メリットはそれぞれにあります。大企業でしか獲得できない経験もありますし、小さくとも急成長する企業でしか得られない経験もあるからです。

一方で、大企業ではポストが詰まりチャレンジする機会が与えられないリスクがあります。中小企業ではそもそもビジネスが破綻するリスクがあります。

ただ、それでも少なくとも20年前とは大きく様変わりしてきました。

中小企業のデメリットであるビジネス破綻のリスクに対して、そこからでも再度転職するチャンスが増えているからです。

だから、多くの会社から内定を得られるような若者に対して私は「成長性のある会社」で「若者に責任ある立場を与えてくれる会社」を選ぶよう助言をしています。そこに企業規模はほぼ関係しません。

とにかく大手に就職してネットワークを広げた方がいいよ、と助言していた時代はすでに過去のものになりました。

すでに大手にいるあなたへ

もしあなたが既に大手企業に就職先を決めていたり、既に勤務していたりするのなら、助言する内容は「成長性」を軸にしたものになります。

それは「老舗のすし屋」ではなく「ミシュランの星をとるすし屋」を目指すことです。

老舗のすし屋が大事にしているのは、代々引き継がれてきた品質の高さであり、それによって蓄積されてきた優良顧客層です。

大企業に勤めるという際に期待されることの大半は、老舗店のすしの質を引き継ぎ、優良顧客を引き留める業務を覚えるということです。銀行や証券会社、広告代理店や商社など、業態と問わず、企業規模が大きくなれば、その規模を守るためになすべき伝統的業務があるのです。

しかしそんな中にいても、「ミシュランの星をとる」ことを目指してください。

飲食系のコンサルタントに聞くとわかりますが、現在のミシュランの星は、良い料理を出していればいつか誰かが見つけてくれる、というものではありません。むしろ「先進的な調理器具を積極的に採用」し「スペシャリテ=これだけは食べてほしいというメニューを確立」し、そのことを「広くアピールする」ことによって獲得できるものになっています。そうして得られるのは、新しいブランドであり、新しい顧客であり、新しいビジネスの価値です。そうすれば、大企業に自分のキャリアを預けることなく、自分で自分のキャリアを歩んでいけるチャンスを得られるからです。

企業規模を前提に自分の活躍の場を選んだとすれば、その中でも成長性を確保できる場を探してみることをお勧めします。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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