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メイ氏は押印の前に書類を入念にチェックするという(写真はイメージ) =PIXTA

メイ氏は押印の前に書類を入念にチェックするという(写真はイメージ) =PIXTA

業種や規模はもちろん国境をも軽々と飛び越えて次々に効果的な策を打ち出し、企業を成功に導く。こうした「プロ経営者」と呼ばれる人たちの一人がハロルド・ジョージ・メイ氏だろう。赤字状態だったタカラトミーの社長となるや、わずか数年で最高益へと業績をV字回復させた。そのメイ氏は2018年、新日本プロレスリングの社長に就いて、新たなファンを呼び込んだ(2020年10月に退任)。メイ氏の「仕事人秘録」の第21回では、法務の大切さを説きます。

◇  ◇  ◇

日本企業は法務をあまり重視していないとメイ氏は指摘する。海外に出るにあたって交渉力を維持するためにも、法務の強化が重要だという。

日本企業にとって重要なのが法務部門の強化だと思います。日本では文化的にあまり企業間で訴えたりしないし、もめたりすることも比較的少ない。欧米では普通に訴え合います。そのためか日本は契約に関して認識が甘く、あいまいです。

社内でも契約書をチェックすると、「別途定める」と書いてありながら、その別記が存在しないことがよくあります。「不測の事態が発生したときは誠意をもって交渉する」などと書いてあっても、実際トラブルになったらその一文は何の助けにもなりません。

例えば私が勤務していたある会社との契約書はA4判の紙で半分ぐらいの長さでした。「あなたは何月何日からこのポジションです。給料はいくら。社会保険はいくら。期待していますのでよろしくお願いします」という大変シンプルなものでした。

同じ会社の米国子会社の社長の契約書はA4判で30枚以上、しかも両面に渡る長さでした。非常に事細かに様々なケースについて定めている。驚きました。

イチローさんはメジャーリーグ1年目でMVPを獲得しました。メジャーリーグではルーキーだった彼が1年目でMVPを獲得するとは考えていなかったはずです。しかし、契約にはちゃんとその項目が記載されていたと聞きました。想定しにくいケースまできちんと書いてあるのはすごいと思いました。

日本企業でも大手商社や銀行などで徐々に社内弁護士が増えていますが、海外企業に比べればまだまだです。世界中に子会社を抱える企業ですらこうなのですから、本当に大丈夫なのだろうかと思っています。

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