スティック掃除機10選 吸引力・運転時間に不安なし
使いたいときにさっと手に取り、ホコリを吸えるスティック掃除機。スリムな形は収納場所を選ばず、充電式なら持ち運びや階段などの掃除も楽だ。あらゆる場面に役立ち、掃除が楽しくなる一台を専門家に選んでもらった。
1位 ダイソン SV18FF
サイクロンの代名詞
「圧倒的な吸引力」(神原サリーさん)で知られる英国の掃除機ブランド。吸い込んだ空気を内部で回転させて、遠心力でごみを吸着するサイクロン式の代名詞。メタリックな紫をあしらう独特なデザインは「付属のスタンドと合わせてもインテリア性が高い」(風戸貴之さん)。
本製品はダイソンのエンジニアが日本の家庭を訪れ、細やかに掃除できる機種のニーズが高いと判断して開発された。ナイロンフェルト素材のブラシがしっかり床材に吸い付き「細かいほこりから大きなごみまでしっかり吸い込む」(石井和美さん)。じゅうたん、フローリングどちらも「バランスよく掃除できる」(安蔵靖志さん)。
独自開発のデジタルモーターは毎分12万回転する。従来モデルから25%軽量化したものの、風を発生させる内部機能を再設計して「安定の吸引力」(毎田祥子さん)。本体についているディスプレーは、バッテリーの残量が秒単位の使用可能時間で表示される優れもの。引き金部分を握り続けて掃除する仕組みで、操作中の音は「非常に静か」(戸井田満樹さん)。「幼児やペットのいる家庭におすすめ」(矢野きくのさん)だ。
(1)ヘッドをつけたときの重さ 1.9キログラム(2)充電時間 3時間半(ヘッド装着時の連続運転時間 40分)(3)価格の目安 7万5900円
2位 三菱電機 HC-JD2X
瞬時にハンディー型に切り替え
収納時のたたずまいは「掃除機に見えないデザイン」(本間朝子さん)。「稼働している時間より、置いてある方が圧倒的に長い掃除機だが、きれいにまとまっている」(戸井田さん)と、独特のデザインに専門家の注目が集まった。
充電台に立てかけた状態で、取っ手を手前に引くとスティック掃除機として、上方向に持ち上げるとハンディー型として使える。パイプを外す作業は不要で「頻繁に出し入れしてもストレスに感じない」(阿部夏子さん)。小さい子どもを抱えていても持ちやすいので、専門家からは子どものいる家庭向けだとの声が相次いだ。
重心バランスが優れ、掃除中に重さを感じづらい。ヘッド部分も薄いため、ベッドの下など隙間掃除もしやすい。付属品も充実しており「狭いところに届くノズルや階段でも使いやすい蛇腹ホースに付け替えられ、様々なシーンで活躍する」(新田壮史さん)。
(1)1.9キログラム(2)90分(40分)(3)7万8000円
3位 日立 PV-BL2H
指一本で支えられる軽さ
ランキング入りした製品中、最も軽量で「指1本でハンドルを支えられてしまう」(神原さん)。本体やヘッドを小型化し、パイプを軽量化する一方で、モーターの出力では妥協していないため「パワーは十分あり、細かいごみの取りこぼしも少ない」(矢野さん)。
ヘッドは発光ダイオード(LED)ライトつきで、家具の下など暗い場所も掃除しやすい。前後の幅も狭く「部屋の隅までしっかり掃除できる」(戸井田さん)。
ハンディー掃除機として使えば、重さは800グラム程度。一人暮らしや筋力のない人におすすめだ。本体から取り出すことなくワンタッチでゴミが捨てられるダストケースは髪の毛が絡みにくい構造で、ゴミを捨てきりやすい。
(1)1.1キログラム(2)3時間半(30分)(3)6万5000円
4位 シャープ EC-AR5X
軽いのに床に密着
軽さが売りの掃除機はヘッド部分が床にしっかり密着しないように感じることがあるが、本機は「ヘッドが浮くこともなく、動かしやすい」(阿部夏子さん)。立ったままヘッドを外せて「カーテンレールや棚など、平面のみならず立体的に掃除できる」(石井さん)。
着脱式のバッテリーが2個ついてくるのも魅力で「長時間のお掃除もOK」(新田さん)。持ち手から手を離すとセンサーが感知。使っていないと判断し、自動で運転がオフになる。「家具をどかしながらの掃除もスムーズ」(本間さん)。週末まとめて家じゅうを掃除したい人や「一人暮らし、ファミリー層のサブにおすすめ」(毎田さん)。
(1)1.2キログラム(2)バッテリー1個あたり80分(35分)(3)4万8000円
5位 シャーク CS401J
ハンディーの雄が放つ本格的スティック型
「日本でハンディー掃除機の火付け役となった」(阿部淳平さん)北米メーカーのスティック型掃除機。得意のハンディーへの切り替えはもちろん、ゴミ捨てやヘッドの交換などすべてが「ワンタッチで片手でできる」(神原さん)。持ち手がなく本体の軸をしっかり握って使うタイプだ。「他の掃除機とは異なる見た目で、モダンテイストな部屋に合いそう」(戸井田さん)
ヘッドはブラシを使わず、髪の毛などがからまない。「カーペット、畳、フローリング、床の素材問わず汚れの取りこぼしが少ない」(矢野さん)。充電台は付属品も収納しやすく「使いやすくていい」(安蔵さん)。
(1)1.9キログラム(2)3時間半(バッテリー2個使用時24分)(3)4万5000円
6位 パナソニック MC-SBU840K
毛髪がからまない新開発ブラシ
ブラシに毛髪が絡まないよう、研究開発と改良を重ね、半世紀ぶりにブラシの形状を変えた。今回のモデルはブラシを円すい形とし、左右2つに分けて配置した。「髪の毛も絡まずお手入れも簡単」(風戸さん)、「ペットのいる家庭にぴったり」(戸井田さん)と、専門家からも高評価だ。
本体のサイズはスティック掃除機としては大ぶりだが「ブラシが自走してくれる印象が強く、無理なく使えた」(阿部夏子さん)。足元のペダルでヘッドを取りはずすと、細い隙間にも入る小型ノズルが現れ、先端のLEDライトでゴミを照らしながら掃除できる。表面の仕上げを工夫することで「経年劣化しても印象を損なわない」(浜田芳治さん)
(1)2.6キログラム(2)3時間(40分)(3)7万7000円
7位 バルミューダ C01A
床から浮き上がる不思議な感覚
既存の発想にとらわれず、独自のデザインで家電を開発することで知られるバルミューダの製品。重量物が上部に配置されることが多いスティック掃除機には珍しく、モーターやダストボックスを下部に集中させ「重量バランスがよく取り回しがいい」(浜田さん)。
空気を噴射することで地面から浮いて進む乗り物、ホバークラフトに着想を得た設計。「どこに引いても吸えて、まるで浮いているかのような感触だ」(安蔵さん)。「左右に動かしながらバックして掃除するほうきのような使い方もできる斬新さ」(神原さん)。色展開は白と黒の2色で、表面に細かい凹凸を付けることで、キズが目立ちにくい。
(1)3.1キログラム(2)4時間(30分)(3)5万9000円
8位 アイリスオーヤマ SCD-M1P
便利な機能が盛りだくさん
ダストボックスにつくランプで床のゴミ量の目安を色の変化で知らせたり、自動で吸引力を調整したりと親切設計がウリ。車のシートの掃除に便利なフレキシブルホースなど、付属品の豊富さでも高い評価を得た。「本体そのものが軽量でありつつ、ヘッドが軽く感じさせすぎない、ちょうどいい手応えで進み、ストレスがない」(神原さん)
掃除機と併せて付属のハンディモップを使えば「家具や建具と床の掃除を両立できてユニークだ」(本間さん)。モップは充電台下部のプレートで静電気を除去したあと、クリーナーでホコリを吸い取るだけできれいに保てる。集じん容量も大きく「十分メインの掃除機として使える」(阿部淳平さん)
(1)2.2キログラム(2)3時間半(30分)(3)3万3000円
9位 レイコップ RSC-300JPWH
除菌もできるコストパフォーマンス機
レイコップは除菌機能付きの布団クリーナーで有名なメーカー。今回の掃除機にも紫外線(UV)除菌機能がついており「子どものぬいぐるみの汚れをとるなど、普段の掃除プラスαの機能も満たす」(風戸さん)。付加機能が充実している一方で、他社より低く設定した価格も強みだ。
持ち手にはクッションが付き、自立はしないが、机や棚などに引っかけて立てられる。特殊なフィルターを採用し、排気もクリーンになるよう設計した。ダストボックスはフィルターも合わせて水洗いできるように作った。デザインもシンプルにまとまり「ユーザーの需要を満たせ、色々な生活の場面に合う」(浜田さん)。
(1)1.7キログラム(2)3時間半(38分)(3)2万6000円
9位 東芝 VC-CL3000X
一方向に動かしてもゴミ逃さず
ヘッドに別方向に回転する2本のブラシを搭載する。ブラシの回転が一方向だと同じ箇所で掃除機を前後に往復しないとゴミが取り切れないが、前進させるだけでも「取りこぼしが圧倒的に少なかった」(矢野さん)。掃除機をかけるときの負担を軽減する。
床のゴミの有無を識別して自動で吸引力を調整する機能もつく。「重いがヘッドの自走アシスト加減が適度だ」(阿部淳平さん)。3種類のブラシなど付属品も充実しており「こだわり派のキレイ好きに向いている」(阿部夏子さん)。充電台もついていて置き場所にも困らないので「ファミリー層におすすめできる」(毎田さん)。
(1)2.9キログラム(2)3時間半(40分)(3)6万5000円
もはや主役になったスティック掃除機
かつてはサブ機のイメージが強かった、コードレスのスティック掃除機。最近は吸引力やバッテリー性能の向上がめざましく、メインで使用する人が増えている。パナソニックの市場調査によると、2012年にそれぞれ7%、73%だったコードレススティックとキャニスターの販売比率(台数ベース)は、18年には44%、41%となり、逆転した。
消費者の掃除のしかたが変化しており「長時間かけて家中をきれいにするよりも、スポットごとに2~3分掃除機をかけたい人が主流になっている」(ビックカメラの風戸貴之さん)。
競争も激化しており、各社は軽さや収納のしやすさだけでなく、機能や付属品を充実させて差異化を目指す。6位のパナソニックが搭載する「クリーンセンサー」は床のごみを検知してモードが切り替わる機能を備え、3位の日立は隙間部分でLEDライトが点灯しごみを目視しやすくする。
部屋に溶け込むデザインかどうかなども含めて、春の新生活、自分にぴったりのコードレススティック掃除機を選んでみよう。
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今週の専門家
(田中早紀)
[NIKKEIプラス1 2021年4月3日付]
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