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中山雅史さん ユース選手に伝えたプロで生き残るすべ

不屈のサッカー人生(下)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

2020年に初の自叙伝『再起は何度でもできる』(PHP研究所)を出版した中山雅史さん(53)。長年、膝などのケガで苦しむが、2年半地道にリハビリトレーニングや治療を続けた結果、2015年にアスルクラロ沼津(現J3)へ入団。一度もピッチには立てない中、19年に沼津への単身赴任を決意する。その理由や、50代という加齢における心身のマネジメントなどについても伺った。

――2015年にアスルクラロ沼津に入団され、東京から沼津での週2日の練習に通われていましたが、2019年に沼津に単身赴任されます。それはなぜですか?

16年からJFA(日本サッカー協会)公認S級コーチのライセンスを取得するために講習会を受講していましたが、指導実績がないと取得できないルールに変わりまして。そこで、アスルクラロ沼津U18の選手たちのコーチとしてサポートすることで、指導実績を積むことにしたのです。ライセンス取得後も指導していますが、通いだと週1~2回しか見られず、指導実績としても認められないし、彼らの練習をきちんと見たいという思いもあり、思い切って生活拠点を沼津に移しました。基本的に週1回、東京で仕事があるので、車を運転して通い、東京に帰った時に治療も受けて、また沼津に戻るスタイルです。

――コロナになる前に地方移住した感じですね。

そうですね。沼津での一人暮らしは快適でしたよ。自分のタイムスケジュールで動けるので、生活のリズムが作りやすい。午前中に練習し、休憩後にユースの練習に出て、家に帰って食事、風呂に入って寝るという規則正しい生活を送っていました。睡眠時間は7時間ぐらいでしょうか。休日や空いた時間の掃除や洗濯は、いい気分転換になりました。食事までは作れませんでしたが。

――食事はどうされていたのですか?

行きつけの家庭的な定食屋さん(めし処「しめしめ」)があって、そこが最高にうまいんです。ありがたいことに、店主のお父さんとお母さんが本当に良くしてくれてね、ランチに行くとおかずをたくさん出してくれる。食べ切れないから、3分の2ぐらい食べて、残りを持参のタッパーに詰めてもらって夜ご飯にするんです。おにぎりも2個くれるから1個は夜に食べて、もう1個は、翌朝の朝食として、バナナと牛乳と一緒に食べます。そして翌日のお昼に、またその定食屋さんに通うというサイクルが出来上がっていました(笑)。

――加齢との付き合い方として、食事やメンテナンスなどで意識されている点はありますか?

もちろん加齢とともに筋肉は落ちます。体脂肪率も代表やJリーグのピッチで走り回っていたときは4~8%でしたが、今は10%前後になりました。それをどう減らすかが常に課題です。楽屋にケーキが用意されていても、「俺の目の前で全部食べちゃって!」とメイクさんに食べてもらうなどして我慢していますが、ついついお煎餅に手が伸びてしまうことも…。基本的に間食はナッツ類で済ませ、それでもおなかが減ったら風呂に入ります。熱めの湯につかると、喉が渇いて、おなかが減ったことを忘れるんですね。水をガブガブ飲んでしまいますが、こうやって食べ過ぎを防いでいます。

お風呂でも我慢、汗をかくのも「サッカーのため」

――入浴はリラックス効果がありますよね。

お風呂でリラックスは、していないです(笑)。お風呂では汗をかきたいので、30分ぐらい入って我慢しています。僕の場合、普段の生活はすべて「サッカーのため」につながっていて、汗をかきたいのは「体にキレをもたせたいから」。汗をかけば、「汗をかいた」という安心感が得られるんです。やってる事はめちゃくちゃですよね。リラックス効果はなく、肉体的にもあまり良くないのだろうけど、「ああ、スッキリした」という精神衛生上のストレス発散になっているのかもしれません。

加齢に関しては、タブレットを見ていると、目が悪くなってきたなぁと思うし、年には逆らえないなぁと思います。でも昔は1時間半~2時間前にはクラブハウスに行ってましたし、今はちょっと遅くなりましたが開始1時間前には練習場所に着いて、体をほぐすストレッチをして、トレーナーに体をチェックしてもらい、できるだけケガを防ぎ、悪化しないようなケアの習慣を続けています。

「自分の"替え"はいくらでもいる」と早く気づいたもん勝ち

――ユースの選手を指導する立場にもなって得られた気づきはありますか?

高校生の練習を見ていると、今の自分にはできない切り返しの速さなど、ハッとさせられるプレーがあります。一方、一番基本的なものをやれていない選手もいる。例えば、「ボールを取られたら素早く相手を追う」「相手に食らいつく」という動きはまさしくそうで、そこにかける思い一つで改善できます。でも僕が「やれよ」と言ってもできない選手は多く、その基本ができるかできないかで、監督の目に留まる選手になれるかなれないかが分かれる。自分のサッカー人生を振り返っても、プロの世界で生き残っていくすべは、そこなんです。自分との闘いに絶えずアプローチできるかどうかが大事。その基本を突き詰めていけば、その選手の武器になると思うんですよね。

クリスティアーノ・ロナウドやリオネル・メッシになりたいと思って練習してもいいんです。でも、あんなスーパースターになれるのは、ほんの一握り。スーパースター以外のその他大勢は、"替え"がききます。"替え"のきかない選手になるには、しつこくボールに食らいつくハングリー精神や、現状を見ながら自分で判断できる力などをアピールするしかない。それが監督の目に留まって初めて、相手と戦うピッチに立つことができます。僕が言っているのは、プロになって、その他大勢の中で生き残っていくためにはどうしたら良いのかなんです。「『自分の"替え"はいくらでもいるんだ』と早く気づいて、実践したもん勝ちだよ」とユースの選手たちには言いました。

すべてを否定せず、教えない指導

――指導側になって、難しい点はありますか?

指導は簡単ではないです。特に高校生には、すべてをダメだと否定するのは良くないなと思います。その選手の可能性を潰すことにもなりかねないから。「良いプレーは良い」と伝えることが大事だし、僕はどちらかというと熱が入って、つい答えというか自分が考えるこういうプレーをするべきだと言ってしまう方ですが、すべてを教えず、「どういう考えで今のプレーをしたの?」と選手の意見を聞いて、自分で答えを導き出せるようにサポートすることが大事だと学びました。

指導者を経験すると、選手の方が楽だなぁと思います。一方、指導者の視点を持つことで、選手としての自分へのメリットにつながるとも思っています。創設3年目のユースの選手からたくさん学びましたが、その彼らが、ジュビロ磐田と名古屋グランパスのユースに勝って初めて全国大会(日本クラブユースサッカー選手権大会)に出場したんです。すごくないですか? うれしかったですが、同じ選手として負けてられない、悔しいなと思ったりもします(笑)。

――中山さんにとって、今の時点でサッカーとはどんな存在ですか?

W杯などの舞台を経験すると、あの歓声と興奮は忘れられないですよね。もちろん、あの舞台には立てないけれど、ピッチに立ってみんなと一緒にプレーして興奮を味わいたい。そう思わせてくれるものです。それに加えて、サッカーは自分の最上級の"喜怒哀楽"を運んできてくれるものだと思っています。リハビリがうまくいくと喜びに変わるし、痛みが再発すると悲しさや悔しさ、苦しさを味わう。サッカーに関連した仕事をいただくことで、楽しさも得られます。

実は、2020年の4月末にも手術しました。2019年末からお尻が痛かったのですが、年が明けてMRIを撮ったら、お尻の筋肉が骨からはがれてかろうじて皮一枚でつながっているみたいな状態でした。「もはや、これまでか」と思いました。当時はまだ、アスルクラロ沼津との契約期間が残っていましたし、手術をしないと日常生活にも支障が出るので、リハビリして改善の余地があるなら、オペをやるしかないと判断しました。ボルトを坐骨結節に打ち込むなどして、はがれたお尻の筋肉をくっつけるイメージの手術です。

先生には無理を言って、オペした翌日に退院しました。痛かったですが、6週間ほど松葉づえ生活を続けて。すると、右足に体重をかけられないので筋力が落ちて、膝が痛くなるんですよ。リハビリやトレーニングのやり直しになるんだと思いました。でもそれをやらなければ走れないし、やるしかないと思って、今はやっと歩けるまでになりました。

膝のトレーニングに集中したいのに、また違う部位もリハビリしなければいけないという悔しさもあります。でも、その悔しいという感情も含めて、やっぱり現役にこだわりサッカー中心の生活だからこそ得られるものなんですよね。サッカーは僕の人生を豊かにしてくれるものだと思っています。

(ライター 高島三幸、写真 厚地健太郎)

中山雅史さん
1967年生まれ。静岡・藤枝東高、筑波大学を経て、90年にヤマハ発動機サッカー部(現・ジュビロ磐田)に入団。98年、Jリーグ年間最多の36ゴールを記録(当時)し得点王と最優秀選手(MVP)、2000年にも得点王に輝く。1998年フランスW杯、2002年日韓W杯の2大会に出場し、1998年フランスW杯のジャマイカ戦で日本人選手としてW杯初ゴールを決めた。2010年コンサドーレ札幌に移籍。12年第一線を退くことを発表。15年アスルクラロ沼津と契約。20年S級ライセンスを取得。21年ジュビロ磐田のコーチに就任。同時にYouTubeを始める。新著に『再起は何度でもできる』(PHP研究所)。

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