産業構造が変化する中、求められる力が変わってきた

一例を挙げてみましょう。「化粧品」といえば、従来は百貨店やドラッグストアにブースを設け、あるいはメーカーによっては自社店舗を構え、対面カウンセリングを行いながら販売するスタイルが一般的でした。

しかし、近年の新興化粧品メーカーは、店舗での販売を行わず、電子商取引(EC)サイトを中心にプロモーションから販売、顧客サポートまで完結させている企業が多数あります。オンライン上で顧客の声をリアルタイムで吸い上げ、スピーディーに商品をアップデートしていくことで成長を遂げています。

つまり、研究開発をじっくり行った上で自社こだわりの製品をマーケットに投入する「プロダクトアウト」型ではなく、顧客のニーズに対応して製品を変えていく「マーケットイン」型のビジネスが台頭していると言えます。こうした企業では研究開発特化型の人材より、マーケティングに強い人材が重宝されるのです。

化粧品業界を例に挙げましたが、こうした傾向はあらゆる業界に見られます。この変化を察知した理系出身者たちは、マーケティングや経営、場合によってはファイナンスなどのビジネス知識を身に付け、事業開発分野でのキャリアを築いていこうとしています。

このとき、これまでの専門分野とは異なる業界へ移るケースも多々あります。実際、家電→自動車、機械・電機→エネルギー、医薬品→食品など、異分野への「越境転職」の事例が増えてきています。一昔前まで、理系の人たちにとっては、同業界・同分野での転職が当たり前で、そもそも転職するという発想もなかったことを考えると、これは大きな変化と言えるでしょう。

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