日経クロスウーマン

2021/4/16

身近なジェンダー・ギャップに疑問の声を 社会は変えられる

ジェンダー・ギャップに対して声を上げることは、政治家や社会活動家ではなくても、皆さんにもできます。身近にある男女格差に疑問を感じ、それが本当に必要な価値観かどうか、一人ひとりが再検討していくだけで、社会は変えられるのです。

今はSNS(交流サイト)という便利なツールがあります。SNSで発信したり、同じ考えの投稿をシェアしたりするアクションだけでもいい。最近話題になった「#わきまえない女」(*)が、いい例でしょう。

(*)2021年2月、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(当時)が、発言の短い組織委員会の女性理事らを「わきまえておられる」と表現したことを受けて、SNS上で「#わきまえない女」を付けての抗議の声が相次いだ

これまでは、男性社会で女性が生きていくために、立場を「わきまえる=おとなしくしている」という処世術が時に必要でしたが、そのようなことをしていては一向に男性優位社会は変わりません。女性が声を上げる、つまり「わきまえない」アクションを始めたことで、社会のジェンダー意識が高まっているのです。

他にも、学校で組織されたPTAに対して「男女差を感じる」という声も聞くようになりました。ベルマークを集めたり、登下校の見守りをしたりするなどの実務を無償で担っているのは女性が多いのに、組織の上層部は男性が多い。この状態をおかしいと感じる人は、とても多いと思います。

一方の男性も、「男らしく」というレッテルを貼られ、重圧を感じているケースが多く見受けられます。まずは声を上げ、さまざまな立場からの意見を聞き、皆で考える。社会全体での対話が、ジェンダー平等な社会実現のためにとても重要なステップです。

ジェンダー・ギャップをなくすには、所得格差の改善が必要

ジェンダー・ギャップの改善を進めるには、所得格差の対策も欠かせません。コロナによる自粛要請で失われた仕事は、接客やサービス業など、女性労働者の比率が高い職業に多く、明日の食費のめどさえたたない人が大勢います。そんな状態で、「ジェンダー・ギャップ指数120位!どうする日本」なんて問題を提起しても、ぜいたくな悩みにしか聞こえないでしょう。

実は、ジェンダー・ギャップの放置が女性の貧困の解決を遅らせてきたのです。女性リーダーを増やすことは急務ですが、そのことによって社会にどのような変化が生じるのかを見通していく必要があります。女性がリーダーとなって、さまざまな女性の声を積極的に拾い上げ、法律を変えて、所得格差やハラスメントを改善していく。この道筋をつけることが大切です。

ジェンダー・ギャップ指数は、そのきっかけ、手掛かりにすぎません。120位という結果を踏まえて、私たちは引き続き、声を上げていく必要があります。

三浦まりさん
上智大学法学部教授。専門はジェンダーと政治、現代日本政治論。『日本の女性議員 どうすれば増えるのか』(朝日選書)、『ジェンダー・クオータ―世界の女性議員はなぜ増えたのか』(明石書店)、『私たちの声を議会へ 代表制民主主義の再生』(岩波書店)など関連の著書・共著書も多数。

(取材・文 力武亜矢=日経xwoman編集部)

[日経xwoman 2021年4月5日付の掲載記事を基に再構成]

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