Men's Fashion

「国民的趣味人」谷原章介氏 着こなしも私生活も完璧

@ニュースなルック

コラムニスト いであつし

2021.4.9

記者会見でのスーツ姿、人気ドラマの主人公のファッションなど、メディアで話題にのぼる人の着こなしは気になるもの。そんな「ニュースな人」のファッションの背景にあるものとは。男性ファッションに詳しいコラムニスト、いであつし氏が解説します。




今回はフジテレビの新しい朝の顔として「めざまし8」のメインキャスターにも抜てきされて、まさしくいま「ニュースなルック」な俳優、谷原章介氏が、満を持しての登場であります。

ドラマに司会にひっぱりだこの谷原章介氏は、1980年代のDCブームの頃に創刊ラッシュが起こったメンズファッション誌ブームの火付け役ともいえる「メンズノンノ」の専属モデル出身である。イケメン俳優というと最近は特撮ヒーロー出身が多いが、ちょっと前はメンズノンノが登竜門であった。ざっと挙げるだけでも、阿部寛氏、風間トオル氏、加藤雅也氏、田辺誠一氏、反町隆史氏、竹野内豊氏、東出昌大氏、坂口健太郎氏、成田凌氏などなど、そうそうたるイケメンが俳優としてデビューしている。

イケメンというより「ハンサム」

大人の男としていい感じにエイジングを重ねている谷原章介氏には、イケメンというちょっと品のない呼び方よりも、ハンサムという呼び方のほうがよく似合う。

確かにデビュー当時の若い頃は、絵に描いたような爽やかなイケメンキャラの役柄ばかりであった。ちなみにテレビドラマ「ごくせん2(第2シリーズ)」ではヤンクミ(仲間由紀恵)が恋焦がれる教師役で、バーバリーのハンカチを使うので「バーバリー様」なんて呼ばれる役でした。

テレビに映らなくてもパンツの裾、靴にこだわる(c)フジテレビ

しかし最近のドラマや舞台で見せるコミカルな演技やシリアスな役柄、クイズ番組や歌番組の司会で見せる柔らかな物腰と低音で品のいい流麗な口調は、これぞ“ハンサム谷原章介”の真骨頂である。

NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の三淵藤英役で見せた、「捨てられる花にも、一度は咲いてみせたという誇りがあるように見える……」というせりふをあの声で淡々と言って静かに切腹するシーンなんざアータ、ハンサム谷原ったらない。

渋谷パルコ劇場の宮本亜門氏演出の舞台「チョコレートドーナツ」の演技も、スタンディングオベーションが鳴りやまなかった。筆者も観劇したが、ゲイのカップル役で共演した東山紀之氏のストイックに鍛えぬいたキレキレな身体と対照的な、上着を脱いでランニング姿になったシーンでのあえてちょっと情けない中年体形のゲイ役には、逆にハンサム谷原の役者魂を垣間見ましたね。