「在宅ワークごっこ」で19万台 セガのパソコン玩具
コロナ禍で「在宅ワークごっこ」が子供たちの間で人気だ。セガトイズ(東京・台東)の「マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコン」と、付属品を追加してデザインなどを一部変更した「マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコンプラス」の販売が好調。年間10万台売れればヒットといわれる玩具業界で、2商品合計の販売台数は2021年2月末時点で19万台を突破し、20万台に迫る勢いだ。20年9月には「マウスでバトル!! 恐竜図鑑パソコン」(以下、恐竜図鑑パソコン)も発売。これも21年2月末までに5万台近くを売り上げたという。
いずれもパソコン型のおもちゃといえる商品。20年度からの新学習指導要領で実施される、小学校でのプログラミング教育の必修化を視野に開発した。パソコンとして本格的なタッチタイピングを体験できる日本産業規格(JIS)配列準拠キーボードを採用。人気キャラクター「すみっコぐらし」の仲間たちと一緒に楽しめるゲームやプログラミング、学習コンテンツなども備える。
すみっコぐらしはサンエックス(東京・千代田)の人気キャラクターで、18年6月にバンダイが行った「お子さまの好きなキャラクターに関する意識調査」で、小学生女子のランキングで低学年・高学年共にトップ3に入った。19年には「日本キャラクター大賞」も受賞している。セガトイズ企画本部プロダクト企画部プロデューサーの菅原亜矢子氏は、「モニター調査を行うと、すみっコぐらしがはやりだしていたので採用した」と話す。
コロナ禍における巣ごもり需要も、販売の追い風になった。在宅ワークをしている親の姿に憧れる子供が、「在宅ワークごっこ」としてパソコン型のおもちゃを購入する例が増えているという。
「玩具業界には以前から『パソコン市場』があった。それがコロナ禍と在宅のテレワークの影響で、パソコンの憧れアイテム度が高くなったのではないか」(セガトイズ プロモーション部副部長広報の東方嘉基氏)
学校を巡る新たな動き、パソコンとしての機能、人気キャラクターの採用、コロナ禍による需要の変化といった、さまざまな要素をうまくつかんだことで、ヒット商品になったようだ。
人気キャラクターを動かしたい
すみっコぐらしパソコンの対象年齢は6歳以上。学研の小学校低学年向けテキスト『毎日のドリル』『言葉パズル』の学習コンテンツやゲームも合わせた全10の科目のカテゴリーと136のメニューをそろえる。「『プログラミングを学びたい』というより、『すみっコぐらしと学びたい』がある。すみっコぐらしのキャラクターを『動かしたい』という思いから、自然に『面白いから他のアプリを使ってみよう、学校でもっと勉強しよう』というきっかけを提供できるようにしたかった」(菅原氏)
恐竜図鑑パソコンは、すみっコぐらしパソコンのシステムを流用しながら、パソコン玩具にはなかった恐竜をテーマに設定。いわゆるバトルもの、アクションものに興味のある未就学児を想定し、「かっこよさ」を前面に打ち出すことですみっコぐらしパソコンとターゲットを分けた。「学習しながら遊ぶことで、恐竜も一緒に強くなっていくようにした」(セガトイズ企画本部プロダクト企画部シニアスペシャリストの下川智氏)
(アートライター/少女漫画ジャーナリスト 丹野加奈子、写真提供 セガトイズ)
[日経クロストレンド 2021年4月5日の記事を再構成]
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