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感染予防や混雑回避 「行動変容」デジタル化で広がり

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルス感染リスクの高い行動を避けるようスマートフォンアプリで人々を誘導するなど、デジタル技術を駆使して人間の「行動変容」を促す取り組みが広がっています。さりげない方法で人の行動を後押しする「ナッジ」と呼ばれる手法をデータ科学と組み合わせて使うなど、人々の心に働きかける手法が高度化しています。

日立製作所西日本鉄道は2021年3月、福岡市で公共交通機関利用者の行動変容を促す実証実験を始めました。利用者がスマホアプリでバスの経路検索をすると、混雑予測や、近くの商業施設の混み具合などのデータをもとに、混雑を回避するルートやお薦めの飲食店を表示します。

例えばバスが混雑している時には、近くの混んでいないカフェで利用できるクーポンを表示します。こうした「誘導策」も組み合わせ、密の回避や商業サービスへの誘客、交通のピーク緩和を同時に実現しようという試みです。

行動変容は食生活や運動奨励などヘルスケア分野で多く取り組まれてきましたが、ここでもデジタル技術による革新が起きています。東芝は人工知能(AI)を使って利用者が高血圧症などの病気を発症するリスクを表示し、生活習慣の改善を促すアプリを作りました。心電図を記録できるスマートウオッチなど、行動変容につながるデバイスも続々と登場しています。

環境省はこの冬、「気候変動いきもの大調査」というイベントを開催しました。参加者はスマホアプリで渡り鳥や外来種生物の写真を投稿して課題をクリアします。ゲームの要素を入れて、気候変動問題への関心を高めてもらおうとの狙いです。

行動変容を起こすために講じた方策が、どれだけの効果を持ったかを把握するため、IT(情報技術)を活用した実験も進んでいます。

NTTデータ経営研究所(東京・千代田)は昨年、外出を控えるといった感染予防の行動に、どのような種類の情報が影響するかを調べるため、架空のニュース記事を使ったオンライン実験を実施しました。

その結果、自粛要請に協力的な内容の記事に接したグループの方が、非協力企業の公表といった懲罰的な内容の記事に接したグループより、対策に協力的な行動を取ろうとする傾向があることが判明しました。

行動変容の事情に詳しいコンサルティング大手、アクセンチュア(東京・港)の藤井篤之マネジング・ディレクターは「人々に個別最適なメッセージを配信できるなど、デジタル技術が行動変容のあり方を大きく変えつつある」と話しています。

藤井篤之アクセンチュア・マネジング・ディレクター「活用広がる行動変容、理解の深化も必要」

 デジタル技術の発達に伴って、行動変容の手法や活用分野がどう変わろうとしているのか。行動変容の内外のケースに詳しいコンサルティング大手、アクセンチュアの藤井篤之マネジング・ディレクターに聞きました。

――行動変容というと、人々の自主性に働きかけて「良い行動」をとってもらうこと、という印象が強いのですが、そもそも行動変容の定義は何でしょうか。

「コロナ下での望ましい行動とか、健康的な生活習慣を促すとか、いわゆる良い行動をさせることを指して行動変容という言葉を使うことが多いのは確かです。しかし実際には行動変容は、良い方向にせよ悪い方向にせよ人の行動を変えることを指します。例えば振り込め詐欺のような犯罪は、高齢者の行動を巧妙に変容させているわけです。また、企業は自社の商品を買ってもらうため消費者心理に働きかけますが、こうした広告・マーケティングもまさに行動変容の例です。人の心に働きかけて、意識的または無意識的な心の変化によって行動を変えさせる試みはすべて行動変容といえます」

――行動変容へのデジタル活用例として、どのような試みに注目していますか。

「シンガポールや中国などで導入された新型コロナ感染症の対策アプリのような試みは、今後大きな流れになると思います。人の行動を追跡したり、行動内容をスコア化したりするやり方は、中国のような政治体制の国ならではのものと思われていましたが、パンデミックを機に様々な国が注目しているというのはやはり大きな変化だと思います」

「国内では、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマ(HPV)ウイルス向けワクチンの啓発活動を進めている『みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト』に、行動変容をもたらすコミュニケーション戦略の面で注目しています。このプロジェクトは、日本でHPVワクチンの接種率が低いことに危機感を持った医師らが始めた活動です。行動科学の専門家の協力を得て、医師からのメッセージや著名人の対談動画など、関心を呼びそうなコンテンツの形式や流すメディアを戦略的に選択して、効果的に伝える工夫をしていると聞いています」

――行動変容におけるデジタル化の影響やメリットは?

「5点挙げます。まず、行動変容を起こすための介入が個人ごとに個別最適化できるようになりました。コロナ対策アプリのように、濃厚接触の可能性がある人だけにメッセージを流すとか、その人の状況に応じて行動のインセンティブを与えたりできます。2番目は介入手段の多様化です。多くの人がスマートフォンなどのデジタル機器を使うようになったことで、動画コンテンツなど従来の対面や書面に代わる方法が使えるようになりました。ネットを通じたバーチャルなコミュニティーでのメンバー同士の励ましあいをアレンジするといった手法も登場しています」

「3番目は介入対象とのコミュニケーションの量と質に関することです。デジタルメディアを使うことで多数の個人との双方向のやり取りが容易になりました。チャットボットを使って毎日24時間介入することもできます。4番目は介入のプロセスや効果の透明性が確保されることです。あらゆるモノがネットにつながる『IoT』や各種のセンサーを活用することで、行動データがリアルタイムで得られ、また、介入後の行動を追跡することで介入効果が正確に測定できるようになりました。これは特にデジタルマーケティングの分野で進んでいます」

「5番目が行動変容の手法の見直しやアップデートが容易になったことです。ウェブマーケーティングでよく使われるABテストのように、どんな介入方法がより効果的かの判断が容易になりました。行動科学は様々な理論や科学的な実験に基づいた理論が続々と登場しています。そうした最新の成果を取り込むのに、アップデートの容易さは非常に意味があります」

――行動変容のデジタル化は海外の方がより進んでいるのでしょうか。

「行動変容の先進的な取り組みが欧米企業に多いのは事実です。日本では、企業のマーケティングやプロモーション部門が、データに基づいた戦略を手がけ、その効果もデータで評価するというやり方がまだ始まったばかりです。欧米の先進企業はその段階はすでに終えており、現在はマーケティング部門にとどまらず製造・開発など他部門を巻き込み、ビジネスそのものが顧客行動に及ぼす影響を行動科学の文脈で検討し、企業文化を含め全社的な企業活動を動かしていこうという例が増えています」

――行動変容にデジタル技術を使うことが新たな倫理問題につながる可能性はありませんか。

「行動変容に向けた手段がデジタル化に伴って高度化するあまり、介入される側が行動変容されていることに気づかない可能性があります。例えば政治など、中立性が求められる分野においても、世論を誘導する方法は以前からありましたが、人々が公平に情報に接しその行動に至ったのかという過程がデジタル化によって見えにくくなり、倫理上の論点になると思います」

「さらに、これは行動科学の分野で以前から議論されていることですが、人をある方向に誘導すること自体が本当に良いことかという問題です。例えば健康になるとか、生活習慣病にならないことは一般的には良いことですが、人によっては甘いものを食べたいとか、運動などしたくないという自由があります。行動変容の手法はあくまで道具です。デジタル化が進む中、行動変容の手法を使う側の倫理観が問われるとともに、受け手側も自身にとって望ましい行動を効率よく取り入れる手法として活用していけるため理解を深める必要があります」

(編集委員 吉川和輝)

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