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飛ぶように海を泳いだ? 翼のようなひれ持つ古代サメ

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ナショナルジオグラフィック日本版

大型のエイであるマンタのような胸びれをもつサメなどと言うと、B級SF映画の話かと思われるかもしれない。けれども古生物学者たちは、現在のメキシコにある9500万年前の地層から、まさにそんな生物を発見した。

流線形の体と細長い翼のようなひれをもつ奇妙なこのサメは、従来の化石記録には見られない古代生物だ。この標本の写真は各地の古生物学会で話題になり、2021年3月19日付で学術誌「サイエンス」に論文が発表された。

「化石を見て最初に思ったのは、こんなユニークな形のサメは見たことがない、ということでした」と、論文の筆頭著者であるフランス、レンヌ第一大学の古生物学者ロマン・ブロ氏は語る。学名は「アクイロラムナ・ミラルカエ(Aquilolamna milarcae)」とされた。体長は1.8メートルで、これまでに知られているものと異なる系統の濾過(ろか)摂食性のサメと考えられる。サメの化石は歯や一部の椎骨によって同定されることがほとんどだが、この奇妙な化石は完全な骨格が見つかっているため、古代ザメの解剖学的特徴の研究にとって貴重な機会となった。

一方、アクイロラムナの歯は1本も見つかっていないものの、ブロ氏らは、ホホジロザメ、アオザメ、ウバザメなどと同じネズミザメ目に分類できるのではないかと提案している。また、幅の広い頭と長い翼のようなヒレは、このサメがハンターではなかったことを示唆している。アクイロラムナは、マンタと同じように口を開けて水中のプランクトンなどの小さな生物をこし取って食べる濾過摂食者だった可能性が高い。

サメとマンタの特徴をもつ奇妙な生物

化石が発見されたのは12年のこと。メキシコ北東部のバジェシージョ近郊の採石場で、作業員が岩の中のひとそろいの奇妙な骨を見つけた。その後、地元の古生物学者マルガリート・ゴンザレス・ゴンザレス氏が化石を採取し、骨格のまわりの岩を削り落として標本にした。

アクイロラムナは、サメとマンタの両方の特徴を兼ね備えているように見えるが、マンタが進化するのは3000万年後だ。アクイロラムナの胴体は長くて筒状をしており、今日の海を泳ぎ回っている多くのサメに似ている。しかし、長い胸びれはむしろ現生のマンタに似ており、胸びれをゆっくりと羽ばたたかせて水中を「飛ぶ」最古の動物の1つだったと考えられる。ブロ氏は、「アクイロラムナは、尾びれをわずかに動かして比較的ゆっくりと泳ぎ、長い胸びれは主に安定装置として機能していたのかもしれません」と言う。

 米イリノイ州シカゴにあるデポール大学の古生物学教授である島田賢舟氏は、このような体の構造をもつサメはまったく予想外だったと言う。恐竜時代以前の古代ザメは多種多様な体形をしていたが、白亜紀(1億4500万年~6600万年前)までにはより現代的な体形に進化していたと考えられている。

アクイロラムナは、多様な形の奇妙なサメが、これまで考えられていたよりもはるかに長く存在しつづけていた証拠になるかもしれない。「今回の論文で提案された体形と濾過摂食のライフスタイルには非常に説得力があります」と島田氏は言う。

そもそも化石はサメなのか?

しかし、この新しい生物がマンタのようなサメだとすべての専門家が確信しているわけではない。米カリフォルニア州にあるハンボルト州立大学の古生物学者アリソン・ブロンソン氏は、「著者らが記載した特徴には珍しいものが多く、その解釈に疑問を感じる点がいくつかあります。私は、この注目すべき新たな化石のさらなる調査に期待しています」と語る。

論文では皮膚について言及されているが、軟らかい組織のため痕跡しか残っておらず、それが本当に皮膚によるものなのか、それとも微生物マットのような皮膚に似た物質によるものなのかなどを外部の専門家が判断できるほど詳しく示されてはいない。

また、この魚が水中に浮かぶプランクトンなどの小さな食べ物をこし取って食べていたのであれば、今日のウバザメやメガマウスなどの濾過摂食性のサメのようにとがった小さな歯をもっていたかもしれない。歯が見つかっていればこれらのサメの進化的関係を判断するのに役立つのだが、今回の化石では見つからなかった。

「この標本の歯が1本も保存されていなかったのは本当に残念です。歯があれば、正確な分類学的類縁性を特定できたのですが」と島田氏は語る。

この動物が濾過摂食性のサメであったという論文の解釈は、今後の発見や追加の分析によって確認する必要があるだろう。この解釈が正しければ、アクイロラムナは、現生のサメたちが同様の行動をするようになるずっと前に、海でプランクトンをこし取って食べていたことになる。

このサメは、白亜紀末の大量絶滅により海洋生物種の約75%が死滅する前に、ある種の濾過摂食がすでに進化していたことを教えているのかもしれない。メガマウス、ジンベイザメ、ウバザメの祖先を含む他の濾過摂食性のサメは、世界の海が回復した後に進化したものだ。

研究チームが言うようにアクイロラムナがウバザメの変わった親戚であるとすれば、古代の海にはまだ発見されていない奇妙なサメや海洋生物がおそらくもっとたくさんいたに違いない。「サメやエイの化石記録は、幅広い年代からまんべんなく見つかっているという点では良いのですが、絶滅した多くの種の体形は依然として謎に包まれています」とブロ氏は言う。もしかすると、これまでに発見された歯の中には、奇妙な体形の動物のものもあるのかもしれない。

ギリシャ語で「大きな歯」を意味する学名をもつ史上最大の巨大ザメ、メガロドン(Otodus megalodon)でさえ、歯と椎骨にもとづいて記載されているだけで、実際の姿についてはさまざまな解釈がある。アクイロラムナのような例外的な化石は、古代ザメの多くが科学者の予想をはるかに超えた奇妙な動物であった可能性を示唆している。

「バジェシージョのような場所で完全な骨格を発見する機会があれば、さらなる驚きがあるかもしれません」とブロ氏は言う。

(文 RILEY BLACK、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2021年3月22日付の記事を再構成]

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