悪あがきだと思われても、精いっぱいやっていきたいと語る中山さん。公に語ることで、それをチャレンジするための原動力にしているという

現役を続けたからこそ分かる、三浦知良選手のすごさ

――同じ50代でチャレンジされている選手として、三浦知良選手もいらっしゃいますが、中山さんからはどのように見えているのでしょうか。

カズさんは別格だと思います。カズさんはカズさんのサッカー人生の突き詰め方があるだろうし、生き方がある。僕が彼と同じ土俵にいるなんて、全く思っていないです。

カズさんの場合、体のメンテナンスはもちろんですが、シーズンへと入る前にキャンプで体をしっかり作って、チームメイトとのレギュラー争いを経て、先発になったりサブになったりを繰り返す日々を送っています。それを今までやり続けていることは、本当にすごいこと。ピッチにも立てていない僕とは、比較対象にならないです。

ただ、僕は僕なりに50代を超えてもトレーニングを続けてきたので、「53歳で真剣にサッカーをやるってどういうことか」については誰よりも分かっているつもりです。相当しんどいことだし、それを継続していくことはもっとしんどいことだと、自分の身をもって体感しています。だからこそ、さらなる未知の世界に一人で突き進んでいるカズさんのすごさを、恐らく誰よりも実感できているし、伝えられると思っています。

「諦める」ために現役を続けてきた

――中山さんも、その未知の世界というのを体感しているわけですよね。それはやはり幸せなことなのでしょうか?

幸せであり、不幸せであり、期待があり、不安があり。だから自分の中で、「これだけやったけど、ここまでか」という気持ちになりたいなという思いはあります。諦めるためにやっているところはあるんです。

――諦めるとは?

好きで続けてきたサッカーなので、どこまでやれるかを突き詰めていると語る

「明らかにして、究める」といった意味で使っています。そのためにトレーニングをしています。「まだできるのに」「ああすればできたのに」という思いが残っている限り、未練がどんどん膨らみます。それがつきまとっているからこそ、明らかに究めるまで頑張りたい。「ここまでやったけれど、その先に行けない。でもここまでやったんだから!」という思いを持ちたいのです。

本当に諦めが悪いです。でもこれは自分の性格というより、僕が好きで続けてきたサッカーだからこそ、それに対して「自分はどこまでやれるんだろう」という、サッカーを突き詰めたい気持ちの現れだと思います。

ただ、それが体をむしばんでいくのであれば、そこはちゃんと考えなきゃいけないと、最近ようやく思うようになりました。毎年膝の検査をしていますが、MRIやレントゲン画像を見て現状維持や少し悪化したではなく、すごく悪化しているなと思ったときが、辞めどきなのかなとも思います。

(ライター 高島三幸、写真 厚地健太郎)

中山雅史さん
1967年生まれ。静岡・藤枝東高、筑波大学を経て、90年にヤマハ発動機サッカー部(現・ジュビロ磐田)に入団。98年、Jリーグ年間最多の36ゴールを記録(当時)し得点王と最優秀選手(MVP)、2000年にも得点王に輝く。1998年フランスW杯、2002年日韓W杯の2大会に出場し、1998年フランスW杯のジャマイカ戦で日本人選手としてW杯初ゴールを決めた。2010年コンサドーレ札幌に移籍。12年第一線を退くことを発表。15年アスルクラロ沼津と契約。20年S級ライセンスを取得。21年ジュビロ磐田のコーチに就任。同時にYouTubeを始める。新著に『再起は何度でもできる』(PHP研究所)。

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