誰でもスッキリ、ロジカル収納術 使用頻度で分類から

丹野 雄二撮影
丹野 雄二撮影

テレワークが定着する中、「自宅では仕事がはかどらない」という悩みを抱える人も多いだろう。整理収納アドバイザー、米田まりなさんが、集中できる家を作る片付けメソッドを解説する。

「誘惑が多い」「散らかっている」「狭すぎる」――。自宅は集中できない、という人からそんな声を聞く。その悩みは片付けで解消できる。

私は平日はITベンチャー「サマリー」でデータ解析の仕事をし、休日は整理収納アドバイザーとして、企業や個人の片付けをコンサルティングしている。その中で感じるのは多くの人が片付けに関して勘違いをしていることだ。

昨今は「残すかどうか、少しでも迷ったら即捨てる」といった精神論が推奨されがちだ。そのためモノへの愛着が強い人からは、挫折したという話しを聞く。だが片付けは精神論ではない。機械的なスキルだ。片付けられないのは性格のせいではなく、単純にルールが定まっていないからだ。ルールさえ決めれば、誰でも片付けられる。

片付けは、大きく3つの作業に分類される。「整理(一つひとつのモノを所有する意味を定義する)」「収納(モノを使いやすい状態に配置する)」「整頓(使い終わったモノを定位置に戻す)」だ。これらがそろって初めて、整った部屋をキープできる。

片付けが苦手な人ほど「整理、収納」のステップを飛ばし、出ているものをとりあえず奥にしまうなどの「整頓」から手をつけてしまいがち。モノの定位置が定まらない状態で整頓を繰り返しても、また部屋は散らかった状態にリバウンドしてしまう。

片付けの成否は「整理」で決まる。これをまず認識しよう。実際に行うことはシンプルだ。(1)全部出す(2)頻度別に分ける、この2つ。机の引き出しを片付けるのであれば、いったん中身を全部出し「毎日使うもの」「毎週使うもの」「毎月使うもの」「毎年使うもの」と、フォルダ分けするかのように、一つ一つ分類する。使わないが愛着があるものは、「思い出のモノ」としてひとまとめにする。これで整理は完了だ。

次に「収納」に取り組む。定位置を決める作業だ。利用頻度が高いモノほど使う場所の近くに、優先的に定位置を決めていく。例えば仕事をするデスク周りには、週に一回以上使うものだけを置く。そうすれば仕事開始と同時に必要なモノをデスクの上に取り出し、作業終了時には定位置に素早く戻すことができる。

(1)全部出す(2)頻度別に分ける(3)定位置を決める(4)使ったら戻す、という一連の流れを習得するためには、財布を使っての練習をおすすめする。まず机の上に、財布の中身をすべて出してみよう。レシートやポイントカード、小銭や名刺など、それぞれ使用頻度で仕分ける。

分け終えたら、頻度の高いモノから取り出しやすいポケットに定位置を決める。1カ月以内に使う予定のないモノは、財布から出してファイル等に移し替える。財布でコツがつかめたら、次は文房具ケース、次は下着入れと、スタンプラリーのように一つひとつ取り組んでいこう。

片付けは筋トレと同じだ。長時間かけて一気におこなうより、短時間でこまめに繰り返し、片付いた状態をキープしよう。そのためにそれぞれの作業時間のルールを決めることをおすすめする。

「整理+収納」は1セットで30分、「整頓」は毎日5分だけ。これを守るのだ。1セットで片付ける物の量の目安は段ボール1箱分。「今日はこの棚一段分」と決めたら、手元にタイマーを30分セットし、ポンポンと仕分けていく。筋トレメニューのようにまずは1セットこなし、余裕がある日はもう1セット、と増やしてみよう。週末に2~3セットこなせれば上出来だ。

「整理+収納」は休日に集中して取り組むのに対し「整頓」は毎日5分、使ったモノを元の場所に戻すことに集中し、こまめに行う。5分間では元に戻せない状況だとしたら、定位置を決め直した方が良いサインだ。例えば、すぐに机周りに書類が散乱してしまうのなら、片付け時間を増やすよりも、さっと入れられる仮置きカゴを増やそう。

頑張らなくても、無意識のうちに戻したくなるような定位置があれば、どんなに忙しくてもリバウンドとは無縁になるはずだ。

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形から入るのは失敗のモト

米田まりなさん

片付けを始めると、衣装ケースやカゴなど収納グッズが欲しくなってしまうもの。だが整理が終わるまで、購入は我慢しよう。思いつきで買った収納グッズは使いこなせない確率が高く、収納したものを死蔵させるリスクがある。

凝ったインテリアも同様だ。ほとんど使わない「見栄えの良い雑貨類」は、掃除などメンテナンスの手間を増やし、肝心の使うモノを取り出しにくくしてしまう。インテリアや収納に凝るのは、モノの定位置が決まり、日々無理なく維持できるようになってからだ。

(整理収納アドバイザー 米田まりな)

[NIKKEIプラス1 2021年4月3日付]