新型コロナウイルス禍と重なる部分も

――時代背景についてもお伺いします。原作は高度経済成長期が舞台ですが、映画版が公開されたときはオイルショック、ドラマが放送された後にはリーマン・ショックといったように、景気の絶頂から下り坂になる激動の時期、そして閉塞感に覆われる時代と重なることが多いように感じます。今回はコロナ禍での放送ですが、どのように感じられましたか?

中井:こういうタイプの作品は、自分が生まれていない時代のものであることが多いです。ただ、本作の場合、僕は原作で描かれた高度経済成長期のときは9歳くらいだったので、意外とその当時のことを知っているんですよね。あの頃は海に入ると体中に重油がつくようなことがあったり、近所の多摩川は汚染されていて白い泡が浮いていたり、光化学スモッグ警報が出ていたりしたので、外で一切遊ぶなと言われていました。そんな様子が今のコロナ禍と重なるところがあると僕は感じています。

ほかにも、高度経済成長期と言いながら自分たちが豊かになっている意識が庶民になかったように、今もみんなが苦しんでいるのにどうして株価が上がっているのか疑問に思っている人もいますよね。そういう意味では、時代が重なっている部分はあると思います。

『華麗なる一族』第3話より

――では、今の視聴者にはどんなところを見てほしいですか?

中井:日本人は自己主張が強い国民性ではないので、お金持ちの人たちがどんな生活をしているかというのが見えないところが結構ありますよね。そんななかで、この作品では当時のお金持ちや財閥の名残を垣間見ることができるので、面白いと思います。今は多くの人が昭和の時代がよかったと回顧するような時代にもなっているので、ぜひエンターテインメントとしても楽しんでいただきたいです。

内田:この作品では、一族の栄光と雪崩のように崩れていく親子や男女の絆が描かれています。人が生きていくうえで、きれいごとだけでは済まないんだということを改めて感じました。人間のなかにある欲や嫉妬といった醜い部分をまざまざと描いている作品だからこそ、これほどまでに引きつけられるんだなと。実際に演じながら、常に鳥肌が立っているような感覚がありました。私が演じた相子も、一生懸命に生き抜こうとした女性としてその生きざまを見ていただきたいですし、過去の作品と見比べたりしながら楽しんでいただけたらと思います。

『連続ドラマW 華麗なる一族』

監督:西浦正記、池澤辰也
出演:中井貴一、向井理、藤ヶ谷太輔、麻生祐未、内田有紀ほか
原作:山崎豊子『華麗なる一族』(新潮文庫刊)
4 月 18 日(日)スタート(全 12 話)
毎週日曜午後10時 放送・配信[第 1 話無料放送]
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【ストーリー】
高度経済成長期の日本で、万俵コンツェルンの総帥でもある阪神銀行のオーナー頭取・万俵大介は、生き残りを目指して大手銀行を吸収合併しようと画策する。一方、万俵家には、大介の妻・寧子と万俵コンツェルンを支える阪神特殊製鋼の専務取締役の長男・鉄平をはじめ、次男・銀平、次女・二子、三女・三子、そして長く同居する大介の愛人・高須相子の存在があった。しかし、鉄平をはじめとする家族は、万俵家の縁談をつかさどる相子を疎ましく思っていた。そんななか、鉄平が悲願であった高炉建設の融資をめぐって大介と対立。2人は確執を深めていくことに……。

(取材・文 志村昌美、ヘアメイク 藤井俊=中井貴一、ヘアメイク 高橋里帆/スタイリスト 岸本佳子=内田有紀)