大学は東大の文1に進んだ。

動機は不純です。身近なところに国立大学の法学部から日本銀行に入行し、大手証券会社役員になった親戚がいました。裕福そうな親戚の姿を見て、単純にうらやましいと思ったのです。当時は東大法学部を卒業して官僚になり、天下るのが典型的なエリートコースでした。

しかし、文1で法律の講義を受けると、自分にはこの学問は向いていないと感じるようになりました。ある教授は判例を大量に暗記させ、学生一人一人に詰め寄るような講義をしていました。私はその法律に関心がなかったので、当てられたときに適当に答えたのです。そしたら、それが正しいと。多分、論理的な思考法に基づいて答えたからでしょうが、少し拍子抜けしました。法律は自分のやりたいことではない。しかし、エリート人生を送るには法学部を出た方がいいと自問自答しているときに悲劇的な「事件」が起こりました。

筑波大付属の馬術部の後輩が心不全で突然死したのです。お宅に伺うと、ピカピカのスキー用具がそのまま置かれていました。希望の大学への入学が決まり、スキーに行くことを楽しみにしていたそうです。こんなに人間は簡単に死ぬのか、一度しかない人生を自分に向かないことに費やしても仕方がないと考えるようになりました。

文1のクラスの同期生で私1人が法学部ではなく、教養学部に進むことになりました。子供の頃から一番好きだったのは数学、興味があったのはプログラミングでいずれも理系。ただ当時の東大は文1から理学部などに直接理転することはできなかったので、教養学部で科学史・科学哲学を学ぶことにしました。文1の同期生から「変わったやつだな」と不思議な目で見られました。

しかし、文1時代の同期生には今も交流のある仲間が少なくありません。経営コンサルタントとして有名になった経営共創基盤グループ会長の冨山和彦くんには、YESインターナショナルスクールを開校する際に、アドバイスしてもらったり、出資してもらったりしています。このスクールの10人あまりの出資者の過半数は筑波大付属や東大時代の仲間。その後、研究者としてもコースアウトしますが、母校での体験や人材はかけがえのない宝になりました。

(代慶達也)

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