俳優の仕事というのは、高さよりも長さ

――では、演じるうえで苦労された部分について教えてください。

中井:本当に、毎日が苦労だらけでしたよ(笑)。大変なのは説明ゼリフが多いこと。企業をどうするとか、誰を蹴落としてどうしたいとか、自分たちのセリフですべての状況を説明しなければいけなかったので、それは難しかったですね。

説明ゼリフであればあるほど上辺だけでしゃべらないように気をつけていましたし、自分の体にセリフを染みこませてから言いたいというのがあったので、そういう意味でも苦労の連続だったと思います。

――今回ご一緒されるなかで、「自分のなかにあるものを引き出してもらった」などと感じるようなことはありましたか?

内田:そういう瞬間は、ありすぎると言ってもいいくらいありました。今回のお話をいただいた際に、貴一さんが大介を演じると聞いて、それだけで絶対に大丈夫だと思ったほどです。実際、大介を演じている貴一さんとその場所にいるだけで、私は何もしなくても高須相子になれました。

――それは、これまでに何度か共演されてきたなかで築かれた信頼関係があったからでしょうか?

内田:確かに、以前ドラマ『最後から二番目の恋』で兄妹の役を演じたことがあって、昨日今日の付き合いではないからというのはもちろんあります。ただ、それだけではなくて、こんなことを言うとおこがましいかもしれませんが、貴一さんに対しては生まれる前から知っていたんじゃないかなという感覚があるんです。うまく説明できないんですが、私にとっては「母体のような方」と言えるかもしれません。

中井:僕が母体なの?(笑)。

内田:あはは(笑)。意味が分からないかもしれませんが、それくらい大きなものに抱かれているような気持ちにさせていただける方だということです。そういったこともあって、気持ち的には常に助けられましたし、常に「チャレンジしなさい」とおっしゃっていただいているような感じがありました。そのおかげで、相子を精いっぱい演じることができたと思います。

――中井さんは、内田さんに対してはどのような印象をお持ちですか?

中井:俳優の仕事というのは、高さよりも長さだと僕は思っています。僕は仕事を始めてから40年がたちましたが、そのなかで感じるのは、長く残っていくことの大変さは、高く行くよりもずっと難しいんだということ。

有紀ちゃんとは17歳のときに初めてお仕事をさせていただいて、当時の僕は30代前半でした。そのときはまた何年後かに一緒にできるかなと期待しながら過ごしてきましたが、それから20年以上たって兄妹になり、今度は愛人ですからね。その劇的な変化みたいなものをうれしく感じています。

――今回の現場でも、これまで同様にお互いの存在に助けられながらという部分が大きかったんですね。

中井:ここまでお互いよくがんばったよな、と頭をなでたくなるほど。誰に褒められなくてもいいから、せめてお互いを褒め合いたいという感じです(笑)。どんな仕事でも大変だと思いますが、生き抜いていくためには神経も体力も使うので、僕たちもそういうつらさを持ちながらここまでやってきたと思います。

今回は有紀ちゃんが相子を演じてくれたおかげで、現場にいやすかったですね。役のうえでは大介が一番心を開いて話せるのは相子でしたが、僕にとっても有紀ちゃんが救いでした。役者にとって相手への信頼があるかないかは大きいことですから。セリフ地獄のなかで、有紀ちゃんがいなかったら、乗り越えられなかったんじゃないかなと思うくらいです。

内田:いえいえ。でも、今回は本当にセリフが大変でしたよね。

『華麗なる一族』第1話より
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