本来、フォーマルの最上級の時計といえば2針、ラウンドケース、ダイヤルは白かシルバー、バンドはシルクサテンかクロコダイル革がベストといわれています。そこまでいかなくとも、きちんとした場にふさわしい時計といえば3針ドレスウオッチがしっくりきます。スポーツ要素が強い時計などは、冠婚葬祭に着けにくい場合もあるでしょう。ドレスウオッチは正統派の時計ということで、「初めてスイス時計を手にされる方にご購入いただくことが多いのです」と野原さんは言います。

文字盤・ケースの色、ストラップ…バリエーションも豊か

ビジネスユースとして大事な点がもう一つあります。それは比較的薄型であるということ。腕時計はワイシャツの袖口にケースやリューズがひっかかることがよくあります。紹介してもらったクリフトン ボーマティックであればワイシャツの袖口に収まります。シャツをオーダーで作る場合は、時計を着け、厚みを考慮したうえで採寸するといいでしょう。

また、スーツを着こなす際に気をつけたいこととして、「時計の革ベルトとパンツのベルト、靴の革の色を合わせるときれいです」と野原さんはアドバイスします。色彩のコーディネートに統一感をもたせるときれいに見えます。

ビジネススタイルの定番として支持を集めるドレスウオッチですが、近年はバリエーションが広がっています。「クリフトン ボーマティック」でとくに目を引くのが、グレーやブルーのグラデーションが美しいラッカー仕上げの文字盤です。このほか、ピンクゴールドのケースにしたり、ストラップを交換したりすることでイメージは大きく変わります。それでも、ベースがシンプルなデザインなので落ち着いた印象を保てるのです。

「たとえば営業職などでお客さまと相対する場合、相手よりも華美な時計をすることは控えた方がいいと思います」と野原さん。ゴールドやダイヤモンドの過剰なきらめきは、時に不快感を与えることもあります。目立ちすぎない、ということも、ビジネスの場での時計選びで大切な点でしょう。

(Men's Fashion編集長 松本和佳)

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