検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

30回イベント企画した学生 就活で得られない成長とは

通年採用時代の就活のトリセツ(14)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

こんにちは、法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔です。新1年生が入学するシーズンになりましたが、新型コロナウイルスが収束しないなかで、大学生活に不安を抱える人は多いのではないでしょうか。今回は、コロナ下でも、あるコミュニティで成長した学生の話をしたいと思います。

「とにかくなんでもやってみようと動き出した1年でした」と語るのは、筑波大学大学院2年(生命地球科学研究群)の松原咲樹さん。私が初めて松原さんと話したのは「Career Camp」、通称キャリキャンです。

キャリキャンは全国60以上の大学から150人近くの学生が集まってキャリアについて考える「インカレ」コミュニティです。開催場所はZoom。ですから、実はまだ一度もリアルにお会いしたことがありません。

キャリキャンは就活のためのコミュニティではなく、学生が社会に出て活躍する力をつけるためのコミュニティです。2020年3月にスタートし、約1年が経過しました。オンライン開催のため、今では北は北海道から南は沖縄、海外の学生も参加しています。学年もバラバラで、大学1年生から大学院2年生までが集まっています。

コミュニティの時代と言われますが、このような特徴を持った団体を私は他に知りません。社会人メンバーはスタートアップ経営者や大企業の人事担当など、多様なバックグラウンドを持った100人ほどが全員ボランティアで参画し、大学生の中長期でのキャリア開発を支援しています。

今回は松原さんと、人事コンサルタントでキャリキャン創設者の神谷潤さんにインタビューを行いました。私も定期的にキャリキャンに参加し、学生たちと「これからのキャリアの築き方」や「社会に出て活躍する方法」について対話を重ねています。

新型コロナウイルス感染拡大が起こる前に神谷さんは、学生と社会人とがリアルに交流する場を年間10回以上開催していました。これをコミュニティにしようとしたのが20年の年始。もともと対面での実施を構想していたそうですが、コロナ感染拡大によって、オンラインに変更。学生自身も運営に参画し、神谷さんが主催する勉強会に加えて、学生たちも様々な部会を企画して運営しています。日記部、英語部、読書部、ビジネススクール、著名人を招いたイベントなどがあります。

松原さんは学生メンバーのリーダー格として、運営の役割を担い、イベントの企画や当日の進行サポートをしてきました。どんな成長があったのか、早速見ていきましょう。

――松原さんはなぜキャリキャンに参加しようと思ったのですか。

松原 キャリキャンに出会ったのは大学4年生の3月でした。当時の私は、東京で訪日外国人に声をかけ、漢字の名前をプレゼントしながら世界中に友達を作る活動をしていました。ただ、3月ごろからコロナの影響で訪日外国人の数もどんどん減少。活動が思うようにできなくなりました。何か新しいことを始めるチャンスを探していました。

そんなとき、たまたまTwitterでキャリキャンの告知を見かけ、私はすぐに「入ろう!」と決めました。当時、自分の立ち上げた活動をする中で、「どうやったらこの活動の価値が認められ、広がるのか?」「もっと視野を広げて大きなことに挑戦できないか?」と感じていたので、そのモヤモヤを解決できる場になるかもしれない、という期待があったからです。

――キャリキャンを通じて、何が変わりましたか?

松原 挑戦することへの抵抗がなくなりました。やってみてできないことは仲間や社会人に頼る。100%の状態でなくともまずは走り出して、やりながら考えて改善する。できない言い訳を探さなくなりました。一年間でオンラインイベントを30回以上企画して、運営してきました。作り手側の苦労を知り、何事も実践することではじめて学べるのだと気が付きました。

一人で抱え込んだ失敗から得た学び

――実際に、企画したイベントと学んだことを教えてください。

松原 成功例としては、学生メンバー3人で企画した「自分探しジャーニー」というイベントがあります。過去の経験を中心に自己紹介しながら、気になったところをお互いに質問して深掘りするというイベントです。深く知らない人同士だからこそ第一印象と話した後の印象も変わり、お互いに最初の印象との変化についてシェアして、自分の知らない自分の良さに気づくことができました。

このイベントを企画した背景には、当時キャリキャン全体でのイベントの参加率が低かったということがあります。「原因はなんだろう?」という疑問を持ったので、キャリキャンに所属する学生にヒアリングし、どんな内容だったら参加したいと思うか、どうしたら参加者同士の仲が深まるかなど、何度も話し合ってこの企画を作りました。参加ハードルが低いこと、他のメンバーとの交流があること、単なる遊びではなく有益な時間となること、という条件をクリアしたプログラムを考えることはとても難しかったですが、参加者の満足度が高かったことは本当にうれしかったです。

一方、失敗例として思い出すのは複数の学生の声をもとに企画した「20人限定の社会人×学生の少人数交流会」というイベントですね。事前準備から当日の運営まで一人で行ったのですが、当日参加が確認できていない人への連絡で進行が止まってしまったり、終了時刻が予定より10分以上押してしまったり、作成したアンケートに不備が見つかったり、予期しない出来事に焦ってしまいました。

このイベントを企画する前は「一人で全てをこなせるのってかっこいいし、それこそが挑戦だ!」と思い込んでいたのですが、必要な仕事や当日起こり得る問題を洗い出すこと、それをもとに役割分担して他のメンバーを頼ることも大きな挑戦なのだと学ぶことができましたね。

――社会人からフィードバックを受けて印象に残っていることはありますか。

松原 あるイベント終了後、参加してくださった社会人が「運営しているとあまり話を聞けないですよね。それで大丈夫ですか?もし再度開催するときは松原さんもちゃんと得するように、当日の運営は私がやってもいいですよ」と言ってくださいました。私はこの言葉にとても驚きました。それまで「参加者にとって有益であるか」ということだけをひたすら考えていたので、自分にとっても有益になるかどうかまでは全く意識が回っていませんでした。この言葉を聞いてからは、自分がこのイベントを開催する意味や成長は何か、ということを考えるようになりました。

――キャリアに対する意識も変化しましたか。

松原 キャリアって本当に様々なんだ、と実感しました。小学生から学部時代までずっと教員になることだけを考えていたので、キャリキャンに入って多くの社会人に出会い、自分の見えていた世界の狭さを認識しました。

「意識高い系と言われても気にしないで」

――様々な学びがあったのですね。主宰の神谷さんに伺います。そもそもなぜキャリキャンを設立したのでしょうか。

神谷 私のような苦い経験をしてほしくないからです。私はなんとなく就活をして、当時、第1志望だった会社から内定はもらえて入社をしました。しかし、入社後には心が病んでしまうほどの経験をしたのです。1年目の夏ごろには、会社に行こうとすると手足の震えと涙が止まらない。そして、「頑張りたいのに頑張れない」自分がいて、何のために生きているのだろう? 何のためにこの会社にいるのだろう? 何のために働いているのだろう?と問い続けたのです。

そんな思いを学生にしてほしくないと思い、学生のうちから社会人と接することで、働き方のリアルを学べる場をつくりたいと考えました。キャリキャンを通じて、社会人になり働くとはどういうことなのか、お金を稼ぐとはどういうことなのか、消費者から生産者に変わるとはどういうことなのか、ということを体験として学んでほしいと思っています。

――学生にはどんな力を身につけてほしいですか。

神谷 5点あります。「自ら学び、自ら問い、自ら答える力」「多様な価値観を受容し、違いを乗り越える力」「自ら機会を作り出し、チャレンジする力」「人としての当たり前のことを当たり前にやる力」「長期間、継続してやり抜く力」です。学生たちにいつも伝えているのは、「就活のためじゃなくて、成長のためにキャリキャンを最大限に生かすように」ということです。

――実際に学生は成長していますか?

神谷 自ら主体的に活動をしている学生は、劇的に成長をしています。例えばコミュニケーション能力が挙げられます。社会人や周囲の学生を巻き込み、作り上げることを体験するなかで、多くの学生や社会人から必然的にフィードバックをもらえます。就活の面接という限定的で形式的な関わりでは身につくことはない、柔軟なコミュニケーションです。

――学生へのメッセージをお願いします。

神谷 まずは自信を持って語れる何かを学生時代に作って下さい。学業や部活動、サークル活動でもアルバイトでも、なんでもいいです。他人からの評価も気にしなくていいです。次に、周囲に流されないことです。あなたが大事にしたいことを大事にして下さい。大学生活の過ごし方や、就職活動、キャリアに決まった正解は存在しません。意識高い系と揶揄(やゆ)されるかもしれませんが、ショゲずに、周囲に流されずに、自分の心に正直に生きてほしいなと思います。

◇  ◇  ◇

学生のうちに作り手側の経験をつめることは、何よりの財産になります。うまくいかないことを経験するから次に生かせるのですね。そうした経験は自信にもなります。悩んで何もしないうちは、何も身につきません。動き出して、作り手側にまわり、経験を積み重ねる。松原さんの行動には、学生のみんなに参考にしてほしい成長のサイクルがあります。

「就活のために何をしたらいいか」とよく聞かれますが、就活の正解を求めすぎないでください。いろんなチャレンジをし続けることです。なんでもいいからやり切ること。これが大切です。

田中研之輔
1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を19社歴任。著書に「プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」(日経BP社)、「ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発」(金子書房)など

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_