ベスト×シャツで上品に 大きめシルエットでカジュアル感

――2組目はベストとシャツを組み合わせたコーディネートです。ベストのサイズ感がユニークですね。

「これくらい思い切った大きさの方が今年らしいと思います。袖周りにゆとりが出るので、幅広いサイズ感のインナーと重ね着できるメリットもあります。あとは首元がVネックというのもポイントです。これまでは避けられがちなディテールでしたが、今年は幅広いブランドが提案しているんです」

ベスト 1万6500円(アダムエロペ)、シャツ 1万5400円(アダムエロペワイルドライフテーラー)、パンツ 4万9500円(ポリプロイド)、シューズ 1万3750円(アダムエロペ)

――確かにVネックはあまり見かけなかったので新鮮です。シャツはどこのブランドですか?

「当店がオリジナルで手がけている一着です。イタリアの老舗シャツメーカーと協業して作りました。触り心地も春らしくさらりとしていて、適度なツヤもあります。一目で上等なシャツと分かる仕上がりですね」

1876年に創業したイタリア三大生地メーカーのひとつ、アルビニ社の生地を使用。発色のよさとツヤ感、なめらかな肌触りが魅力
腰回りに入ったタックが上品な立体感を生み出している。メリハリの少ないストレートシルエットながらもドレッシーな印象

――ネイビーのストライプ柄がベストの色と合っていますね。パンツも思い切ったサイズ感です。

「トップスやインナーがきれいめなアイテムなので、パンツだけは少し変わった作りのものを選びました。ポリプロイドというドイツのユニセックスブランドのものです。どっしりとしたシルエットですが、腰回りに大きく入ったタックのおかげでやぼったく見えません。素材に春夏らしいリネンを採用している点も魅力ですね」

神原さんが選ぶ靴下は無地が中心という。「夏にハーフパンツと合わせる時以外はシンプルなものを選んでいます」

――シューズはレザーのスリッポンですね。

「トップスに合わせ、上品なアイテムを選びました。カラーはパンツと同じ黒を選んでいます。ちなみに靴下はコットンやシルクなどを混紡した生地のもの。はき心地重視で選びました」

スプリングコートは短め丈が肝 同系色で統一感も

――最後はスプリングコートを使った着こなしです。先ほどのお話のように丈が短めですね。

「ワークウエアによく見られるパッチポケット(一般的な袋状ではなく、共布を貼り付けたポケット)を採用しているのもポイントです。ヨーロッパで花屋や雑貨屋などのスタッフが日常的に着用している『ショップコート』に近いデザインで、カジュアルに身につけられます」

コート 2万6950円(アダムエロペ)、シャツ 2万9700円(ポリプロイド)、カットソー 6380円(アダムエロペ)、パンツ 2万4200円(アダムエロペ)、シューズ 1万6500円(アダムエロペ)

――ボトムスはこれまでに比べると細身です。

「コートの丈感とバランスをとるには、ちょうどいいかなと思います。丈が長すぎないので、足元をすっきり見せられます」

ボトムスはアダムエロペオリジナルのスラックス。太すぎないストレートシルエットなので幅広いアイテムと合わせられる
足元にはレザー素材のカンフーシューズ。素材ならではの上品さとユニークな形状が目を引く

――インナーには白のレギュラーカラーシャツを合わせていますね。

「光沢のある生地を採用していたり、比翼仕立て(前たてが二重になっていて、フロントボタンが隠れる仕様)になっていたりと、ディテールにひねりが効いているんです。一見シンプルながら実は凝っていて、適度な遊び心を取り入れられます。こういうアイテムは大人の男性にこそ着てもらいたいですね」

アウターを脱いだ様子。五分丈の袖や裾の形状など、シャツの個性的なデザインに注目したい

――ベージュや白を基調にしたアイテム使いにもトレンド感があります。中間色を用いた色使いのコツはありますか?

「ぼやけた印象にならないよう、濃い色のアイテムをどこかに取り入れてバランスをとることですね。今回の場合はシャツの下にブラウンのカットソーを、シューズに黒のレザーシューズを合わせて全体を引き締めています」

文:FACY編集部 山梨幸輝(https://facy.jp/) 写真:加藤潤


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