自分を端的に示す「見出し」を用意

――リモートの面接がリアルと大きく違うことは何ですか?

「最大の違いは、伝わる情報量がリモートでは圧倒的に少ないということです。リアルに比べおおよそ25%は少ないと思います。ネット環境によってはタイムラグが出たり聞こえなかったりすることもあります。表情の変化や『ちょっと横を向いた』など、相手が発する様々な信号が捉えづらく、相手がどういう風に考えているのか、自分の発言に対しどのような感情を持ったかなどが分かりづらい状況になります」

「飛び交う情報量が少ないせいで、心の距離が縮まりにくいのに加え、リアルではあまり気にならないような癖が採用側にとっての懸念材料になることもあります。たとえば『あ~』『え~』などと言いよどむ人は少なくありません。顔と声が目立つリモート面接では気になりがち。プロフェッショナルな感じがしないので、言いよどみには要注意です。また、リモートだからと手元に想定問答の原稿や資料を置く人がいますが、何かを読みながら話すと、どうしても棒読みや書き言葉になりがちで、相手にはすぐ分かってしまいます。即興での対応力や回転の速さに疑問符がつきかねません」

――リアルとの違いをふまえた上で、リモート面接で成功するコツは何ですか。

「伝わる情報量が少ないと、淡々としたやりとりになりやすく、脳が眠くなったり退屈したりしてしまうので、顔や声、手など、リモートで駆使できる手段をフル活用し、変化をつけることが最も大切です。まず、相づちやうなずきは少し大げさなぐらいでもよいでしょう」

岡本純子氏は企業経営者や政治家にプレゼンテーションやスピーチを手ほどきしている

「声は普段の1.5倍ぐらいのエネルギーを込めて発してください。『エネルギー』というのは音量ではなく、単に大声を出せばよいわけではありません。スピードや音量、抑揚、間のあけ方などに気を付けながら、従来の1.5倍のテンションで話すということです」

「手の動き、ジェスチャーも大切です。手のひらを見せるということはもともと武器を持っていないという意味で、悪意がないことを示すしぐさでもあります。伝えたいメッセージを補完する意味で積極的に使いましょう。キーワードをフリップに書くのも有効です。利用できるものをすべて使って変化をつけることを心がけてほしいと思います」

「自分の強みや経歴を聞かれることも多いと思います。情報が伝わりにくいリモート面接では、自分は何者かを分かってもらえるよう、『自分見出し』を用意することをおすすめします。例えば、私の場合は『1000人以上の社長をコーチングしてきた伝説の家庭教師』『社長のプロデューサー』といった形です。3秒バージョンのほか、30秒版、1分版など、持ち時間に合わせて、いくつかのバリエーションを準備しています。『セキュリティーの専門家』『SNS(交流サイト)のエキスパート』など新聞見出しのようにずばりと表現すると、長々と経歴を説明するよりはるかに伝わりやすいと思います」

岡本純子
 コミュニケーション戦略研究家、エグゼクティブ・スピーチコーチ。グローコム社長。読売新聞経済部記者、電通PRコンサルタントを経て、現職。トップエリートの家庭教師として、プレゼンテーションやスピーチのプライベートコーチングに携わる。

(日経転職版・編集部 宮下奈緒子)

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