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中山雅史さん つらいリハビリ続けたから分かったこと

不屈のサッカー人生(中)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

2020年に初の自叙伝『再起は何度でもできる』(PHP研究所)を出版した中山雅史さん(53)。2大会連続でW杯に出場し、1998年のフランスW杯のジャマイカ戦では日本人選手として史上初のゴールを決めた。長年、膝などのケガで苦しみ、12年にコンサドーレ札幌を退団。だが、リハビリチームを結成し、諦めずにトレーニングや治療を続けた2年半後に、アスルクラロ沼津(現J3)への入団へ。どのようなリハビリ生活を送っていたのかを伺った。

――前回(「中山雅史さん ケガと闘い現役にこだわり続けた日々」)は、長年抱えている膝の半月板のケガやリハビリ、そして乗り越えるためのメンタルについてお話を伺いました。ずいぶん前からトレーナーや鍼灸師(しんきゅうし)などの専門家とチームを組まれてトレーニングされていると伺いましたが、どのような経緯でリハビリチームを結成されたのでしょうか。

膝のケガが完治せずチーム練習にも参加できず、チームの力にもなれていないシーズンが続いた2012年末、「コンサドーレ札幌」を退団しました。未練でいっぱいだったので、なんとか自分がサッカーを楽しめるレベルまでカムバックしたいと、引退ではなく「休J」宣言をしました。そんな僕の姿を見てお声がけくださったのが、リハビリチームを結成してくれたコーディネーター兼トレーナーの方です。彼の声がけのおかけで、体のコンディショニングが得意なバイオメカニクスアドバイザー[注1]や、関節の可動域を広げるのが得意な米国公認カイロプラクター[注2]など、国内外の各分野のプロフェッショナルが協力してくださることに。僕の熱い思いを伝えて、鍼灸師の方にも治療のサポートをしていただくことになりました。それがリハビリチームの発足のきっかけです。現在は主に4人のスペシャリストが情報共有や意見交換しながら、トレーニングや治療の方法を検討してくださっています。

[注1]バイオメカニクス(biomechanics)は、「bio(生体)」と「mechanics(力学)」を組み合わせた造語で、人間の身体運動に関する科学的研究を指す。バイオメカニクスアドバイザーは、人間の動きや運動の研究を元にアドバイスをする人。

[注2]カイロプラクティックは、身体の構造(特に脊椎)と機能に注目した手技療法。カイロプラクターはカイロプラクティックの専門家のこと。

国内外の各分野のプロフェッショナルが集結

――どのようなイメージのサポートなのでしょうか。

例えば、僕の膝が痛くなる原因は、足首や股関節の柔軟性の不足、体幹がしっかりしていないなどいくつかあります。行き着いた答えは、足首と股関節の周りの筋肉がガチガチに硬くなっていて、可動域が狭くなっていることでした。まずそれを柔らかくしようということになりました。

バイオメカニクスアドバイザーの方に、骨と軟骨、関節の配置をチェックしてもらい、硬い部位を指で柔らかくしてもらって体のコンディションを整えてもらいます。彼いわく、指で圧を入れながら少し滑らせ、骨にくっついている筋肉や腱(けん)を、骨のキワから離していくイメージだそうです。腱にこの施術をすると猛烈に痛いのですが、痛いからといって力を入れると指が入りにくくなると思ったので、施術がやりやすいように僕はひたすら我慢します。

そうした体のコンディショニングに合わせて、トレーナーさんが組み立ててくれたトレーニングメニューを行います。例えば、膝を地面につけずに赤ちゃんのようにハイハイする運動や、ボルダリングの壁を登ったり降りたりするような運動など、サッカーのプレーではしない動きを取り入れることで、体の一部分だけに負担がかからず、ケガもしにくい内容になっています。また、必要に応じて、関節の可動域の差をなくすためのトレーニングや、独自のマシンで体にちょっとした負荷をかけ、リズミカルな動作を繰り返すことで筋肉や神経を機能させるトレーニングなども受けました。

そして鍼灸師の先生には、股関節のコラーゲンをラジオ波で温めるなど、股関節や足首が動くようになるサポートをしてもらいます。股関節を固めている繊維はコラーゲンでできており、39度の熱を加えると体内のコラーゲンの形が変わりやすくなるそうです。ラジオ波で熱を与えてから、先生が手を使って少しずつ形を変えて、股関節などを柔らかくしてもらうイメージです。ただ、僕の場合、1週間で元に戻ってしまうので、リハビリやトレーニングとともに、この治療も継続してきました。今も週1ペースで通っています。

チームを組んでから2年半ほどリハビリやトレーニングを続けた結果、少しずつ走れるようになり、痛みで制限された動きもある程度できるようになりました。そんな時にジュビロ磐田時代にお世話になった元監督の山本昌邦さんのお声がけにより、アスルクラロ沼津(当時はJFL)に入団する機会をいただいたのです。

入団後もリハビリの内容とスタッフの所見は、アスルクラロ沼津のトレーナーにも共有し、ストレッチやトレーニングの強度を変えてもらったり、別メニューになったりするデータになっていました。

――すごいリハビリチームですね。

何人もの専門医を受診した結果、すべて「この膝でサッカーなんて無理」という答えだったなかで、サッカーがしたいという僕の思いを知って協力してもらえることは本当にありがたかったです。情報を共有し意見交換しながら、トレーニングやリハビリ、治療をトータルでサポートしてもらえていることも助かっています。

――リハビリ1つとっても、さまざまなやり方や新しい方法も出てくる中、自分に合うものを取捨選択するのは難しいと思います。どんな考えで選んでいるのでしょうか。

本当にさまざまなアプローチがあって、リハビリや治療に関するいろんな情報が耳に入ってきます。そうした情報を積極的に得ることは大事です。でも、おっしゃる通り何がよくて何が合っているのか、自分ではなかなか判断できません。だからといって、あれもこれもとつまみ食いのようなリハビリではダメだと思うんです。芯が通っているというか、自分が納得し、成果につながる可能性を信じられるものじゃないと、全身全霊で孤独なリハビリや治療に取り組めません。信頼できるチームの皆さんに納得できるまで話を聞き、分からないことは質問し、相談することが大事だと思います。その時の自分に一番いいと思えるメニューを一緒に選んだり、任せたりする。そして、やると決めたら信じてやる。僕はただひたむきにベストを尽くすだけです。

悪あがきだと思われても、とにかく、自分のやれることを精いっぱいやっていきたいと思うんです。「あの時、ああだったしな…」「あの時こうしておけば」といった後悔を少しでもなくしたいし、「この先、どうなるんだろう」と不安に思っても何も変わりません。

1998年のフランスワールドカップのクロアチア戦で、しっかりとボールを捉えたと思ったシュート[注3]がありましたが、もしゴールが決まっていたら、今サッカーをやっていないかもしれません。あれを決めていたらその後の人生、違っていたのかなとも思います。でも過去は変えられません。であれば、今を大切に一生懸命やるしかない。とにかく何かを変えるためには、行動を起こさなきゃと思うんです。偉そうなことを言っていますが、こうして公言してチャレンジするための原動力にしています(笑)。

[注3]中田英寿選手からパスを受けて中山選手がシュートしたものの、相手ゴールキーパーのファインセーブに阻まれた。

現役を続けたからこそ分かる、三浦知良選手のすごさ

――同じ50代でチャレンジされている選手として、三浦知良選手もいらっしゃいますが、中山さんからはどのように見えているのでしょうか。

カズさんは別格だと思います。カズさんはカズさんのサッカー人生の突き詰め方があるだろうし、生き方がある。僕が彼と同じ土俵にいるなんて、全く思っていないです。

カズさんの場合、体のメンテナンスはもちろんですが、シーズンへと入る前にキャンプで体をしっかり作って、チームメイトとのレギュラー争いを経て、先発になったりサブになったりを繰り返す日々を送っています。それを今までやり続けていることは、本当にすごいこと。ピッチにも立てていない僕とは、比較対象にならないです。

ただ、僕は僕なりに50代を超えてもトレーニングを続けてきたので、「53歳で真剣にサッカーをやるってどういうことか」については誰よりも分かっているつもりです。相当しんどいことだし、それを継続していくことはもっとしんどいことだと、自分の身をもって体感しています。だからこそ、さらなる未知の世界に一人で突き進んでいるカズさんのすごさを、恐らく誰よりも実感できているし、伝えられると思っています。

「諦める」ために現役を続けてきた

――中山さんも、その未知の世界というのを体感しているわけですよね。それはやはり幸せなことなのでしょうか?

幸せであり、不幸せであり、期待があり、不安があり。だから自分の中で、「これだけやったけど、ここまでか」という気持ちになりたいなという思いはあります。諦めるためにやっているところはあるんです。

――諦めるとは?

「明らかにして、究める」といった意味で使っています。そのためにトレーニングをしています。「まだできるのに」「ああすればできたのに」という思いが残っている限り、未練がどんどん膨らみます。それがつきまとっているからこそ、明らかに究めるまで頑張りたい。「ここまでやったけれど、その先に行けない。でもここまでやったんだから!」という思いを持ちたいのです。

本当に諦めが悪いです。でもこれは自分の性格というより、僕が好きで続けてきたサッカーだからこそ、それに対して「自分はどこまでやれるんだろう」という、サッカーを突き詰めたい気持ちの現れだと思います。

ただ、それが体をむしばんでいくのであれば、そこはちゃんと考えなきゃいけないと、最近ようやく思うようになりました。毎年膝の検査をしていますが、MRIやレントゲン画像を見て現状維持や少し悪化したではなく、すごく悪化しているなと思ったときが、辞めどきなのかなとも思います。

(ライター 高島三幸、写真 厚地健太郎)

中山雅史さん
1967年生まれ。静岡・藤枝東高、筑波大学を経て、90年にヤマハ発動機サッカー部(現・ジュビロ磐田)に入団。98年、Jリーグ年間最多の36ゴールを記録(当時)し得点王と最優秀選手(MVP)、2000年にも得点王に輝く。1998年フランスW杯、2002年日韓W杯の2大会に出場し、1998年フランスW杯のジャマイカ戦で日本人選手としてW杯初ゴールを決めた。2010年コンサドーレ札幌に移籍。12年第一線を退くことを発表。15年アスルクラロ沼津と契約。20年S級ライセンスを取得。21年ジュビロ磐田のコーチに就任。同時にYouTubeを始める。新著に『再起は何度でもできる』(PHP研究所)。

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