ファッションセンスに関してはいわずもがな。毒舌コメントで名高いあのドン小西氏のファッションチェックでさえ、谷原氏のジャケパンスタイルを見て「長身で、手足の長いスタイルのよさと長い首やなで肩がフィットしたジャケットがよく似合っている。実は芸能人芸能人した派手な服より、この手の普通の服の方が着こなしが難しいんだよ。着る人を選ぶからね」と大絶賛している。

そうなのだ、とりわけ谷原章介氏はスーツとジャケパンスタイルの達人でもある。以下は、谷原氏のスタイリングをはじめ多くのメンズファッション誌でも活躍している「ムラチュウさん」こと人気スタイリストの村上忠正氏からお聞きした話である。
谷原氏のスタイリングの基本は、清潔感や爽やかさを損なわないようにスーツやジャケパンは多色使い、多柄使いは極力避けて、ワントーン、グラデーションでまとめている。ベースカラーは2色まで、柄も2色まで。例えばレジメンタルタイはプレッピーやトラッドからかけ離れた色目やピッチ(柄幅)は避けて、モダンに見えるものを選ぶようにしている。
番組ごと、こだわりの「変身」
その究極ともいえるのが、天皇陛下御即位を祝う国民祭典の司会の時の着こなしだろう。落ち着いたチャコールグレーのスリーピースで、白シャツに黒のドットタイ、飾り気のない黒のストレートチップ。品は保ちつつ必要最低限なフォーマルマナーにのっとったアンダーステートメントなスーツスタイルで、大変華々しい場での名誉ある大役を見事に演じきった。
驚くのは番組によって、見えない箇所まで変えている谷原氏の着こなしのこだわりだ。「めざまし8」はほとんど立っているので、パンツの裾の仕上げはダブルの4.5センチでノークッション。まったく映らない足元も、クロケット&ジョーンズのモンクストラップを履いていたりする。

NHKの「うたコン」の司会は歌のコンシェルジュという役割なので、白シャツをベースにソリッドタイ、ドットタイなどフォーマルな着こなしを心掛けていて、パンツの裾もシングル、座ることが多いので少し長めのワンクッションに仕上げている。
クイズ番組「パネルクイズ アタック25」(ABCテレビ・テレビ朝日系列)は日曜日のお昼ということもあり、親しみやすいカジュアルなジャケパンスタイルが多い。ブレザーを基本にチェック、ストライプといったトレンド感のあるジャケットに、クレリックやラウンドカラー、タブカラーのシャツを合わせて、ニットタイやデニムパンツも合わせている。とくに谷原氏の要望で、解答者にご年配が多い時にはグレーなどモノトーンを中心としたシックな色目のジャケット、若い人が回答者の時には明るい色目やデニムパンツなどカジュアルな服を選ぶようにしているのだそうだ。

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