するこだわりよう。端的に申し上げて「次元が違う」としか言いようがない。

ここまで内容が充実した1杯が900円で食べられるとは、まさに奇跡と言うしかない。こちらもぜひ、召し上がっていただきたい一杯である。

新店のタマ数がそろってくれば、ラーメン界の「今」を特徴付けるトレンドも見えてくる。淡麗ラーメンは数年前にピークを迎え、近年は徐々に落ち着きを見せ、代わって濃厚系やガッツリ系ラーメンを出す店の新規開業が最近は目立つ。そのトレンドは当面まだ続きそうだが、淡麗タイプのラーメン人気も依然、健在なのは間違いない。

(ラーメン官僚 田中一明)

田中一明
1972年11月生まれ。高校在学中に初めてラーメン専門店を訪れ、ラーメンに魅せられる。大学在学中の1995年から、本格的な食べ歩きを開始。現在までに食べたラーメンの杯数は1万4000を超える。全国各地のラーメン事情に精通。ライフワークは隠れた名店の発掘。中央官庁に勤務している。