ケースの注目色はピンクゴールド

続く注目カラーは? 「ピンクゴールドです」。まず見せていただいたのは、上品なピンクゴールドのケースに繊細な装飾が施された無垢(むく)のシルバーダイヤルの「ランゲ1・タイムゾーン」。おすすめポイントは肌なじみのよさ。トレーに置いて見せてもらった時は一見、派手に感じますが、「腕につけてみてください。落ち着くでしょう」。なるほど、確かにすっとボディーの色が肌に溶け込んで、自然な手元になります。「シルバーは肌と正反対の色で、つけている感じがしっかり出ます。ピンクゴールドやイエローゴールドは肌から浮きません」。スーツスタイルでは特に、引き算のコーディネートが大事。統一感を出せるピンクゴールドを良しとする関口さんはジュエリーブランドでのキャリアが長く、説得力があります。

では、イエローゴールドはどう合わせるのがいいでしょうか。「非常にクラシックになります。ですので1920年代のアール・デコ、またアメリカの狂騒の20年代を象徴する『華麗なるギャツビー』の世界観が好きな方におすすめしたいですね」。かちっとした英国スーツスタイルでよりクラシックさを強調したい人にもぴったりです。

さらに、文字盤の色で気にしてほしいのが「黒」とのこと。「もともと黒文字盤は探検家など、時計に特殊な機能を求める人たち、いわば特別な“専門職”向けに作られました」。暗い洞窟などでは視認性の高い時計が求められます。もっとも見やすいのが、黒文字盤で、針に光る夜光塗料を塗った時計でした。現代でも医師、弁護士といった専門職に好まれるというのは興味深いエピソードです。

ピンクゴールドにブラックダイヤルが映える「サクソニア・ムーンフェイズ」は852個もの星々がちりばめられた複雑機構のムーンフェイズを搭載し、いつまでもながめていたくなるような、星空の美しさに目を奪われます。黒文字盤は知的なイメージに加え、「手元を引き締めてくれる効果があります」と関口さん。腕時計は相手に強い印象を与える小物であり、自分の気持ちを高揚させてくれる相棒でもあるのです。

(Men's Fashion編集長 松本和佳)

※可能な限り接触を避け、消毒やマスク着用等、感染防止対策を講じて取材しています。