福田雄一監督と街で遭遇

(写真:藤本和史)

「『共演NG』では、大根仁監督にコメディの難しさを教えていただきました。福田さんの『今日から俺は!!』とはまた違った種類の笑いで、シリアスななかにたまにボケがあったりするおかしさ。新型コロナの要素を取り入れていたり、芸能人同士のバチバチが描かれたりしたので、ちょっと胸が苦しくなる日もあったんですけど。でも中井貴一さん、鈴木京香さんのようなベテラン俳優さんの演技を目の前で見ることができて、台本を読んだ時点で面白かったのに、それが映像になるとよりすごいものになるんだと驚きました」

18年のドラマに続き、20年は『今日から俺は!!劇場版』の公開もあった。やはり、福田雄一監督との出会いは女優をやるうえで大きく、特別な作品だと語る。

「『今日俺』は、本当に私が楽しくいられる現場だったというか。明美は、橋本環奈ちゃん演じる京子を慕っていつも一緒にいる役だったので、環奈ちゃんとは親友と呼べるほど仲良くなりました。『明美ちゃん好きだったよ』と、最近も声をかけてくださる方がいて、そんな反響に感激しています。

福田さんとは、舞台『16人のプリンシパル trois』(14年)で初めてご一緒して。その後、都内の家電量販店で姿をお見かけしたんですよ。少し迷いながらも、思い切って声をかけたんですけど。そのとき、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん脚本・演出の舞台『すべての犬は天国へ行く』(15年)に取り組んでいたときだったので、フライヤーをお渡しして、『あれからもお芝居続けてます』とお話しさせてもらいました。そのときはそれで終わっちゃったんですけど、『乃木坂46で舞台やってるって子がいたな』ということで、舞台『スマートモテリーマン講座』(17年)に呼んでもらえたんです。

安田顕さんが講師役で、戸塚純貴さんが主演の“どコメディ”。私は『真面目すぎる』と言われることが多くて、それって『つまらない』とか『面白みがない』と思われてるのかなと、ずっとコンプレックスだったんです。だけど福田さんに、『何を言ってるんだ、真面目にバカをやるのが1番面白くて、真面目じゃなきゃ絶対に面白いコメディは作れない。オマエの真面目さは必ず武器になるから』って言ってもらえて、すごく心が楽になったのを覚えてます。

役柄は、戸塚さん演じるオタクサラリーマンの卓君の頭の中で、OL役の私が綾波レイとかいろんなキャラクターになっちゃうという設定で。その1つにヤンキーがあって、タバコを片手に『てめぇコラ、卓!』って言うシーンがあったんですけど、それをドスのきいた声でやったら、福田さんがすごい笑ってくださって、『オマエ、スケバンいけんじゃん(笑)』って。これがきっかけで、『今日俺』にも呼んでいただけました。『舞台のときの、あのままでやって』という感じだったんで、明美については特に役作りもなく(笑)。

安田さんから学ぶことも多かったです。長くTEAM NACSをやっていて、テレビでも大活躍なのに、現場に1番に入って、誰よりも早くストレッチして、声を出していらっしゃる。これは絶対に見習わなきゃと思いました」

次回は、女優への熱意、在り方などについて聞く。

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2021年3月号の記事を再構成]

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