断層ごとに3年前からの準備でリスク減らす
これらの現実を前にして、いかに円滑にキャリアを描き、実現していけばいいのでしょうか。具体的にはそれぞれの年齢断層(40、45、50歳)の3年前、つまり37、42、47歳がキャリアを見直す適齢期だと考えています。
なぜ3年前かというと、40歳を超えて転職活動をする場合は、前述の通り、1年で200社に応募して書類通過できた会社が5社というように活動そのものが長期戦になる可能性があるからです。長期戦をしのぐには闘いのスタートを前倒しするのが最善です。
実際に転職活動を始めてから、相場観が「腹落ち(十分に理解、納得)」するまでに必要な時間もあります。一般に転職活動していると、活動初期は応募数が集まりやすい(=競争倍率が高い)求人を選ぶ傾向が強く、徐々に採用が決まりやすい(=ニッチだが、自分が必要とされている)求人に移行していきます。
経験やスキル、知識の需要がどれだけあるかによって、個人ごとの格差は大きいのですが、相対的に転職活動初期から後期にかけて、希望条件の数や基準は変化していきます。できるだけこの時間を短縮してブランクをなくすためにも、転職先を選ぶ希望条件については、最初から優先順位や重みづけを決めておくことをお勧めします。
賃貸住宅の物件選びに例えると、「家賃」「広さ」「駅からの距離」「買い物の便」「日当たり」「間取りの使いやすさ」など、判断するための情報の種類が多く、物件ごとに強みや弱みが錯綜すると、いつまでたっても選べないという状況が起こります。あるいは、すべての条件が「満額」でそろうことにこだわり過ぎると、いつまでたってもそんな物件情報が届かないとか、掘り出し物は競争率が高すぎて全く勝ち残れないということにもなりかねません。あらかじめ希望条件の優先順位を決めておくと、判断速度が速まり、優良案件を手に入れられる可能性も高まります。
最後に、40代以降も満足度の高い転職を実現している人々に共通する行動傾向を以下にお伝えします。
(1)見かけの役職・年収にこだわらず、役割の重さや裁量の自由度にこだわる傾向
(2)自分の経験分野や保有スキルにこだわらず、新しいことにも積極的にトライする傾向
(3)企業に安定を期待するより先に、自分が貢献できることを模索する傾向
(4)経験や年齢を超えた人的交流が活発な傾向
(5)1年、2年という短期ではなく、5年、10年の長期でキャリアを考える傾向
たとえ全体として統計的に厳しい就業環境でも、一人一人が何を成功の基準と置くか次第で、人生の充実を手にしている人はたくさんいます。自分らしい人生を送るために、自分なりの「ものさし」をまずは手に入れてください。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
