40歳以降、徐々に深くなる中途採用の年齢断層

「35歳の壁」以降に訪れる大きな断層は、40、45、50歳と、5年ごとにやってきます。この流れは変わりそうにない状況です。5年ごとの断層によって求人数は減ることはあっても増えることはありません。転職を検討する人の出現率は年齢によって大きく変わらないので、転職活動をする人の分母は一定な割に、分子である募集対象人数だけが減っていくので、「転職の競争倍率」は年齢を重ねるごとに上がっていく一方です。

特に45歳を過ぎると、転職活動は長期戦の覚悟が必要になります。「ぜひ入社したい」と考える志望企業の競争倍率は最低でも100倍、「応募してみてもいいかな」と思う程度の求人であっても倍率は30倍はあると仮定して作戦を練るのがちょうどいいぐらいの激戦になります。

転職相談で会う人には「1年間に200社応募して面接まで進めた企業は5社しかない」という人が珍しくありません。転職活動を開始してから、いかに早く相場観を手に入れるかが転職の成否を分けるといっても過言ではありません。

年齢による断層がこれだけ大きくなってきた背景にはどんな理由があるのでしょうか?

一つ目は企業における年齢構成の問題です。バブル入社世代や団塊ジュニアまでを含む40、50代の年齢層が多くを占め、いびつな構造になっているため、できるだけ上の世代を減らしたいという意識が働きやすいことが考えられます。実際、「45歳以上の年齢層の社員が減ることによって、その下の世代にとっては重しがなくなり、組織が若返り、風土的にも活性化する」と述べる経営者もいます。

それ以外にも「既存事業に成長が期待できず、会社全体が戦略を大きく転換しなければいけないときに、45歳以上の層は過去の成功体験に縛られ、身動きができないことが多い。具体的には新規事業や新職種を辞退するなど、自ら行き場を失ってしまうケースもある」(中堅メーカーの人事担当執行役員)というような声もあります。

しかし、もちろん新規事業や新分野進出で「その道のプロがいない」ということになれば、外部から専門家を雇い入れる必要が出てくる場合などは別です。営業や人事、経理部署での中途採用は30代前半までとしている企業でも、海外進出に当たって海外法務責任者やICT(情報通信技術)分野の新規事業を考えている場合はプロジェクトマネジャーやIT(情報技術)エンジニア、デジタルトランスフォーメーション(DX)責任者を、年齢に関係なく、実力次第で迎え入れる割合も強くなります。

過去10年続いた人手不足に際しては「35歳転職限界説はなくなった」と報じられることが増えてきました。確かにコロナ禍で市場が変動する直前までの有効求人倍率は、過去10年間、求職者数に対して求人数がじりじりと右肩上がりで増えてきたこともあり、最終的には何らかの形で転職に就労できる人が多いのは事実です。

しかし、「営業を希望していたが、全く経験のない工場での軽作業のアルバイトでとりあえず糊口(ここう)をしのいでいる」(53歳、元大手家電メーカー営業部長)という人や、「住居から遠く離れた地域での介護送迎車のドライバー職でようやく雇ってもらうことができた」(47歳、元地方銀行営業課長)というケースも多く、「年齢の壁がなくなった」と表現するには、あまりにも希望とかけ離れた転職が多いことももう一つの現実なのです。

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断層ごとに3年前からの準備でリスク減らす
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