MINIクロスオーバーのPHEV 変わらぬホッとできる世界

2021/5/9
MINIクーパーS EクロスオーバーALL4(4WD/6AT)
MINIクーパーS EクロスオーバーALL4(4WD/6AT)
webCG

すっかり大きくなったMINIシリーズのなかでも一番大きいのが「MINIクロスオーバー」だ。ラインナップで唯一のプラグインハイブリッド(PHEV)モデル「クーパーS EクロスオーバーALL4」に試乗し、最新モデルの仕上がりを試した。

乗りたかったPHEV

MINIクロスオーバーのハイブリッド、クーパーS Eに乗り込み、ダッシュボード中央のトグルスイッチ、現代のMINI乗りにはおなじみのスタート&ストップのスイッチを押す。けれど、ウンともスンともいわない。この場合のウンともスンともとは、内燃機関(ICE)のサウンドと振動、ということになるわけですけれど、プラグインハイブリッド(PHEV)なのだから当然といえば当然である。

シフトレバーをDレンジに入れ、アクセルペダルを慎重に踏み込む。パーキングブレーキが自動的に解除され、電気の力で無言のまま走り始める。2017年に上陸した2代目MINIクロスオーバーは、MINIのくせに「ゴルフ」クラスにまで成長しているのはご存じの通りである。前輪駆動になった「BMW 1シリーズ」とプラットフォームを共有しているのだ。といって、不思議なことに、運転してはさほどの大きさを感じないのがMINIの真骨頂である。それが筆者的に初試乗となるこのPHEVではどうなっているのか、というのが関心の中心である。

2代目MINIクロスオーバーのPHEVであるクーパーS E、2020年9月末に国内デビューを飾ったそのフェイスリフト版である。おおむね7年というモデルライフのなかで、登場以来3年ちょっとを経て、定例のお色直しを施して後半戦へ突入するという儀式を受けたこの最新モデルが、ではさて、前期型と比べてどこがどう違うのか。ということが読者諸兄にとっては最大の注目点であろう。

筆者にしてからそうである。しかしながら、筆者は前期型に乗っていないので、それについては言及できないことを冒頭お断りしておかなければならない。それならあなたは、前期型に試乗してから、後期型に乗ればよかったではないか。それができなかった以上、あなたは別のひとにこのクルマの試乗記を譲るべきではなかったか。というご指摘はごもっともである。しかしながら、筆者だって乗りたいではないですか、MINIクロスオーバーのPHEVに……。というわけで、筆者はこのお仕事をお引き受けした次第です。

全長4315mmを誇る「MINIクロスオーバー」。MINIシリーズのなかで最も大きく、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」よりも大きい。
フェイスリフトによってヘッドランプのベゼルだけでなく内部のユニットも角型に変更。グリルとバンパーの形状も変わっている。
リアコンビランプは他の「MINI」シリーズと同じユニオンジャックをモチーフとした意匠に。
試乗車はオプションの18インチタイヤ&ホイールを履いていた。タイヤ銘柄はピレリの「チントゥラートP7」。

中国に向けたメッセージ

で、後期型へと移行した2代目MINIクロスオーバーシリーズ、全体に共通する変更点をおさらいしておくと、主な違いは、LEDヘッドライトの形状が丸型から角型に変更になったことである。これまでも四角い目つきではあったけれど、その中身のLEDまで四角くなった。丸が穏やかさ、円満、天然・自然の象徴であるなら、四角というのは正確さ、精密さ、人工の象徴だと申し上げることができよう。その証拠に、幼子が最初に描く絵は□ではなくて○である。自動車デザインにおけるヘッドライトも、最初は○だった。技術の進歩が□型を実現せしめた。MINIクロスオーバーも、そのような歴史の反復、もしくは必然ともいうべき進化を遂げたことになる。

さらにリアのLEDライトが、ほかのMINI同様、ユニオンジャックをくっきり浮かび上がらせるデザインになった。言うまでもなく、日の沈むことのない帝国の国旗であり、MINIブランドの出自を物語るアイコンだ。バッジを付けていないと、なんだかよくわからないものになりつつある。という皮肉な見方もできるでしょうけれど、オリジナルMiniにだって英国の国旗はつきものだった。

試乗車のように「ピアノブラックエクステリア」というオプションを装備すると、ライトのまわりに黒い縁どりがされて、パンダみたいな顔になる。これはMINIから中国へのメッセージだとも考えられる。

というのも、2020年10月の発表によると、MINIは「グレートウォールモーター(長城汽車)の協力のもと、2023年よりフル電動モビリティー向けに開発された新たな車両アーキテクチャーをベースとしたバッテリー式電動車両が生産される予定」だからだ。現状でもMINIの新車販売の約10%が中国の顧客向けだというから、かの地におけるMINIの人気ぶりが想像できる。その人気に、国産化と電動車両であることによる減税が加われば、MINIブランドの販売台数は一気に増える。加えて、デザインのパンダ化による爆発的流行も狙っている。これを「パンダミック」と呼ぶ(私だけですけど)。

試乗車のボディーカラーは「セージグリーンメタリック」とともに新規設定された「ホワイトシルバーメタリック」。ルーフとミラーキャップのカラーリングはブラックがチョイスされていた。
インテリアカラーは「ピアノブラック」がスタンダード。試乗車にはオプションの「シェ―デッドシルバーイルミネーテッド」がチョイスされており、各部がシルバー調でコーディネートされていた。
新規設定された5インチのフル液晶メーターパネルはオプションの「デジタルパッケージプラス」に含まれている。反射を抑えるコーティングが施されており、バイザーレスでも視認性は良好。
フェイスリフトを機にスポーツレザーステアリングホイールが全車標準装備に。「MINI」らしいずっしりとした操舵感がある。
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