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コロナ起源は野生動物か WHO、飼育容認の中国に懸念

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ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の起源を調査するために2021年1月に中国を訪れた世界保健機関(WHO)は、ウイルスは複数の異なる動物種を経てヒトに感染した可能性が最も高いとする報告書を3月30日に発表した。また、最初に由来する動物はコウモリかセンザンコウであり、研究所からウイルスが漏れた可能性は非常に低いとしている。

コウモリやセンザンコウから別の動物(中間宿主)を経てヒトに感染した可能性が高いという結論について、「我々の多くがずっとそう考えてきました」と、米コロンビア大学感染症免疫学センター長で、20年1月に中国で仕事をしていたイアン・リプキン氏は言う。だが氏は、「中間宿主を特定しておらず、まだ不確実です」とも付け加えた。

報告書によれば、19年末から感染爆発が起きた武漢華南市場は、最初の症例とは無関係であり、ヒトへの感染が初めて起きた場所ではないという。ただし、華南市場にどのようにしてウイルスが持ち込まれたかや、その役割については結論を述べていない。また、どの動物が関わったのかをはっきりさせるよう、畜産農場と野生動物農場双方のルートを調査するよう提唱している。

コロナ以前の野生動物農場の実態

パンデミック(世界的大流行)以前に中国にたくさんあった、小さな肉食用野生動物農場を訪ねたときのことを、動物愛護団体「ヒューメイン・ソサエティ・インターナショナル」の中国政策専門家であるピーター・リ氏はこう振り返る。

長くふさふさとした尾を持ち、顔にはアライグマのような模様があるハクビシンが、10匹ほど同じ囲いの中に入れられていた。その飼育場は豚舎を転用したものだった。ハクビシンは8~12カ月ほどそこで飼われた後、売却されていた。野生動物が密集した不衛生な状態で飼育されていれば、病気がまん延する可能性は非常に高いと、米ヒューストン大学ダウンタウン校の東アジア政治学教授でもあるリ氏は述べる。

こうしたハクビシンの一部は最終的に、高級レストランで高価なスープの材料になったとみられる。中国では、ハクビシンは一部の人たちからごちそうとして珍重されている。

パンデミック以前は、こうした野生動物農場から、中国の野生動物市場に生きたハクビシン、タケネズミ、ワニ、ヤマアラシ、ヘビなどが供給され、主に飲食店に向けて販売されていた。

多くの飼育場があった中国南部の雲南省ではまた、人間の間で流行している新型コロナウイルスとほとんど変わらないウイルスがコウモリから発見されている。一部の野生動物農場では、ハクビシンなど、コロナウイルスに感染する可能性がある別の動物も販売されていたため、科学者らは、そうした種は新型コロナウイルスにも感染しやすいのではないかと考えている。

「可能性としては、そうした動物の一部が飼育場で感染し、その後ウイルスを市場に持ち込んだことが考えられます」と、WHO調査団を率いたデンマーク人の食品安全の専門家ピーター・ベン・エンバレク氏は2月、「サイエンス」誌に語っていた。

多くの野生動物農場は原生地域に隣接しており、飼育されている動物たちは近くにすむ感染したコウモリの排せつ物から容易に感染しうる状況にあった。そのうえ、リ氏によると、一部の飼育場ではおそらく、捕獲販売する野生個体の不足をカバーするために繁殖を行い、それらを販売していたと思われる。

ウイルスが飼育下にある個体(野生由来であれ繁殖されたものであれ)に入り込んでしまえば、それは個体から個体へと感染し、その過程で変異していく。そうした個体が市場に到着するころには、ウイルスはまた別の種、つまりはヒトに感染できるまでに進化していたかもしれない。

今回のパンデミックを受けて、中国は20年2月、食用の野生動物の販売と消費を禁止した。20年末にはさらに、政府は新型コロナウイルスへの対応の一環として、食用の飼育場をすべて閉鎖したと発表した。だが、毛皮や伝統薬など、その他の目的での飼育は容認している。

これはつまり、捕獲された野生動物から病気が広がるリスクは消えていないことを意味すると、英国ロンドンの非政府組織(NGO)「環境調査エージェンシー」に所属し、中国に200カ所以上あるトラ牧場の調査を行っているデビー・バンクス氏は言う。

とくに懸念されるのは毛皮を採取するための飼育場だ。たとえば、完全な野生動物ではないものの、ミンクは新型コロナウイルスに対して脆弱で、ヒトに感染させる可能性がある。中国のミンク飼育場においてすでに、欧米にある数百の飼育場と同じようなコロナウイルスの集団感染が起こっているかどうかは定かではないが、中国のミンク市場の規模は大きく、19年には1100万匹分以上の毛皮が生産されている。

感染ルートの特定は困難でも重要

野生動物の飼育場は新型コロナウイルスの感染源になり得るものの、もし強力な証拠が存在すれば「非常に驚きだ」とリプキン氏は言う。

自分が知る限り、飼育場が動物からヒトへの新型コロナウイルスの感染をうながすきっかけとなったことを証明する検査は行われていないと、リプキン氏は言う。また、たとえ今ウイルスが飼育場で発見されたとしても、その場所が初期の流行において重要な役割を果たしたのか、あるいはそこの動物たちが最近になって感染したのかを見極めることはできない。

パンデミックからすでに1年以上が経過しており、感染ルートを特定する証拠を得るのは難しいように思われる。それでも、ウイルスがどのように人間に感染したのかという知識の空白を埋めることは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを理解し、将来的に動物由来の感染症と闘ううえで非常に重要だ。

120ページに及ぶWHOの報告書では、感染源となった地域やヒトへの感染がどのように始まったのかは、結局のところ明らかにされなかった。WHOのテドロス事務局長は「すべての仮説がテーブルの上に残っています」と声明で述べ、引き続き調査を続けるという。

(文 DINA FINE MARON、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年3月31日付]

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