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ココアフラバノール 脳血管を活性化、認知機能も向上

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日経Gooday(グッデイ)

ココアに含まれるフラバノールを高用量摂取すると、脳の血管の機能が活性化され、同時に一部の認知機能も向上することが、英国で行われた小規模な無作為化試験で明らかになりました。

フラバノールは、ポリフェノールのなかで最もよく知られているフラボノイド系化合物の一種です。緑茶の成分としてよく知られているカテキンやエピカテキン、エピガロカテキンなどがフラバノールに分類されます。フラバノールは緑茶のほか、ココア、ベリー、ブドウ、リンゴ、紅茶などにも豊富に含まれています。

これまでに、フラバノールを摂取すると手足などの末梢血管の機能が向上することや、加齢による認知機能の低下を防ぐ作用を持つ可能性が示唆されていました。そこで今回、米イリノイ大学のGabriele Gratton氏らは、若く健康な男性を対象に無作為化試験を行い、フラバノールが脳血管の機能と認知機能に及ぼす影響を調べることにしました。

フラバノールを多くとると、脳の「酸素化」がより強く起こる

試験に登録したのは、普段タバコを吸わず、脳、心臓、血管、呼吸器の疾患を持たない18人(18~45歳、平均年齢23.9歳)の男性です。若く健康な人々を選んだ理由は、フラバノール摂取後に何らかの変化が見られれば、フラバノールによる影響と見なせる可能性が高いからです。

まず、フラバノールの摂取が脳血管の機能に影響するかどうかを検討するため、対象者に二酸化炭素を5%(通常の濃度の100倍)含む空気を吸わせて、脳の血液中の二酸化炭素濃度がフラバノール摂取前後にどう変化するかを調べました。二酸化炭素濃度の濃い空気を吸うと、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し、酸素濃度が下がります。このとき、健康な血管は、脳への血流を増やしてより多くの酸素を送り、二酸化炭素を追い出す(=酸素化)ことでこの事態に対応します。そうした変化がどの程度みられるかを観察したわけです。用いたのは機能的近赤外分光分析法で、これにより、脳の皮質部分の酸素化ヘモグロビン(酸素と結合しているヘモグロビン)と脱酸素化ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビン)の量を測定しました。

参加者は、最初に二酸化炭素を5%含む空気を吸い、この検査を受けました。続いて、フラバノール含有量が多いココア(高用量ココア、フラバノール681.4mg)またはフラバノールをほとんど含まないココア(低用量ココア、フラバノール4.1mg)を飲み、2時間後に再度同じ検査を受けました。さらに2週間以上経過した後に、初回に高用量ココアを飲んだ人には低用量ココアを、初回が低用量ココアだった人には高用量ココアを飲んでもらい、同じ検査を行いました。

その結果、検査を受けた17人のうち13人で、高用量ココア摂取の2時間後に5%二酸化炭素を吸入した後に、酸素化ヘモグロビンの量が大きく上昇していました。上昇幅は、低用量ココア摂取後に同じ実験をした場合の約3倍でした。また、吸入から酸素化ヘモグロビンの増加が始まるまでの時間は、低用量ココア摂取後より高用量ココア摂取後のほうが約1分短く、高用量フラバノールの摂取により、脳の酸素化の反応が、より強く、より素早く生じることが明らかになりました。このような反応の違いは、脳画像検査でも確認されました。

一部の認知機能テストの成績も向上

次に、フラバノールの摂取が認知機能に及ぼす影響を調べるための検査を、ココア摂取後2時間の時点で行いました。検査に用いたのは、日本で脳トレ(脳トレーニング)の1つとしてテレビなどでも紹介されることが多い、色読みテストです(下図参照)。評価は、解答の正確さと、問題を解くために要した時間に基づいて行いました。

図 色読みテストの例

すると、18人中14人において、ココア摂取前および低用量ココア摂取後と比べて、高用量ココア摂取後に成績が向上していました。ただし、成績が良くなったのは、最も難しい(4)のダブルストループテストだけでした。

残りの4人には、認知機能検査の結果に高用量フラバノールの影響は見られませんでした。これら4人には、高用量ココア摂取後に、脳の酸素化の有意な上昇も見られていませんでした。4人について著者らは、「ココアを摂取する前から酸素化レベルが高かったために、ココアによるさらなる改善の余地が少なかった可能性はある」との考えを示しています。

得られた結果は、フラバノールが、迅速かつ強力に脳の血管の酸素化反応を誘導すること、それと並行して、より高レベルの認知機能を求められた際の解決能力を高めることを示唆しました。

脳の酸素化の不調は高齢者に多く、心血管疾患や認知症のリスクが高い人にも認められます。「高用量フラバノールがそうした人にも利益をもたらすかどうかを、今後検討する必要がある」と著者らは述べています。

なお、今回用いた高用量フラバノールココアによってもたらされた利益が、チョコレートを摂取した場合にも同様に見られるかどうかは不明です。チョコレートに加工される際にフラバノールの含有量が低下すること、チョコレートの摂取量が多くなれば、糖分と脂肪分の摂取量も増えることを考えると、効果が得られる量を日常的に摂取するのは困難です。著者らは、「ココアにこだわらず、フラバノール含有量の多い食物(ブドウ、緑茶、リンゴ、ベリーなど)をいろいろと摂取するほうがよい」との考えを示しています。

論文は、2020年11月24日付のScientific Reports誌電子版に掲載されています[注1]。

[注1]Gratton G, et al. Scientific Reports volume 10, Article number: 19409 (2020)

[日経Gooday2021年3月15日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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