教え合うのが最も効果的な学習法

渋幕・渋渋校長の田村哲夫氏

うちの特長はグループ学習や各種行事にあります。前回記事でもお伝えした通り、「校長講話」を行い、自分で考えることの大切さを伝え、それを学んだ生徒が考えることの一つとして自調自考論文を作成しています。

それは1人だけでやっていくのではありません。自分で調べ、考えたテーマを元に、似たテーマを選んだ生徒同士で話し合ったり、ゼミのように各グループで討論したりしながら、論文をまとめていきます。同級生と話し合い、教え合う。そこが肝ですが、オンラインだとなかなかうまくいかなかった面がありました。

本当に学習が身につく「学習定着率」でみると、先生から一方的に話を聞く「講義」のスタイルでは10%程度ですが、「人に教える」というスタイルでは90%程度の効果をもたらすというデータもあります。ある課題を100%理解していれば、他人にもうまく伝えることができます。グループ学習は非常に有効。教え合うのは最も効果的な学習法と言えます。4月には両校の先生たちと、コロナ禍での学習の質の担保について改めて話し合い、学習定着率の改善を図りたいと考えています。

今年、私が生徒たちに伝えたいことは「今ここ」を大切にして日々を送って欲しいと言うことです。

「今ここ」は禅の言葉です。過去や未来を考えるよりも、今日を精いっぱい生きることを考えて欲しいのです。人は過去から学んだりしますが、今回のコロナのような感染症は誰にとっても初体験なので、過去を振り返っても仕方がないし、未来を考えても今は不安になるばかりです。

私自身はワクチンに期待して楽観的に考えていますが、少し心配しているのは高校の修学旅行先の問題です。渋幕・渋渋の高2の修学旅行先は、中国か国内のどちらかを選んでもらいます。コロナ前は大半の生徒は中国を選択していました。「日本の文化の源をたどる」をテーマにして、みんなで体験学習してもらっています。様々な行事を通じて、みんなで元気に明るく話し合い、互いに教え合う。コロナ禍の中でも、先輩たちが築いてきた渋幕・渋渋のいい文化を継承してもらいたいと考えています。

田村哲夫(たむら・てつお)
 麻布高校を経て東京大学法学部卒、1958年に住友銀行(現三井住友銀行)に入行。62年に退職し、父親が運営していた渋谷女子高校を引き継ぐ。70年から渋谷教育学園理事長。校長兼理事長として83年に同幕張高校、86年に同幕張中学をそれぞれ新設。96年に渋谷女子高を改組し、渋谷教育学園渋谷中学・高校を設立。日本私立中学高等学校連合会会長も務めた。
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