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転職による年収増減は産業ごとに異なる(写真はイメージ=PIXTA)

転職による年収増減は産業ごとに異なる(写真はイメージ=PIXTA)

転職者数が2019年に過去最多を記録するなか、35歳以上で転職によって年収が増加した層が増えているのに対し、34歳以下は年収が減少した層が増えています。こうした傾向を業界別に見ると、どうなるかを考察したいと思います。今回はA.T.カーニーの筒井慎介シニアパートナーに聞きました。

各産業への転職によって年収が増加した率や、その中でも年収が3割以上増加した率について、19年の全産業平均との差を示したのが図1です。1のジャンプアップセグメントは平均して年収増が期待され、3割以上の大幅増の期待も高いセグメントです。2のアベレージセグメントは3割以上の大幅増の期待は低いものの、平均的に年収増が期待されるセグメントです。3のワンチャンセグメントは平均的には年収減の可能性が高いものの、中には3割以上の大幅増の可能性も期待されるセグメント。4のチャレンジセグメントは転職による年収増の期待が低いセグメントです。産業別に転職による年収増減の動向が違うことが分かります。

図1 産業別の転職による年収変化(全産業平均との差分、2019年) 出所:厚生労働省の雇用動向調査より、KEARNY作成

同じ分析を10年の状況に対して行ったものが図2です。10年と19年を比較してみると、まず全体の傾向として10年は比較的中心点(全産業平均)に寄っており、産業別の差が小さいのに対し、19年は中心点から分散しており、産業別の差が大きくなっているのが分かります。現在の年収を大きく上回る待遇で多様な即戦力を求め、採用のあり方を変化させた産業が平均を押し上げる一方、採用のあり方を従来と変えていない産業が平均を下回り、産業間の差が広がったということが考えられます。

採用の変化で年収の産業別格差拡大

10年、19年ともにジャンプアップセグメントにあるのは金融・保険業のみですが、金融・保険業も年収3割以上増加の率は上がっています。情報通信業や医療・福祉、学術研究、専門・技術サービス業は10年にはチャレンジセグメントにありましたが、19年にはジャンプアップセグメントにシフトしており、採用のあり方が変わっていることが推察されます。

図2 産業別の転職による年収変化(全産業平均との差分、2010年) 出所:厚生労働省の雇用動向調査より、KEARNEY作成

チャレンジセグメントからジャンプアップセグメントにシフトした情報通信業をさらに深掘りしてみたいと思います。情報通信業は10年時点でも全産業平均から大きく下回っていたわけではなく、昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)ニーズに対応するための採用強化が背景にあるであろうことは容易に推察できます。

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